工事ごとの原価や利益を正確に把握することは、赤字工事を防ぎ、安定した経営を行ううえで欠かせません。
近年では、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応も求められ、工事台帳の重要性はさらに高まっています。
従来はエクセルや手書きで管理されることも多くありましたが、案件ごとに作成・更新を行うのは大きな負担となっていました。
そこで本記事では、クラウド化・AI化が進む最新の工事台帳作成ソフトの特徴や導入メリット、選び方についてわかりやすく解説します。
これから工事台帳のデジタル化や業務効率化を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
工事台帳とは
工事台帳とは、工事ごとの取引内容や原価情報を詳細に記録し、収支管理を行うための台帳です。
近年ではクラウドシステムや会計ソフトと連携し、自動でデータが更新されるケースも増えています。
工事台帳は、各工事の原価を集計するため、「工事原価管理台帳」「工事原価台帳」と呼ばれる場合もあります。
未成工事支出金、あるいは完成工事原価を
- 材料費
- 労務費
- 外注費
- 経費
の4項目に分けて記載します。
工事台帳に関する記事はこちら
工事台帳作成の目的
そもそも工事台帳を作成する目的はどこにあるのでしょうか。
以下では、3つの目的を取り上げ、それぞれ解説していきます。
正しい利益管理
工事台帳を作成する目的の一つに、工事の費用を適切に管理することがあります。
工事ごとの収支や利益率を簡単に把握できるので、精度の高い見積りを作成することも可能です。
また、工事台帳をしっかり管理することで、原価予測を適切に行うことができます。
これにより、赤字工事や無理な受注などを回避し、正しい利益管理を実現できます。
経営事項審査
国土交通省は、経営事項審査について以下のように説明しています。
「経営事項審査」とは、公共性のある施設又は工作物に関する建設工事(以下「公共工事」という。)を発注者から直接請け負おうとする建設業者(建設業法第3条第1項の許可を受けた者をいう。)が必ず受けなければならない審査です。
引用元:国土交通省「経営事項審査及び総合評定値の請求について」
公共工事の各発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行うこととされており、当該発注機関は欠格要件に該当しないかどうかを審査したうえで、客観的事項と主観的事項の審査結果を点数化し、順位付け、格付けをしています。
つまり、経営事項審査とは、公共工事を請け負うために建設業者が受けなければならない審査です。
この審査の一部である「客観的事項」には、建設業者の経営状況や経営規模、技術的能力などが含まれています。
工事台帳は、自社の経営状況を示すための資料として提出することができます。
税務調査への対応
工事台帳を作成していれば、税務調査への対応をスムーズに行うことができます。
建設業界は、税務調査が入りやすい業界だといわれます。
工事の費用が高額であったり、売上計上基準が複数あるためです。
税務調査の際に工事台帳を提出する義務はありませんが、工事の費用が適切に管理されていることが分かれば、調査官の心証が良くなるでしょう。
経営のリアルタイム可視化とDX対応
近年、建設業界では業務のデジタル化(DX)が急速に進んでおり、工事台帳も単なる記録ではなく「経営管理ツール」としての役割が強くなっています。
従来のように月末や工事完了後に集計する方法ではなく、クラウドシステムを活用することで、工事ごとの原価や利益をリアルタイムで把握できるようになっています。
これにより、赤字工事の早期発見や利益率の改善、経営判断のスピード向上が可能となり、より精度の高い経営管理を実現できます。
さらに近年では、AIを活用した原価予測や異常値の検知、データ分析の自動化なども進んでおり、工事台帳は「記録するもの」から「経営を支援する仕組み」へと進化しています。
原価管理に関する記事はこちら
工事台帳作成ソフト導入のメリット
工事台帳の概要や作成目的について確認してきました。
工事台帳は手書きやエクセルで作成することもできますが、手間や時間がかかります。
正確かつ迅速に工事台帳を作成したい場合、工事台帳作成ソフトの導入をおすすめします。
以下では、工事台帳作成ソフトを導入する具体的なメリットを紹介します。
ミスの削減・業務の標準化(属人化の解消)
工事台帳作成ソフトでは、あらかじめ入力項目やフォーマットが統一されているため、手作業やエクセル管理で発生しやすい入力ミスや転記ミスを大幅に削減できます。
また、担当者ごとに管理方法が異なることで発生する属人化を防ぎ、誰が担当しても同じ品質で工事台帳を作成できる環境を整えることができます。
