作業員名簿とは?書き方やポイントについて徹底解説

作業員名簿とは?書き方やポイントについて徹底解説

工事が始まる前に事前に用意する安全書類のうちの一つである書類が、作業員名簿ですが、現場へ作業員を送り出す際に必要となるものです。
今回は、作業員名簿の作成が必要となる方のために、作業員名簿についての書き方やポイントについてご紹介していきます。
ぜひ参考にしてください。

作業員名簿とは

作業員名簿は、安全書類の中の労務安全のために必要な書類です。
安全衛生管理のみならず、労災が発生した時の緊急連絡や対応などが必要になった場合、どんな作業員がいつ現場に入っているのかを把握していなければなりません。
そのため、現場で作業にあたるすべての人員を明確にすることで、雇用管理状況を把握するために用意されます。
一次下請け以下の協力会社であれば、いずれの会社もその会社ごとにそれぞれ作成しなければならず、一次の会社がこれらの作業員名簿をまとめて元請けの会社へ提出する流れになっています。

作業員名簿の目的

作業員名簿を作成する目的についてさらに詳しくご紹介していきましょう。

まず、工事現場においてはリスクが隣り合わせであることもあり、あらゆる安全対策を尽くしてもなんらかの事故が起きる可能性があります。
そのために、作業員名簿へ作業に携わる人員にまつわる情報を記載しておくことで、万が一の際にどの作業員の事故なのかが把握しやすくなるのです。
また、医療機関にかかる際など万が一の際に医療機関へ連絡する際に使用します。
作業員名簿の項目はのちにも紹介しますが、生年月日、年齢など個人情報も記載され、医療機関で治療を受ける際に生年月日などの情報を伝える必要があるためです。

このほか、社会保障制度や健康診断の実施を会社に促すことも目的とされています。
作業員名簿には社会保険加入状況や健康診断の結果などを書く項目がありますが、会社によってはいまだ社会保険未加入の従業員がいることもあるのです。
作業員名簿を作成することにより、企業としても意識的に従業員に対する社会保険加入を勧めることや健康診断の積極的な実施のきっかけとしてつなげることができます。

作業員名簿の作成は義務か

令和2年10月1日に改正建設業法が施行されたことによって、作業員名簿の作成が義務付けられるようになりました。
それまでの作業員名簿は任意でしたが、近年の日本の建設業界では人材が減少していることが義務化の一つの背景となっており、人材を確保するための対策と言えるでしょう。
上記でも作業員名簿の目的でご紹介した通り、作業員名簿を作成することで社会保険加入状況の確認ができますし、また労働者を雇用せずに事業を行っている一人親方の抑制ができます。
一人親方は、社会保険加入の義務がないだけでなく、年次有給休暇の取得義務や時間外労働の規制も適用されないこともあります。
こういった一人親方を抑制することや社会保険加入状況を常に確認できるようにすることで労働環境の改善につなげていくことで、人員確保へつなげることができるのです。
万が一の事故、トラブルに備えるという意味でも、ぜひ作業員名簿は作成しましょう。

作業員名簿の書き方

作業員名簿は、一般的に多くの会社が一般社団法人全国建設業協会が作成している全建統一様式第5号を活用して作成されていきます。
中には、提出先となる元受けの会社が独自で作成しているものを使っているケースも見られます。
そのため、作業員名簿を作成する際は、提出先の書類の様式に合わせて作成する必要があることから、提出先の書類様式を事前に確認しておくようにしましょう。
今回は一般的に使われている全建統一様式第5号をもとにして書き方のポイントを押さえていきましょう。

欄外の記載項目

まず、作業員名簿の欄外に記載する項目の書き方について解説していきます。

作成日

作業員名簿を作成する日付を記載します。
署名や捺印を行った日付にあたります。

提出日

提出が確定している場合のみ、提出する日付を記載します。
ただし、まだ確定していない場合は空欄にし、提出する際に記載をしますので追記を忘れないように気を付けましょう。

事業所の名称・現場ID

工事を実施する作業所名か工事名称を記載していきます。
たとえば、「〇〇跡地計画」、「〇〇新築工事」、「〇〇改修工事」などいった形です。
一般的には元請から指示が入るので、指示通りに記入していく項目となります。
現場IDについては、建設キャリアアップシステムへの登録を実施している企業の場合のみ記載します。

