あなたは請求書に押印をしていますか。
おそらく、ほとんどの人が必須と考えていると思います。
もし、印鑑が押されていない請求書を受け取ったら、印鑑が押されていないと困るのではないでしょうか。
では、法律上、請求書の押印は義務なのでしょうか。
この記事では、請求書の押印は義務であるのか、最近注目されている電子印鑑の法的な有効性についても解説していきます。
請求書への押印は義務?
請求書への押印は当たり前のように行われていて、押印されていないと無効のように思われがちです。
ですが、法律上は請求書に印鑑が必須とは定められておらず、義務ではありません。
ただし、日本では商慣習上、長く押印が行われてきました。
押印したほうが良い理由
義務ではないなら押印しなくても良い、と考えるのは時期尚早です。
押印したほうが良い理由として、改ざんを防止できること、取引先からの信頼度を高められることが挙げられるためです。
改ざんを防止できる
印鑑がない請求書は、誰が発行したのか確信が持てません。
請求書のフォーマットは市販もされており、とある企業と同じ請求書を使うこともできます。
たとえば、まったく無関係の人が詐欺をすることや営業担当者が勝手に作成して、代金を横領することさえできてしまうのです。
これに対し、会社印が押されれば、その企業が発行した適切なものであるという信頼度が高まります。
改ざんを防止する手段として押印は有効です。
取引先からの信頼度を高められる
日本では長く印鑑文化が続いていますし、会社印や担当者印が押されていれば、権限のある人が発行した、権限のある人が認めていることが証明されます。
取引先からの信頼度を高めることができ、請求にもとづく支払いもスムーズになるのがメリットです。
請求書に使用する印鑑の種類
印鑑といっても、会社名のゴム印、代表者や個人の実印、三文判などさまざまな印鑑があります。
請求書に使用する印鑑の種類について確認していきましょう。
法人の場合
法人の場合、実印(丸印/代表者印)、銀行印、角印(認印)の3点セットを作成しておくのが基本です。
では、請求書にはどの印鑑を使うべきなのでしょうか。
実印(丸印/代表者印)
代表者印などとも呼ばれる実印は、とても重要な印鑑です。
実印は法務局に登録され、その印鑑が実印であることを、印鑑証明書を取得することで証明できます。
重要な取り引きにおける契約書への押印や金融機関などで融資を受ける場合、保険会社と契約をする場合などに用いられます。
実印を押す場合には、印鑑証明書を添付して書類を渡すのが基本です。
銀行印
銀行印は、いわゆる銀行お届け印です。
法人口座の開設時に用い、その後、銀行取引で求められた場合には銀行印を用います。
角印(認印)
請求書や見積書など、取引先などに頻繁に出す書類への印鑑は、通常角印を用います。
会社の名称などが記載されたものです。
法人の実印や銀行印は通常、代表者や指定された代理者のみが保管、使用できますが、角印は総務部や経理部、その他権限のある人も使えるのが一般的です。
個人事業主・フリーランスの場合
個人事業主・フリーランスの場合、個人的に使っている実印を使用するのは危険です。
事業で実印が求められるのは、借金をしたり、高額の保険契約を結んだり、不動産取引などをするケースに限られます。
かといって、請求書に三文判を押すのも信頼度が高まらないので、事業者名などを刻んだ事業専用の丸印などを作成して用いるのがおすすめです。
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請求書への押印方法
請求書への押印方法についても、確認しておきましょう。
押印方法を間違えると、信頼が低下する場合や社会人としての常識がない、経験が浅いなどと思われかねません。
印鑑を押す位置
印鑑を押す位置は、通常請求者名が印字、記載されている場所です。
会社名や事業主名にかかるように押印します。
わざと文字に少しかぶせることで、改ざんや偽造を防止する意味合いがあります。
押印を失敗した場合
請求書の押印を失敗した場合は、見た目も悪く、信頼度も低くなるので、できれば新たに作成し直して押印をし直しましょう。
取引先に渡してしまった請求書の再発行は基本的に認められませんが、渡す前であれば、失敗した請求書を破棄したうえで、再作成するのがベストです。
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電子印鑑とは?
電子印鑑は電子的なデータに印鑑を押す方法です。
印鑑のように印鑑業者が制作するわけではなく、自分でデザインして作成することもできます。
法的な有効性
では、電子印鑑は法的な有効性は認められるのでしょうか。
電子署名法で法的な有効性も認められています。
セキュリティ
電子印鑑は、紙面に押す印鑑と異なり、偽造のリスクも高く、セキュリティ面で問題が残ります。
実印制度のように、印鑑登録をして印鑑証明書が発行されるわけでもありません。
ただし、セキュリティを強化する対策はあります。
たとえば、電子証明書によって本人が押印したことを証明する方法があります。
公正な立場にある第三者機関の認証局が、間違いなく本人だと電子的に証明するもので、印鑑における印鑑証明書のような役割です。
また、タイムスタンプというセキュリティ強化法もあります。
タイムスタンプを記録した時刻に、その請求書が存在していたこととタイムスタンプを押した時刻以降に請求書の改ざんされていないことを証明するというシステムです。
電子印鑑の作成方法
紙に押す従来の印鑑は市販されているものを購入することやはんこ屋さんで作成してもらうのが基本です。
これに対して電子印鑑の場合は、自ら作成することもできます。
印影から作る
普段使っている会社印などを紙に押印し、それをスキャンしたうえでデータ化する方法です。
これまで請求書に押印していた印影と同じものが電子的に押されるので、以前からの取引先から見れば安心感があります。
エクセルで作る
エクセルで作る方法は、自分でデザインするものです。
印鑑を真似て、図形ツールなどを駆使しながら一から作ります。
デザイン性やエクセルで図画描画機能を使いこなせる技術などが求められます。
電子印鑑作成ツールを利用する
電子印鑑作成ツールはネット上で見つけることが可能です。
無料のツール、有料のツールがあります。
ツールによって作成法は異なりますが、丸印や角印などのフォーマットを選び、字体のフォントを選び、会社名などを入力すると、画像データとしてダウンロードできるといったタイプがあります。
比較的スムーズに作成でき、無料ツールならコストもかかりません。
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まとめ
請求書への押印は義務ではありませんが、日本では商慣習上、長く押印が行われてきました。
押印したほうが良い理由として、改ざんを防止できること、取引先からの信頼度を高められることが挙げられます。
法人の場合は実印(丸印/代表者印)、銀行印、角印(認印)の3点セットが基本ですが、請求書に使用する印鑑の種類は、通常角印です。
個人事業主・フリーランスの場合は実印を使用するのは危険なので、事業用の丸印を作成して用いましょう。
請求書への押印方法として、印鑑を押す位置は社名や事業者名にかかるようにすることで、改ざんや偽造などを防止できます。
押印を失敗した場合は基本的には請求書を作り直すのが理想です。
電子印鑑は電子的なデータに印鑑を押す方法です。
電子署名法で法的な有効性も認められていますが、紙面に押す印鑑と異なり、偽造のリスクも高く、セキュリティ面で問題が残ります。
電子印鑑の作成方法としては、印影をスキャンして作る方法やエクセルでデザインする方法、電子印鑑作成ツールを利用する方法があります。
ベストな方法は偽造がしにくい、セキュリティ対策が整った方法です。
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