近年では入力補助や自動計算機能に加え、AIによる入力支援機能を備えたシステムも増えており、より正確で効率的な台帳管理が可能になっています。
リアルタイム共有とデータの一元管理
クラウド型の工事台帳作成ソフトを活用することで、現場・営業・経理など複数部署間でデータをリアルタイムに共有できるようになります。
従来のエクセル運用では発生していた「最新版がどれかわからない」といった問題を解消し、常に最新の工事情報を全社で参照できる環境を構築できます。
また、売上・原価・請求・入金などの情報が一元管理されることで、経営状況を即時に把握でき、迅速な意思決定にもつながります。
AI・自動化による業務効率化
近年の工事台帳作成ソフトは、単なる入力・集計ツールから、AIや自動化機能を備えた業務支援システムへと進化しています。
例えば、過去データをもとにした原価の自動分類や、異常コストの検知、利益率の予測など、従来は手作業で行っていた分析業務の多くが自動化されています。
これにより、経理担当者や現場管理者の負担を軽減しつつ、より精度の高い経営判断が可能になります。
現場対応力の向上(モバイル・クラウド活用)
クラウド型の工事台帳作成ソフトであれば、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットからもアクセスでき、現場にいながら情報入力や確認が可能です。
これにより、事務所に戻ってからの後処理が不要になり、現場で発生した情報をその場で即時反映できるようになります。
写真や日報、進捗管理とも連携することで、現場情報の精度が向上し、全体の業務効率化につながります。
工事台帳作成ソフトの選び方
工事台帳作成ソフト導入のメリットを確認しました。
ソフトの導入を検討しているけれど、種類が豊富なあまりどの製品が自社に合うのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。
以下では、工事台帳作成ソフトを選ぶ際のポイントを4つ紹介します。
ポイント① 工事台帳作成ソフトの種類
工事台帳作成ソフトを導入するにあたって、まず注目したいのがソフトの種類です。
工事台帳作成ソフトには、大きく分けて
- クラウド型
- インストール型
の2種類があります。
それぞれの概要やメリット・デメリットを確認していきましょう。
CASE1
クラウド型
クラウド型のソフトは、インターネットを介してデータを管理します。
そのため、ネット環境下であれば、どこからでも利用することができます。
クラウド型のメリット
- 情報共有をスムーズに行える
- データ紛失のリスクを回避できる
- 外出先でスマートフォン、タブレットからの操作が可能
- 他のシステムと連携できるものもある
クラウド型のソフトの場合、サーバー管理会社がデータを管理します。
データ紛失のリスクは回避できますが、その分毎月の利用料を支払わなければなりません。
コストを抑えたい企業にとっては、デメリットとなるでしょう。
CASE2
インストール型
工事台帳作成ソフトをパソコンにインストールして利用するのが、インストール型のソフトです。
インターネットに接続されていなくても、パソコンさえあればソフトを利用することができます。
インストール型のメリット
- ソフトの処理速度が通信状態に影響されない
- システムのカスタマイズが簡単に行える
- 運用コストを抑えられる
インストール型の場合、ソフトをインストールしているデバイスからしかアクセスできません。
そのため、外出先からスマートフォンなどで操作することが困難です。
また、ソフトがバージョンアップされた場合には対応する必要があり、費用が発生します。
パソコンにデータを保存するため、情報共有にやや時間がかかることもデメリットといえます。
ポイント② 操作感
工事台帳作成ソフトを導入する際、気を付けたいのがのソフト操作感です。
せっかく導入しても使いこなせなければ意味がありません。
誰でも簡単に操作できる、あるいは、サポート体制が充実している製品を選ぶと良いでしょう。
ポイント③ 経営事項審査に提出できるか
既に確認した通り、工事台帳は経営事項審査を受ける際に提出できる書類です。
そのまま審査に利用できる工事台帳を作成できるソフトを選ぶようにしましょう。
工事台帳作成ソフトのなかには、工事台帳に近い書式をしていても審査用としては不十分であるものしか作成できない製品
もあります。
経営事項審査提出用の工事台帳を作成する場合、特に労務費(人件費)の管理方法が重要です。
ソフトを導入する際には、審査に活用できる工事台帳を作成できるのかどうか、しっかり確認しましょう。
ポイント④ 他ソフトとの連携は可能か
工事台帳ソフトを導入する際、他のソフトやシステムとの連携が可能かどうか確認する必要があります。
別のソフトを既に利用していたり、これから導入しようとしている場合、特に注意が必要です。
