請求書を電子化するメリットとは?注意点や電帳法の保存要件も解説

請求書を電子化するメリットとは?注意点や電帳法の保存要件も解説

IT化の影響や法整備が進んだこともあり、近年は請求書の電子化を進める企業が増えている状況です。
デジタルデータとして取り扱えば、請求書の作成や管理が楽になるうえに、郵送代や用紙代などの経費削減効果も期待できます。
紙の請求書の管理が大変だという企業は、請求書の電子化を検討してみてはいかがでしょうか。

電子請求書を導入する際には、取引先やセキュリティ面などへの配慮が必要です。
また、電子帳簿保存法を遵守したうえで、適切な方法で管理しなくてはなりません。
本記事では、請求書を電子化するメリットや注意すべき点を詳しく解説していきます。

請求書の電子化とは?

請求書の電子化は、文字通り請求書をデジタルデータとして取り扱うことです。
電子化した請求書は、『電子請求書』と呼ばれています。

そのほかに、『電子インボイス』、『Web請求書』などの名称で呼ばれることもあります。
スキャナや複合機やデジタルカメラなどの入力装置で読み取ることやオフィスソフトや専用ツールなどを使ってPDFファイルへ変換して、電子請求書を作成します。

電子請求書の送付方法については、電子メールで送信、Webブラウザ上で公開して相手先がそれをダウンロードするといった方法が一般的です。
請求書に特化した専用システムを使えば、電子請求書の作成から管理までを効率良く行えます。

インボイス制度との関係

請求書を電子化するにあたっては、インボイス制度(適格請求書等保存方式)との関係性をよく理解しておく必要があります。
インボイスは、適格請求書のことです。
売り手側が買い手側に対して適用税率や消費税額などを伝える目的で作成します。
令和5年10月1日からインボイス制度がスタートする予定です。

この制度ではインボイスを発行できるのは、『適格請求書発行事業者』のみです。
『適格請求書発行事業者』になるためには、登録申請書を提出して、登録を受けなくてはなりません。
また、インボイスには、『登録番号』、『適用税率』、『税率ごとに区分した消費税額等』などの情報を追加しておく必要があります。
インボイス制度の詳細については、政府の公式サイトなどで確認しておくと良いでしょう。

このインボイス制度では、インボイスの発行や交付などをデジタルデータで取り扱うことを推奨しています。
電子化したインボイスは、電子取引に該当し、電子帳簿保存法の適用対象となります。

そのため、電子帳簿保存法を遵守しながら、請求書の電子化や保管をしなくてはなりません。
なお、電子帳簿保存法は、2021年に改正されています。
タイムスタンプや検索の要件緩和、適正事務処理や税務署長の事前承認の廃止、不正に関する罰則の強化などいった変更点がありますので、その点も確認しておきましょう。

請求書を電子化するメリット

請求書の電子化は、発行する側と受領する側のどちらにもメリットがあります。
双方にとってどのようなメリットがあるのかを、具体的に見ていきましょう。

発行側のメリット

発行側にとっての請求書の電子化のメリットは、以下の通りです。

作成や発送の手間を省ける

紙の請求書を作成して発送する際には、プリントアウト、宛名書き、封入、切手の貼付、ポストへの投函などいったように、さまざまな工程が発生します。
請求書の枚数が多い場合には、処理に時間がかかってしまうことでしょう。

請求書を電子化して、電子メール送信やWebブラウザで公開すれば、そのような手間を省くことができます。
請求書業務の効率化や担当者の負担軽減につながるのが電子化のメリットです。
さらに、切手代や用紙代などの経費が削減できるといったメリットもあります。

ペーパーレス

請求書を電子化すれば、パソコンや専用システムなどで作成したデータをそのまま相手先へ送付できます。

紙の請求書はもちろんのこと、コピー用紙や封筒や宛名用ラベルなども不要となります。
社内のペーパーレス化を実現したい企業にとっては、メリットとなることでしょう。

いつでもどこでも作成できる

クラウドに対応した請求書管理システムを活用すれば、場所を問わずに請求書を作成できます。
インターネット回線が利用できる環境が整っていれば、外出先や自宅からでも対応可能です。
確認や承認などの作業もシステム上で行えますので、押印のためにわざわざ出社する必要がなくなります。

リモートワークや在宅ワークといった働き方も導入しやすくなることでしょう。
いつでもどこでも請求書に対応できる環境を作っておけば、災害や事故などで社員が出社できない場合でも、業務に支障を来す心配がありません。

