管工事施工管理技士とは?業務内容や資格試験について解説します

管工事施工管理技士とは?業務内容や資格試験について解説します

建物を建てるにあたって、土台や骨組みは欠かせません。
そして、それと同じぐらい配管をしっかり整えるのも大切です。
今回はそういった配管工事を担う管工事施工管理技士について紹介していきます。

管工事施工管理技士とは

私たちが安全に暮らすためには建物の存在が欠かせません。
とはいえ、ただ建物の外観が整っていれば良いというものでもないです。
夏の暑い時期にはエアコンが必須でしょう。
あるいは、生活用水を常時くみ上げるためには水道も必要です。
そのほか、料理をするためにガスを使うためや建物内を換気するための空調設備も欠かせません。
これらの設備を整えるためには、建物の中に配管工事を行う必要があります。

では、建物の中に通っている配管の工事は誰が行っているのでしょうか。
それこそが管工事施工管理技士にほかなりません。
管工事施工管理技士は建築士や現場監督などとタッグを組みながら、いかに建物の中に配管を通していくかを考えていく仕事を担います。

管工事施工管理技士の業務内容

管工事施工管理技士はどのような業務を行っているのでしょうか。

配管工事に関わる業務

まずは先ほども述べたように、管工事施工管理技士は建物の中にパイプを通していく工事を担当します。

当然ながら建物にパイプを通していくためには計画がなくてはいけません。
どこの部分にパイプを通せば無理なく建物を作ることができるのか、といった設計を行うのも管工事施工管理技士の業務の一つです。

また、設計をもとに実際に配管を組み立てていくのも施工管理技士に一任されます。
これらのことを考えると、建築士と施工技師の両方の役割を兼務する仕事といっても良いでしょう。

工程管理や安全管理

そのほか、実際に配管が計画通りに工事されているか、といった工程を管理するのも管工事施工管理技士の役目です。

通常配管工事は建物の外観が建築し終わった後に行われます。
配管工事をすることによって建物の耐久性が損なわれていないか、といったことも逐一チェックしなければいけません。
なにより、配管工事に時間がかかってしまったせいで工期が遅れている、といった事態が起こらないよう注意する必要もあります。

また、実際に出来上がった配管の安全管理を行うのも管工事施工管理技士の仕事です。
特に水道管やガス管はトラブルが起こりやすいうえに、ともすると建物の安全性を脅かしかねません。
こういった事態を防ぐためにパイプの耐久性をチェックする必要があります。

1級と2級の業務の違い

ところで、管工事施工管理技士の資格には1級と2級に分けられています。
これらの等級の違いによって担当できる業務に違いは出てくるのでしょうか。

まず1級の管工事施工管理技士特定建設業を担当することができますが、一方で2級しか持っていない人一般建設業しか担当することができません。

この特定建設業と一般建設業はどのように区分されているのでしょうか。
建物を建てるにあたって、発注業者は請負業者に対して代金を支払わなくてはいけません。
この代金が4,000万円以上の場合は特定建設業に分類されます。
一方で、4,000万円に満たない場合は一般建設業と定義されています。
大まかにいえば、大きな建物を建てるような仕事を引き受ける場合は1級の資格を取っておく必要があるといって良いでしょう。

そのほか、2級の管工事施工管理技士現場で専任もしくは主任技術者までしか担当できません。
一方で1級の技士専任、主任、そして監理技術者のすべての役職を担当することができます。
監理技術者は単純に配管工事をスムーズに行うだけでなく、現場の総指揮も行わなくてはいけません。
他の職員が適切に業務を行っているか、勤務スケジュールは無理なく組み立てられているか、といったことを合わせて考えるのが監理技術者の役割です。

管工事施工管理技術検定の概要

建築関係の資格を取るためには検定を受けなければいけません。
管工事施工管理技士も例外ではなく、技術検定を受ける必要があります。

1級管工事施工管理技術検定

まずはより難易度の高い1級管工事施工管理技術検定から見ていきましょう。
合格者も少なくなる1級の技術検定ではありますが、その分資格を得ればできる仕事の幅が広がります。

令和5年度 1級管工事施工管理技術検定の実施について

試験内容

管工事施工管理技術検定は第一次検定と第二次検定に分かれます。
第一次検定はマークシート形式で4択問題を合計73問解かなければいけません。
合格基準点は60点と設定されています。
第二次検定は記述問題です。
いかにすれば適切な工事ができるかを、ネットワーク工程表を使いながら記述していかなくてはいけません。
記述問題のため正解率は60%以上で十分ではありますが、難問のため合格率は毎年低いです。