データ移行が可能かどうかなど、ソフト間の連携の可能性を確認しておくことで、さらなる業務効率化を実現できます。
工事台帳作成なら!建築業向け管理システム『アイピア』
工事台帳ソフトの概要や選び方を確認してきました。
以下では、おすすめの工事台帳ソフト・システムを紹介します。
導入を検討されている方は、是非参考にしてみて下さい。
ひとつ目に紹介するのは、建築・リフォーム業向けの管理システム『アイピア』です。
アイピアは、工事台帳の作成はもちろん、顧客管理や原価管理、見積管理など建築・リフォーム業で必要な業務を一元で管理することができます。
| 提供形態 | クラウド |
|---|---|
| 機能 | 見積作成、原価発注管理、工程管理、書類・写真管理、顧客管理、営業進捗管理、請求管理、入金管理、帳票作成、現場日報管理、物件管理、労務管理、在庫管理、その他 |
| 参考価格 | お問合せ |
| 体験版 | 無料デモあり | 運営会社 | 株式会社アイピア |
アイピアでの工事台帳作成について詳しくみていきましょう。
STEP1 工事案件を登録して進捗管理
アイピアで工事台帳を作成するためには、まず「案件情報」を入力します。
案件情報を入力することで、どの企業からどのような依頼を受けたのか、すぐに確認できます。
発生源や工事種別などの情報を組み合わせることで、売上集計を確認したり、検索に役立てたりすることができます。
STEP2 簡単!原価情報の入力
アイピアは、誰でも簡単に操作ができるよう、画面レイアウトやボタン配置を工夫しています。
使わない機能を非表示にすることができるため、余計な情報に惑わされることがありません。
過去に入力した情報をコピーしたり、見積情報をインポートすることができるので、原価情報をスムーズに作成できます。
STEP3 入力された情報から工事台帳を自動生成
入力された原価や経費の情報をもとに、工事台帳が自動生成されます。
そのため、工事台帳を作成する際の情報の転記ミスや入力ミスを回避することができます。
工事台帳のレイアウトはあらかじめアイピアに搭載されていますが、オリジナルの工事台帳作成にも対応しています。
自社に合った工事台帳を作成することが可能です。
また、アイピアの工事台帳は、売上原理や粗利、粗利率に加えて、労務費を差し引いた営業利益に近い金額を算出することもできます。
さらに、以上の情報を現場ごとに算出することができるため、改善が必要な現場が明らかになります。
その他の機能
アイピアは、工事台帳作成以外にも、さまざまな機能が搭載されています。
アイピアの機能
- 顧客管理
- 見積作成
- 営業進捗管理
- 原価発注管理
- 請求管理
- 入金管理
- 工程管理
- 現場日報管理
- 物件管理
- 設備管理
バージョンアップでは、ユーザーの要望をもとに、機能の追加や修正を行っています。
サポート体制が充実しているのもアイピアの特徴です。
その他おすすめ工事台帳作成ソフト【比較表あり】
建築・リフォーム業向け管理システム『アイピア』の特徴を確認しました。
以下では、その他工事台帳を作成できるソフト・システムを紹介します。
らくらく!工事台帳作成システム Web版
『らくらく!工事台帳作成システム Web版』は、クラウド型の工事台帳作成システムです。
工事管理、仕入・支払管理、請求・入金管理が可能です。
特徴
- 15種類の管理帳票を搭載
- シンプルな入力画面で操作が簡単
- 消費税率は自由に変更可能
- PDFファイルでの出力ができる
- 安心のサポート体制
| 提供形態 | クラウド |
|---|---|
| 機能 | 工事管理、支払・仕入管理、入金・請求管理、その他 |
| 参考価格 | 1ユーザー:90,000円 3ユーザー:90,000円 5ユーザー:110,000円 10ユーザー:110,000円 (契約日数360日) |
| 体験版 | 14日間無料体験あり | 運営会社 | 株式会社ウィズ |
uconnect
『uconnect』は、クラウド型の粗利管理ソフトです。
売上と原価を登録すると、工事台帳が自動で作成されます。
特徴
- 実行予算残を毎月自動で集計
- 会計ソフトへの連携も可能
- 安心のセキュリティ管理
- 各種業種向けにカスタマイズして提供
| 提供形態 | クラウド |
|---|---|
| 機能 | リアルタイム粗利管理、入出金台帳出力、帳票出力、売掛管理・買掛管理、会計連携、分析、会社切り替え、部門、その他プランごとの機能 |
| 参考価格 | 1ユーザー:7,920円 3ユーザー:10,560円 5ユーザー:13,200円 10ユーザー:19,800円 ※案件・工事業プランの場合 |
| 体験版 | 30日間無料体験あり | 運営会社 | 株式会社unlimited |
JSI工事台帳 lite
『JSI工事台帳 lite』は、『弥生会計』と連動可能な工事台帳作成システムです。
