請求書に有効期限があることをご存知でしたか。
いつまでに支払ってもらうかの支払期日だけでなく、有効期限も意識しましょう。
そのうえで、支払期日の決め方や未払い時の対処法を確認していきましょう。
目次
請求書の有効期限
請求書の有効期限を意識したことがありますか。
支払期日や発行日は記載するけれど、有効期限を記載したことがない、見たことがない方という方もいるかもしれません。
「有効期限って支払期日のことではないの?」と思う方もいることでしょう。
有効期限は支払期日とは異なり、その請求書でいつまで請求ができるかの期限のことです。
支払期日を過ぎても支払いがないケースもあり得ます。
支払いを遅滞されても、有効期限までは請求が可能ですが、督促するなど時効を中断しないまま、請求書の有効期限がくると消滅時効が成立し、その請求が白紙になってしまうので注意が必要です。
改正民法上の請求書の有効期限
民法が改正されたことに伴い、改正民法上の請求書の有効期限は5年間になりました。
改正法施行前の2020年3月31日までに発行された請求書の有効期限は2年間、2020年4月1日以降の請求書の有効期限は5年間となりますので注意が必要です。
請求書の書き方に関する記事はこちら
請求書の支払期日
支払期日とは、その請求額をいつまでに支払うかの期限日です。
その日までに支払うか、引き落としなどの場合は支払期日当日に引き落としがなされます。
支払いサイトとは
支払いサイトとは支払いの猶予期間とも言われ、支払期日をいつに設定するかとも関わってきます。
請求書の支払期日は請求書を渡してすぐではなく、資金準備や振り込みなどの手間をかけられるよう、支払いサイトを設けるのが基本です。
請求書の支払期日の設定方法
請求書の支払期日の設定方法は、商慣習や金額、取引内容などにもよりますが、長すぎず、短すぎない期間を設定します。
長すぎると忘れられることやなかなか代金が入ってこないことがあるので請求側の資金繰りにも影響を与えるほか、取引先が支払わないまま倒産するリスクも発生します。
短すぎると資金準備が間に合わない場合や手続きする余裕がなくなり、取引相手から嫌がられて、次回以降の取引につながらない場合があるかもしれません。
金額などにもよりますが、一般的には2週間から1ヶ月以内を設定することが多いです。
CHECK!
支払期日が金融機関の休日と重なる場合
支払期日が金融機関の休日と重なる場合は、あらかじめ確認のうえで前後にずらしましょう。
こちらが振り込む場合は前営業日にずらすケースが多いですが、相手方に支払ってもらう場合は、1営業日後にするケースも多いです。
長い連休がある時などは、支払不能のリスクなどを踏まえ、前営業日にしたほうが安心できます。
請求書への記載方法
請求書に支払期日の欄があれば、そこに西暦または元号から月日まで記載します。
欄がない場合には、支払条件欄に記載しましょう。
請求書の支払期日を定めない場合のリスク
請求書の支払期日を定めないと支払いの先延ばしや忘れられるリスクがあり、催促したくてもタイミングがなくなります。
支払いがない間に取引相手の経営が悪化し、倒産して支払われなくなるリスクもあるので注意が必要です。
請求書の送付方法に関する記事はこちら
請求書の支払期日までに支払いがない場合の対応
請求書の支払期日までに支払いがない場合の対応には、ステップがあります。
支払いというデリケートな問題ですので、いきなり強硬手段に出ないよう、順次ステップを踏んでいきましょう。
自社側にミスがないか確認する
相手方に失礼にならないよう、まずは自社側にミスがないか確認を行います。
請求書の控えを確認し、支払期日をいつに設定したのか、支払期日を記載せずに交付していないかをチェックします。
取引先に連絡する
自社にミスはなく、支払期日が到来している場合には、振り込みがなされていないか入金確認を行いましょう。
支払いがなされていないことがわかれば、取引先に連絡します。
支払期日が到来していることを伝え、先方の事情などを伺いましょう。
近日中に支払ってもらう約束を取り付けます。
可能であれば、いつまでにという約束をしておきましょう。
内容証明書を送付する
連絡して数営業日待つ場合や口頭でお願いした期日や約束した期日までに支払いがない場合には内容証明書を送付して、消滅時効が進行しないようにすることも必要です。