受験資格

1級管工事施工管理技術検定を受けるためには、2級管工事施工管理技士をあらかじめ持っている必要はありません。
しかし一方で、実務を一定期間経験している必要があります。
この受験に必要な経験年数は大卒か短大卒か高卒以下か、そして大学や専門学校などで指定学科を卒業しているかどうかで決められます。

まず大卒で土木工学や衛生工学のような指定学科を卒業している場合は、三年実務経験があれば受験可能です。
一方で、指定学科を卒業していない場合は4年6ヶ月の実務経験を経なくてはいけません。
続いて、短大で指定学科を卒業している場合は5年、卒業していない場合は7年6ヶ月の実務経験が必要です。
そして、高卒以下で指定学科を卒業している場合は10年以上、卒業していない場合は11年6ヶ月以上の実務経験が必要になります。
最後に、学歴がそもそもない場合は15年以上の実務経験が必要です。

試験科目

管工事施工管理技士はガス管や空調管など幅広い配管工事を手掛けなくてはいけません。
そのため、取り扱う試験科目もおのずと多岐にわたります。
まず必須科目として環境工学や電気、建築などの知識を問う科目を選ばなければいけません。
そして、空調関係と衛星関係の問題から12問選択、最後に建築に関係する法律の問題を10問選択する形式です。

試験日

1級管工事施工管理技術検定は毎年一回だけ行われます。
試験日は、基本的に9月の第1日曜日です。
試験会場は東京や大阪のほか、北海道や新潟などの10会場で開催されます。

2級管工事施工管理技術検定

難問が多く、合格率も低くなりがちの1級に比べて2級は比較的優しい傾向にあります。
とはいえ、しっかり勉強して臨まなければ合格できません。

2級 管工事施工管理技術検定のご案内

試験内容

第一次検定と第二次検定に分かれているのは1級と同じです。
一方で、2級の第一次検定は52問中40問正解できれば合格と設定されています。
また、第二次検定はネットワーク工程表でなくバーチャート工程表を用いて作成されます。

受験資格

受験資格は、1級と同様一定期間の実務経験が欠かせません。
大卒で指定学科を卒業している場合は1年、卒業していない場合は1年6ヶ月以上の実務経験が必要です。
短大卒で指定学科を卒業している場合は2年、卒業していない場合は3年以上経ってから受験できます。
高卒以下で指定学科を卒業している場合は3年、卒業していない場合は4年6ヶ月以上の経験を経なくてはいけません。

試験科目

取り扱われる試験科目は1級と同様です。
問題数は少なくなりますが勉強しなければいけない範囲はやはり幅広い試験と言えるでしょう。

試験日

1級と違って毎年2回行われます。
1回目は毎年6月、2回目は毎年11月開催です。
また、2回目の検定では青森、鹿児島、金沢も試験会場として追加されます。

管工事施工管理技士のメリット

ここまで管工事施工管理技士の業務内容と、検定の内容について説明してきました。
では、この資格を取るメリットはどこにあるのでしょうか。

専任技術者として認められる

まず2級管理技士の資格を得ると、工事現場において専任もしくは主任技術者になることができるようになります。
専任技術者の役割は、発注業者との間の契約を結ぶことです。
工事の計画が適切かどうか、建築内容に不備はないかどうかをチェックすることで、スムーズな工事ができるようになります。
計画内容に口を出せないまま工事をするよりも、発注者と交渉を重ねながら工事を行ったほうが仕事はやりやすくなるでしょう。
責任はその分増していきますが、やりがいがある仕事ができるようになります。

他資格の取得にも役立つ

先ほど、1級の管工事施工管理技術検定を受けるためには一定の実務経験が必要だという話をしました。
しかし、一つだけ例外があります。

それは2級の管工事施工管理技士を持っていれば、5年以上の実務経験だけでも試験を受けられるようになるということです。
このように、管工事施工管理技士を持っていれば仕事に役立つだけでなく、ほかの資格の取得にも有利に働くというメリットがあります。

ほかにも、給水設備の工事を担う給水装置工事主任技術者、技術コンサルタントになるために欠かせない技術士補の資格を取るためにも管工事施工管理技士の資格は役に立ちます。

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まとめ

管工事施工管理技士の資格を持っていなくても、配管工事を行うことはできます。
とはいえ、資格を持っていれば周りからの信頼も厚くなるでしょう。
その分だけ待遇も良くなりますし、キャリアを築くためにも資格は欠かせません。
取るのは難しい資格ですが、合格できなくても仕事に役立つ勉強ができる資格でもあるので、ぜひ受験を検討してみてください。

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