ソフトをPCへインストールし、データはクラウド上で管理するインストールクラウド形式を採用しています。
特徴
- 『弥生会計』からデータを簡単取り込み
- シンプルな操作画面
- 請求入金・科目別集計表・工事経歴書などの機能を搭載
- エクセルへの出力が可能
| 提供形態 | インストールクラウド |
|---|---|
| 機能 | 基本情報保守、請求入金、科目別集計表、工事経歴書、間接経費按分、工事台帳作成、その他 |
| 参考価格 | 20,000円(年額) |
| 体験版 | ― | 運営会社 | 弥生株式会社 |
使えるくらうど工事台帳
『使えるくらうど工事台帳』は、クラウド型の管理システムです。
工事台帳作成に加え、日報管理や原価管理、労務管理等の機能も搭載されています。
特徴
- 各帳票に合わせた詳細な条件設定が可能
- 一度の原価入力で各種帳票を出力できる
- わかりやすい操作方法
- スケジュール機能やワークフロー機能を搭載
| 提供形態 | クラウド |
|---|---|
| 機能 | 見積管理、実行予算、スケジュール、日報入力、在庫管理、支払査定、売上・入金管理、工事台帳、今後予想原価、原価管理、重機管理、共通費配賦、ワークフロー、問合画面・帳票出力、その他 |
| 参考価格 | お問い合わせ |
| 体験版 | ― | 運営会社 | アサクラソフト 株式会社 |
JDL IBEX 原価管理・工事台帳
『JDL IBEX 原価管理・工事台帳』は、インストール型の原価管理ソフトです。
建設業のほか、製造業やサービス業など幅広い業種で利用することができます。
特徴
- 『JDL IBEX出納帳』『JDL IBEX会計』などに連動可能
- 工事台帳をはじめ様々な管理資料を作成できる
- シンプルなデータ入力画面
- インターネットを通じて顧問会計事務所と連携できる
| 提供形態 | インストール |
|---|---|
| 機能 | 工事管理(データ入力)、原価管理、財務帳表・資料作成、会計処理、その他 |
| 参考価格 | 38,000円(税抜) |
| 体験版 | ― | 運営会社 | 株式会社日本デジタル研究所 |
建築業で工事台帳作成ソフトを導入した事例
ここでは実際に建築業で工事台帳作成ソフトを導入した事例をご紹介します。
事例1:ゼネコンの複数現場管理の強化
会社規模: 従業員500名以上のゼネコン
導入したソフト: ERP連携型工事台帳ソフト(原価管理・経理統合機能付き)
課題:
- 現場ごとに異なるフォーマットで工事台帳を作成し、データの統一性がない
- 経費精算の手続きが煩雑で、支払い処理に遅れが発生
- 本社と現場でデータ共有が遅く、コスト調整が適切にできない
効果:
- 工事台帳フォーマットを統一し、データの一元管理が可能に
- 経費精算・請求処理をシステム化し、支払いミスを防止
- 本社と現場のリアルタイム情報共有が可能になり、コスト管理精度向上
事例2:中小工務店の収支管理の効率化
会社規模: 社員10名の地域密着型工務店
導入したソフト: クラウド型工事台帳ソフト(会計ソフト連携機能付き)
課題:
- Excelで工事台帳を管理していたが、手入力のため転記ミスが発生
- 収支状況の集計に時間がかかり、リアルタイムで利益を把握できない
- 請求漏れ・未払いが発生し、資金繰りに影響
効果:
- 工事ごとの収支管理がリアルタイムで可能に(経営判断の迅速化)
- 自動集計機能により転記ミスを削減(作業時間30%削減)
- 請求・支払い管理を統一し、資金繰りの安定化を実現
工事台帳作成なら建築業向け業務管理システム『アイピア』
まとめ
工事台帳は工事ごとの費用内訳を把握し、赤字工事を回避するために欠かせません。
しかし、案件ごとに一から作成するのは大変手間がかかります。
工事台帳作成ソフトを導入することで、より正確な工事台帳を簡単に作成することができます。
現在では、クラウド型の工事台帳作成ソフトが主流となり、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応、さらにはAIによる自動化機能など、業務効率化は大きく進化しています。
工事台帳作成ソフトやシステムの導入を検討する際は、ソフトの機能や操作感、他のソフトとの連携可能性などを考慮し、自社に合った製品を選ぶようにしましょう。
工事台帳の作成をはじめ、工事に関する業務を一元で管理したいという方は、弊社の提供する建築業向け管理システム『アイピア』をぜひご検討ください。
工事台帳に関する記事
原価管理に関する記事
- 原価管理とは?メリットや効果的な管理方法をご紹介
- 工事原価管理とは?おすすめの原価管理システムも紹介!
- 実行予算と基本予算の違いとは?見積、積算、その他間違えやすい言葉も紹介
- 粗利とは?粗利の注意点・計算方法について徹底解説




