受領側のメリット

受領側にとっての請求書の電子化のメリットは以下の通りです。

保存や検索が楽になる

電子化した請求書は、保存や検索などが簡単に行えるといったメリットがあります。
紙の書類と違って、開封作業やファイリングの手間がかかりませんし、紛失や破損などのリスクもありません。
すぐに目的の請求書を見つけ出して、閲覧できるので、日々の業務をスムーズに進めることができるでしょう。

請求書の発行後すぐに受け取れる

すぐに受け取れることも、電子請求書のメリットです。
紙の請求書は、先方が持参することや郵送してくれるのを待たなくてはなりません。

その点において、電子請求書は発行側が請求書を作成して送信したタイミングで、受け取ることができます。
発行日当日中に請求書を受け取ることも可能なので、万が一ミスがあった場合でもすぐに修正してもらいやすいでしょう。

請求書を電子化する際の注意点

最後に、請求書を電子化する際の注意点についても、詳しく見ていきましょう。

取引先の合意を得る

請求書を電子化する前に、送付予定の取引先へ連絡を入れておきましょう。
何の連絡もなしに紙の請求書から電子請求書へ切り替えたら、相手先の企業は驚いてしまうかもしれません。

紙の請求書にこだわりたい企業だった場合には、電子請求書を受け付けてもらえない可能性もあります。
請求書は発行する側と、受領する側のどちらも利用するものなので、必ず双方の合意を得ておかなくてはなりません。

セキュリティ対策を万全にする

デジタルデータは複製や改ざんがしやすいというデメリットがあります。
多くの企業が導入しているオフィスソフトの形式で作成した請求書は、簡単に改ざんできてしまいますので注意が必要です。

そういったトラブルを避けるためにも、請求書を電子化する際にはPDF形式を用いることやパスワードを設定するなどのセキュリティ対策をしておいたほうが良いでしょう。

電子帳簿保存法改正の保存要件を確保する

改正された電子帳簿保存法では、電子取引の際に『真実性の確保』『可視性の確保』の2つの要件を満たさなければならないと定めています。
これらの要件の詳細は以下の通りです。

真実性の要件

電子化した請求書の内容が正しいということを証明するために必要な要件のことです。
以下の条件を満たす必要があります。

  1. タイムスタンプが付された後で取引情報の授受を行うこと
  2. 取引情報の授受した後速やかにタイムスタンプを付す、保存を行う者や監督者の情報を確認できる状態にする
  3. 記録事項の訂正や削除を行った場合にこれらの事実や内容を確認できるシステム又は記録事項の訂正や削除ができないシステムを用いて取引情報の授受や保存を行うこと
  4. 正当な理由がない訂正や削除の防止について事務処理規程を定めてたうえで、規程に沿う運用をすること

可視性の要件

可視性の要件は、 見読性や検索機能を確保することです。
さらに、電子計算機処理システムの概要書も備えておく必要があります。
見読性の確保では、電子計算機、プログラム、プリンタなどの操作マニュアルを備え付けて、整然および明瞭な状態でディスプレイや書面で速やかに出力できる状態にしておかなくてはなりません。

検索機能については、取引年月日、その他日付、取引金額、取引先などを検索できる状態にしておく必要があります。
また、日付や金額の範囲指定、2つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件での検索ができることも、要件に含まれています。

請求書の発行もできる『建築業向け管理システム アイピア』

建築業向け(リフォーム・工務店)管理システム アイピア

アイピアは建築業に特化した一元管理システムであり、顧客情報、見積情報、原価情報、発注情報など工事に関する情報を一括で管理できるため、情報集約の手間が削減されます。
さらに、アイピアはクラウドシステム。外出先からでも作成・変更・確認ができます。

まとめ

請求書を電子化することで、発行する側は、作成や発送の手間が省ける、ペーパーレス化や業務効率化が実現できる、オフィス外でも対応できるといったメリットが得られます。
受領する側にとっても、検索や管理がしやすくなるといったメリットがあります。

双方が電子請求書をスムーズに導入するためには、受領側へ連絡して承認を得ておく必要があります。
請求書を電子化する際には、電子帳簿保存法の保存要件も満たしておかなくてはなりません。
情報漏洩や改ざんのリスクを避けるためにも、万全のセキュリティ対策を整えておきましょう。

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