所長名

元請会社の現場代理人の名刺を記載します。
ここで言う元請会社とは、自社の親会社という意味ではなく、現場単位での元請会社を指します。

一次会社名・事業者ID

作業員名簿をまとめて提出する一次請け会社の名前をこちらに記載します。
会社名の代わりに、一次請け会社の現場代理人の名前を記載してもかまいません。
事業者IDは、一次請け会社が建設キャリアアップシステムに登録している場合のみ記載するものです。

欄内の記載項目

作業員名簿の欄内は、氏名や生年月日といった情報を記載していきます。

氏名・技能者ID

作業員の氏名を記入します。
この氏名に誤りがあると、現場に入る際に身分証明書での証明ができなくなるため、現場に入れないといったトラブルに陥ります。
そのため、旧漢字や漢字などの誤りなどがないようにしっかりと身分証明書をもとに合致した内容で正確に記載しましょう。
技能者IDは、作業員が建設キャリアアップシステムに登録している場合のみ記載します。

職種

該当する作業員の職種について記載します。
たとえば、とび工、防水工、塗装工などのような名称になります。
自社がどのような工事を担当するのかによって誰にでもわかりやすい名称を記載しましょう。

生年月日・年齢

作業員の生年月日を記載します。
生まれ年について、和暦でも西暦でも特に問題ありません。
年齢については、18歳以上であれば年齢を記載するだけで良いですが、18歳未満の場合は、元請けに年齢証明書として住民票記載事項証明書などを提示する必要があります。

保険加入状況

加入している健康保険や年金保険、雇用保険についての情報を記載します。
健康保険の場合は、健康保険組合、協会けんぽ、建設国保、国民健康保険、適用除外などから当てはまる種類を記載するのです。
年金保険も、厚生年金、国民年金、受給者から該当するものを記載し、雇用保険は加入か日雇保険か適用除外かを記載します。
この時、被保険者番号の下4桁も記入しましょう。

建設業退職金共済制度・中小企業退職金共済制度

加入している場合は「有」にし、未加入の場合は「無」と記載します。

雇入・職長・特別教育

作業員は雇入の際に教育を受けることが義務付けられています。
そこで、雇入時教育をすべての作業員分記入しなければなりません。
職長教育や特別教育を受講している作業員がいればそれらも記載します。
ちなみに、特別教育とは法令に則ったカリキュラムを各企業が実施する講習であり、フォークリフトなどの特別講習がそれにあたります。

技能講習

作業員が持っている技能講習の情報について記載する項目です。
ただし、こちらは特別教育とは異なりますので注意が必要です。
受講していない場合は「無」で問題ありません。

免許

工事に関連する資格免許を記載しますが、こちらも特別教育や技能講習とは異なりますので注意しましょう。
たとえば電気工事士などといった免許を所持している場合に記載します。

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入場年月日

新規入場者教育を実施した年月日を記載します。

受入教育実施年月日

基本的に入場年月日と同じ日付です。
こちらの項目は、元請業者によって実施されるものになるため、元請業者の担当者に確認されると良いでしょう。

作成のポイント

作業員名簿を作成する際に気を付けておきたいポイントについてまとめてみましたので、ご紹介していきましょう。

POINT01

不明な項目がある場合

入場年月日などもし項目の中で不明な項目がある場合は、空欄にしておき、後から手書きで記入するのが一般的な作成方法です。

POINT02

証明書類

作業員名簿に免許を記載した際は、それを証明することができる書類のコピーを必ず添付するように注意しましょう。
免許証、資格認定書の原本ではなくコピーで問題ありません。
18歳未満の作業員を記載した場合は、住民票記載事項証明書などの年齢証明書も添付しましょう。

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まとめ

今回は、作業員名簿の書き方やポイントについて詳しく解説してきました。
安全に現場で作業を進めていくために工事に携わる人員の氏名、生年月日、免許などを記載し、元請けに提出を行って現場管理に活用します。
先ほどもご紹介したように作成の際、作業員の氏名が間違っていると現場に入場できなくなりますし、証明書類の添付も漏れがないようしっかりと内容を確認したうえで提出しましょう。

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