車で移動するにあたって舗装された道路は欠かせません。
アスファルトでできた道路は車通りが多くなればなるほど劣化しやすくなります。
そのため、道路は定期的に舗装工事を行わなければいけません。
この舗装工事に関わる技術を持っていることを証拠づけるために作られた資格として、舗装施工管理技術者があります。
目次
舗装施行管理技術者とは
日本の道路の長さはおよそ130万kmあるとされています。
これらの道路は常々デコボコがないか、アスファルトが割れたりしていないかなどをチェックしなければいけません。
そういった管理は舗装工事の専門家が行う必要があります。
舗装施工管理技術者はそうした舗装工事に関する知識や経験を備えた人に与えられる資格です。
もっとも、舗装施工管理技術者は国家資格ではありません。
工事に関する国家資格を持っていると、現場監督や現場責任者になれる資格を得ることができます。
一方で、舗装施工管理技術者はあくまで民間資格であるため、取ったとしても現場のトップに立てる保証にはなりません。
とはいえ、資格は資格ですし試験に合格する時点でそれなりの技術を持っていることは間違いないでしょう。
そのため、資格を持っておけば仕事で有利な立場に立てることは間違いありません。
舗装施行管理技術者の仕事内容
舗装施工管理技術者は、その名の通り舗装管理に関する仕事の一切を取り仕切らなければいけません。
舗装工事をするためにはアスファルトやコンクリートの製造が欠かせませんが、こういった材料の製造段階から舗装施工管理技術者の仕事は始まります。
アスファルトやコンクリートは危険な材料ですから慎重に運ばなければいけませんが、安全な運搬を引き受けるのも仕事内容の一つです。
もちろん、施工する道路を削ったり、アスファルトやコンクリートを流し込んで舗装したりもしなければいけません。
また、舗装施工管理技術者のように資格を備えている人の場合は、監督者として作業員を安全な環境で仕事できるように配慮するのも仕事になるでしょう。
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舗装施行管理技術者の試験概要
舗装施工管理技術者になるためには、道路保全安全センターが開催する試験を受けなくてはいけません。
道路保全安全センターは財団法人であるため、民間が行う試験です。
とはいえ、試験内容は国家試験並みの難易度となっています。
受験資格
平成26年まで受験資格はやや厳しく設定されていました。
たとえば、高卒の受験者は10年以上の実務経験がなければ受験ができないなどの長めの年数規定がありました。
一方で、年々受験者数が減っていく現状を踏まえてか、平成27年以降は受験資格が緩和されていきます。
たとえば、高卒の受験者は8年以上の実務経験があれば受験できるようになりました。
また、1級の資格を受験するためには、2級試験合格後改めて5年間実務を経験しなければならないとの規定がありましたが、それも取り払われました。
今では、1級試験を受験するためには、2級試験さえ合格していれば高卒の人以外はすぐに受験できるようになっています。
試験形式
舗装施工管理技術者の試験は1級と2級に分かれています。
それぞれ一般試験と応用試験を行わなくてはいけません。
一般試験
1級の一般試験は択一式で60問を3時間で解いていきます。
それに対して、2級の一般試験は同じく択一式で60問ですが、試験時間は2時間です。
応用試験
次に1級の応用試験は記述式で、必ず解かなければいけない問題が1つ、4問の中から3つを選択する問題の計4問を3時間で解いていきます。
それに対して、2級はやはり形式は1級と同じなものの、試験時間は2時間です。
試験科目
舗装工事をするにあたっては思いのほか幅広い知識を要求されます。
そのため、舗装施工管理技術者の試験科目も4つとやや多くならざるを得ません。
まずは舗装工事をするにあたっては欠かせない舗装工学を学ぶ必要があります。
それだけでなく、舗装を管理するにあたって必要な施工管理の知識も問われます。
また、土木工事という科目もありますが、これはコンクリートや工事に使う機会について学ぶ科目です。
最後に、舗装工事は公共の道路を扱わなければいけないため、法律に関する知識も学ばなくてはいけません。
もちろん、法学を全部マスターしている必要はありませんが、道交法や工事関係の法律、そして労働法に関する知識も問われます。
例年のスケジュール
