精算表をご存知でしょうか。
出張の経費や交通費などの経費精算をするための書類や取引先との間で代金を精算する書類ではありません。
この記事では、決算を正確に行うためや事前に決算内容を把握したい時に役立てられる精算表について、その目的や内容、書き方などを解説していきます。
精算表とは
精算表とは、残高試算表から決算整理仕訳を行い、貸借対照表と損益計算書を作成するまでの一連の流れをまとめた一覧表です。
なぜ、精算表を作成するのか、その目的は以下の通りです。
精算表の目的
精算表を作成する目的の一つは、決算内容の正確性を担保するためです。
精算表を作成することで、貸借対照表や損益計算書の転記ミスや記入漏れなどのミスを防止するチェック機能が果たされ、決算内容の正確性を担保することができます。
また、精算表を作成することで、決算がすべて完了するまでの間に、当期純利益を把握できることや決算の内容の概要が掴めます。
これによって当期の振り返りや反省を早期に行い、来期に向けた経営戦略を検討することや資金調達などを考えるなど早めの対策を講じることにつなげることも可能です。
4つの記入項目
精算表は決算に必要な項目が正しく記入されているかを確認する書類です。
チェックすべき項目として、4つの記入項目を確認することが求められます。/p>
4つの記入項目とは、以下の4項目です。
- 残高試算表(試算表)
- 決算整理仕訳(修正記入)
- 損益計算書
- 貸借対照表
以下で、それぞれの項目の特徴を確認していきましょう。
残高試算表(試算表)
試算表は決算確定作業に入る前に作成する集計表のことで、仕訳帳から総勘定元帳への転記が間違いなく行われているかを確認するのにも役立ちます。
試算表の中でも、残高試算表は総勘定元帳の勘定科目ごとに残高のみを一覧化したものです。
勘定科目ごとに借方合計と貸方合計を比較し、大きい金額から少ない金額を控除した差額、すなわち残高が集計されています。
正しく転記が行われていれば、残高試算表の借方と貸方それぞれの合計額が一致します。
残高試算表は各科目の残高が一目でわかるので、業績を素早く把握するのに役立つ計算書類です。
決算整理仕訳(修正記入)
決算整理仕訳とは決算の対象となる期間中の帳簿への記帳には反映されていない財産の変動を反映させる仕訳のことです。
お店などで1年に1度程度、棚卸のため休業するというお知らせを見たことがありませんか。
24時間いつでも買い物できて便利なオンラインショップでも、注文はできるけれど、棚卸のため発送が数日できないといった案内が出ることがあります。
決算時には帳簿上の在庫と実際の在庫を点検する実地棚卸を行い、差が出た場合に、実際の在庫に合わせて棚卸資産の残高を修正することがあります。
これも、決算整理仕訳による修正記入の一つです。
また、固定資産なども該当します。
そのほか、費用の勘定なのに、資産が計上されていたなど間違った仕訳が見つかった場合に、資産勘定へ振り替えるなど修正を行います。
決算にあたっては、まず決算整理仕訳を行ったうえで、それについて精算表の修正記入欄に記入することで、修正を行った履歴なども残すことが可能です。
損益計算書
損益計算書は決算書類として必須の書類であり、会計年度における事業収支が一覧で明確にされます。
残高試算表と決算整理仕訳による修正記入の欄に記入した収益と費用の各勘定を合算したうえで、精算表の損益計算書の欄に記入することが必要です。
貸借対照表
貸借対照表は期末時点の資産と負債の状況が、一目でわかる書類です。
残高試算表と決算整理仕訳による修正記入の欄に記入した資産・負債・純資産の各勘定を合算したうえで、精算表の貸借対照表の欄に記入します。
精算表の書式
精算表の書式にはいくつか種類があり、業種や業態、経営規模や取引規模、精算表を作成する主な目的などによって、使いやすい書式を使用するのが一般的です。
精算表の主な書式
精算表の主な書式をご紹介します。
8桁精算表が一般的
8桁精算表は精算表の中で、最も広く一般的に使われている書式です。