内容証明は、一般書留郵便物について、郵便局がいつ、どんな内容の文書を誰から誰宛てに差し出されたかを証明する制度です。
郵便局が証明してくれるのは、文書の真実性ではなく、送付した文書が確かに存在したということになります。
相手方が、支払いを催促する文書は受け取っていないとごまかそうといても、内容証明で証明することができます。
支払督促を申し立てる
内容証明書を送付して支払いを促しても支払いがない場合、倒産などのリスクを避けるためにも、支払督促を申し立てることが必要です。
簡易裁判所に申し立てを行うと、裁判所書記官が相手方に支払いを命じてくれます。
略式手続きのため、互いに裁判所に出頭して弁論をする必要もなく、費用も訴訟の半額で済みます。
支払督促を送っても支払いがなく、異議申し立てもなされない場合、申立人は仮執行宣言を発行してもらい、強制執行を申し立てることも可能です。
請求書の管理に関する記事はこちら
請求書の支払期日への受領側の対応
支払期日について請求側と受領側が特に事前の申し合わせをしていなかった場合、受領側が支払期日を見て困る場合もあるかもしれません。
その場合、どのような対応をすべきでしょうか。
請求書の支払期日が短すぎる場合
高額の支払いで、社内の決済が必要である場合や取締役会の決議が必要となるようなケースなのに、それを行う日数の猶予がないといった場合、事情を説明して、先延ばししてもらえるよう交渉しましょう。
その場合、いつまでなら支払えると具体的な期日や期間を指定すると、相手方が安心して交渉が成立しやすくなります。
請求書の支払期日を過ぎてしまった場合
請求書の支払期日を過ぎてしまった場合には、まずお詫びをし、事情を説明したうえで、いつまでに支払いができるかを伝えることが大切です。
請求書に支払期日の記載がない場合
請求書に支払期日の記載がない場合には、気付き次第相手方に確認しましょう。
放置していると相手方のミスでも、勘違いして催促されることや悪い印象をもたれるなどトラブルのもとになります。
請求書の電子化に関する記事はこちら
請求書の未払いを回避する方法
請求書の未払いを回避する方法として、支払期日の設定前に与信管理を行うこと、請求プロセス全体の請求管理を見直すことも大切です。
与信管理を行う
財務力がしっかりしており、支払遅滞や不能のリスクが小さい相手方なら、月末や1ヶ月後などの支払いサイトを設けても、債務不履行リスクは小さいです。
一方、財務力が低い相手方の場合、支払いサイトを長く設定すると、その間経営状態が悪化することや倒産して支払いを受けられなくなるリスクがあります。
信用力が低い相手は1週間から2週間以内に設定することや一度でも支払遅延があった相手方は1週間以内にするなど、与信管理を行いましょう。
請求管理を見直す
支払期日を記入し忘れるミスをなくすことや支払期日の設定のルールを設けるほか、支払期日が過ぎた後にどのタイミングで連絡や催促を行い、内容証明や支払督促を行うのかスケジュールを決めておきましょう。
支払期日までの入金がなされるよう振り込みのほか、キャッシュレス決済などを導入することや、支払遅滞が起きても連絡による催促で支払ってもらえるよう、連絡を取るタイミングや支払いをうまく促せる文書の内容などを検討することも大切です。
与信管理に関する記事はこちら
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まとめ
改正民法上の請求書の有効期限は5年間になりました。
改正法施行前の2020年3月31日までに発行された請求書の有効期限は2年間、2020年4月1日以降の請求書の有効期限は5年間となりますので注意が必要です。
請求書の支払期日は請求書を渡してすぐではなく、資金準備や振り込みなどの手間をかけられるよう、支払いサイトとも呼ばれる猶予期間を設けるのが基本です。
請求書の支払期日の設定方法は商慣習や金額、取引内容などにもよりますが、長すぎず、短すぎない期間を設定します。
請求書の支払期日までに支払いがない場合の対応として、未払いの対応として、自社のミス確認、取引先に連絡、内容証明書の送付、支払督促の申し立てが必要です。
また、請求書の未払いを回避する方法として、与信管理を行うこと、請求管理を見直すことも大切です。
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