舗装施工管理技術者試験に関するスケジュールは毎年12月頃に発表されます。
スケジュールには試験の日付だけでなく、申し込みの締め切り日や合否発表の日付なども書いているので忘れずにチェックしましょう。
例年、申込期間は2月の2週間に設定されています。
2023年度の申込期間は2月10日から2月24日までです。
試験は、毎年6月の第四日曜日に行うと決められており、2023年度は6月25日に試験が開催されます。
試験の合否発表は10月の下旬で、2023年度は10月25日に発表されています。
合格基準
合格に必要な点数は1級・2級で変わりません。
一般試験と応用試験でともに6割の点数が取れれば合格です。
たとえば、高校や大学の入学試験などでは定員が設けられ、いかに高得点が取れていても、それ以上に高得点を取っている受験生が多かった場合は合格できません。
それに対して、舗装施工管理技術者に定員は設定されていないので、既定の点数さえ取れれば合格できます。
受験手数料
1級の受験者は15,000円を手数料として払わなければいけません。
それに対して2級の受験者の手数料は8,000円です。
試験会場
舗装施工管理技術者の試験は全国13ヶ所で行われます。
東京、大阪、北海道、新潟、広島、愛知、福岡、香川、沖縄はそれぞれ1ヶ所のみの会場です。
それ以外の都道府県の在住者にとってはやや不便ですが、それぞれの地方に受験会場があるのは救いと言えるでしょう。
仙台だけ試験会場が3ヶ所と多く設置されており、東北福祉大学、東北学院大学、東北電子専門学校と最寄りのキャンパスで受験ができるようになっています。
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舗装施行管理技術者の難易度や合格率
資格試験を受ける時に気になるのが試験の難易度やどれだけの受験者が合格できるかということです。
舗装施工管理技術者はどうなのでしょうか。
試験の難易度
舗装施工管理技術者は1級が難易度が高く、2級が難易度が低い試験です。
後で合格率を出しますが、2級はおよそ45%前後の合格率なのでそれほど難しい試験ではありません。
一方で、1級は合格率が低いので、資格試験の中では難易度の高い部類に入るでしょう。
合格率
ここ5年の1級の合格率は18.8%、2級は45.6%となっています。
この試験の場合は、前年不合格だった受験者も受験しているというところも忘れてはいけないでしょう。
経験者でも苦戦する問題が待ち受けているので、受験する際は万全の準備を整えて望みたいところです。
舗装施行管理技術者の注意点
建築に関する資格は、有効期限が設けられていないものと更新が必要なものに分かれています。
舗装施工管理技術者は後者で、有効期限が迫るたびに更新手続きをしなくてはいけません。
舗装施工管理技術者の有効期間は5年で、たとえば2023年に資格を取ったら2028年の3月31日まで資格証が使えます。
ここで注意したいのは、資格証がそろそろ切れそうだから更新手続きをしよう、とのんきに構えていると、登録失効するおそれがあるということです。
もし登録が失効した場合は、改めて技術講習を受けなければいけません。
たとえば、運転免許証の場合は免許センターに行ったらすぐに新しい免許を交付してもらえます。
それに対して、舗装施工管理技術者の資格証は更新手続きを行ったらすぐにもらえるわけではありません。
舗装施行管理技術者の将来性
日本ではインフラ関係の保全が急務になっていますが、これは道路も例外ではありません。
日本は世界の中でも車を多く保有している国であり、全国いたるところで道路が造られています。
それにあわせて使い込んだ道路はその都度補修しなくてはいけません。
今後もこういった状況は続くでしょうから、舗装工事の仕事はなくなることはあり得ないでしょう。
また、道路を必要としている国は世界にたくさんあります。
場合によっては日本を飛び出て、世界の舗装工事に関わるという可能性を考慮しても、舗装施工管理技術者の将来性は高いと見ていいでしょう。
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まとめ
日本は車通りが多いため毎日のように交通事故が起きています。
この中には道路状況が良くなかったために起きた事故も含まれているでしょう。
こういった事故を減らすためにも舗装施工管理技術者の仕事が欠かせません。