残高試算表、決算整理仕訳による修正記入、損益計算書、貸借対照表の4項目が掲載され、それぞれ借方と貸方に分けられています。
つまり、4項目がそれぞれ借方と貸方の欄に分けられ、合計で8桁の記入欄が設けられていることから、8桁精算表と呼ばれています。
精算表に記入すべき4つの項目について、決算の手順に沿って、残高試算表から決算整理仕訳による修正記入、損益計算書、貸借対照表と順に記入していけば良いので、初めてでもわかりやすく、漏れなく作成が可能です。
6桁精算表/10桁精算表の場合も
6桁精算表は、8桁精算表のうち、決算整理仕訳による修正記入の項目が省かれたことで6桁になっている精算表です。
試算表、損益計算書、貸借対照表について、借方・貸方に分けた6行だけが記載されます。
10桁精算表は、8桁精算表の決算整理仕訳による修正記入の項目に続いて、決算整理後残高試算表という項目が追加され、それぞれ借方・貸方に分けられ、10行になっている精算表です。
より細かく確認し、正確性の精度を上げたい時に用いられます。
「貸方・借方」の意味
決算のための帳簿作成をはじめ、8桁精算表などの精算表を記入するうえでは貸方・借方の意味を理解し、仕訳ができるようにしておくことも大切です。
貸方とは負債・純資産・収益の項目で、借方は資産や費用が計上されます。
企業で採用されている正規の簿記、いわゆる複式簿記では、貸方と借方を常にセットで記入し、金額が合致しなくてはなりません。
精算表に関連する記事はこちら
精算表の書き方
精算表の書き方について見ていきましょう。
「試算表」の記入
精算表の試算表欄に決算整理前の残高試算表の金額を、各勘定科目に転記することが必要です。
間違いないように、丁寧に転記しましょう。
「修正記入」の記入
実地棚卸による差額の修正をはじめ、売上原価の計算や減価償却費の計上などの決算整理仕訳を実施したうえで、精算表の修正記入欄に金額を正確に記入します。
6桁精算表の場合は、この項目はありません。
「損益計算書」および「貸借対照表」の記入
残高試算表欄と決算整理仕訳による修正記入欄の金額を合算したうえで、その合算額を精算表の損益計算書欄の費用と収益科目に記入してください。
同様に、残高試算表欄と決算整理仕訳による修正記入欄の資産・負債・純資産に該当する項目を合算したうえで、精算表の貸借対照表欄の該当科目に記入しましょう。
当期純利益の算出
転記が済んだら、精算表の借方と貸方の合計金額が一致しているか確認してください。
そのうえで、当期純利益または純損失を算出すれば完成です。
当期純利益に関する記事はこちら
精算表作成ソフトを利用して業務を効率化しよう
精算表は決算の正確性を担保するために重要な役割を果たしますが、転記ミスや合算ミスなどを行うことや記入欄を間違えてしまえば意味がありません。
手順を見てきましたが、簿記の知識や経理の経験などがないと、つまずくことも多く、スムーズにはいかず、時間もかかります。
業務効率をアップし、精度を高めるためにも、精算表作成ソフトを利用するのがおすすめです。
建築業向け管理システム アイピア
まとめ
精算表とは、決算時に残高試算表から決算整理仕訳を行い、貸借対照表と損益計算書を作成するまでの一連の流れをまとめた一覧表のことです。
精算表の目的は、決算における貸借対照表や損益計算書の記入ミス防止や当期純利益や決算の内容を事前把握して経営判断に活かすことなどです。
4つの記入項目として、残高試算表(試算表)、決算整理仕訳(修正記入)、損益計算書、貸借対照表があります。
精算表の精算表の主な書式として、8桁精算表が一般的ですが、6桁精算表や10桁精算表が用いられる場合もあります。
精算表の書き方の基本的な流れは、「試算表」の記入→「修正記入」の記入→「損益計算書」および「貸借対照表」の記入→当期純利益の算出です。
精算表の作成は複雑で面倒、時間もかかるので、精算表作成ソフトを利用して業務を効率化しましょう。
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