【2022年】アスベスト法とは?改正内容について徹底解説!

【2022年】アスベスト法とは?改正内容について徹底解説!

昔は体に害を及ぼす影響があるとわからず、アスベストが多くの建物で利用されていました。
しかし、長期的に過ごしていると、肺がんなどのリスクがあるとわかりアスベスト法ができました。
どのようにアスベスト法が改正されたのか、守らなければならないこと、罰則などについて詳しく解説していきます。

アスベストとは

天然の繊維状けい酸塩鉱物をアスベストと呼び、ほかにも石綿とも言われています。
よく工事解体の現場ではアスベストを使った建物は体に害を及ぼす可能性があるため、危険だと看板で大きく表示しながら解体作業を進めています。
周辺を通る人や住んでいる人に悪影響を及ぼさないように、解体も通常通りにはできません。

アスベストは繊維でできているため、見えない細さです。
悪気がなくても通常通り解体作業をしてしまうと、繊維が飛び散り作業をしている人をはじめ周囲にいる人たちの人体に悪影響を及ぼします。
吸い込んですぐに体調不良になるのではなく、徐々に長い年月をかけて体調を悪化させます。
だいたい35年の月日をかけて潜伏し、その後肺がんになってしまう方も多くいました。

今は体に悪影響だとわかっていても昔は何もわからない状態だったため、作業員をはじめ住んでいる人も普通に作業や生活をしていました。
今から新築で建てる住宅などにはアスベストは使われていませんが、昔建てた住宅を解体する際やリフォームする際にリスクは大きくなります。
年代で言うと、2006年以前に建てた住宅などには使用されている可能性があります。

アスベスト法とは

肺がんなど体への影響を考え、アスベスト法ができあがりました。
2020年6月5日に『大気汚染防止法の一部を改正する法律(改正大気汚染防止法)』ができ、今は施行されています。
2022年現在では、どのようにアスベスト法が定められているのか解説していきます。

規制対象

体に悪いとわかっているので、規制対象が大幅に増えました。
吹き付け石綿のレベル1のものから石綿が少しでも入っている有成形板などのレベル3のものまですべてが対象です。
レベルごとに作業の基準も定められていますが、今後は少しだけ入っていても規制の対象となります。
細かく基準も更新されていますので、作業の前にチェックは必要です。

国土交通省:アスベスト対策Q&A

不適切作業の防止

アスベストが含まれているにもかかわらず適当に終わらせることがないように、知識を有するものが目視で確認するようにと決められています。
石綿が混ざっている建材を使っている時に、除去がしっかりと行われているのか曖昧なまま終わらせてしまったら、皆に迷惑がかかります。
そのため、アスベストに関する知識を有するものが、しっかりと確認を行うことが義務付けられました。

ただ見て終わりではなく、完了した結果を発注者へ向けて書面でも報告するようにも義務付けられています。
作業終了後も何かあった時、すぐに確認できるように、作業完了日から3年間保管するようにも決められました。

事前調査の信頼性の確保

これまでアスベストが含まれているかどうかを調べる際に、事前に図面か目視のどちらかで確認できれば問題ありませんでした。
しかし、今回図面と目視の両方で確認するようにと義務化されています。
解体の前に目視ではアスベストが含まれているかどうかわかりにくい場合は、成分分析とサンプリングをしてしっかりと細かく分析しなければなりません。
2006年の9月以降の建物はアスベストを使用するのは禁止されたため、事前調査はいりませんが、それ以前の建物はしっかりと調査が必要です。
事前調査についても後から確認したい時すぐに見られるように、3年間の保存が義務化されています。

2022年の改正のポイント

ここからはアスベストの法改正ではどの点が変わったのか詳しく見ていきます。
今まで曖昧になっていた部分がさらに厳しくなり、義務化されるもの、新設されるものが増えます。

事前調査と結果報告の義務化

自分たちの匙加減でアスベストが含まれていないから確認しなくても良いというのはダメになりました。
床面積が合計80平方メートルなど、大きさによってはアスベストが含まれているいないにかかわらず、解体を行う前に事前調査をしなければなりません。 たぶん使われていないと思っても、まずは事前調査を行い、その結果も3年間の保存が必要です。

誰でも事前調査ができるわけではなく、知識があり受けなければいけない講習が終わっている人しかできません。
Gビズという電子システムから結果を報告します。
報告義務が発生する工事はさまざまありますので、調べて該当した場合は事前調査を行いましょう。

直接罰の創設

アスベストが入っていても面倒だからといって普段通り飛散する対策をしないで解体を行った場合は、直接罰が与えられます。
内容は3ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金です。

適当にしてしまうと肺がんのリスクも高くなってしまい、人の命に関わってきます。
そのため、徹底させる意味でも、直接罰を設けています。
元請け業者だけが守れば良いのではなく、下請け工事会社も対象です。

規制対象の拡大

これまでは、アスベストの含有量が多い拭き付けや断熱材などが対象でした。
比較的含有率が低いものは対象外となっていましたが、今回からは規制対象の幅が広がります。
ビニル床タイルなどの石綿が含まれているものや仕上げ塗材なども規制対象に入っています。
今まで大丈夫だと思っていたものが対象に入っていますので、今一度確認しましょう。

アスベスト調査の手順

調査では書類を確認し現地を調査、さらに詳しいことがわからなければ分析調査なども行い、確実な結果の報告書を作成していきます。
ここからは、アスベスト調査の詳しい手順を見ていきます。

書類調査

建てる時にアスベストを使用している場合、当時の図面などに石綿を使っているなど記載がある可能性があります。
ほかにも、当時工事に携わった人にどうだったのか聞き、アスベストが含まれているかどうかをジャッジします。
書類調査の段階ではわからない部分も多いので仮としての判断を行い、次は現地調査です。

現地調査

建物の状態をだいたい把握した状態で、今度は目視でアスベストが使われているかどうかを見ていきます。
書類とすべて実物の建物が同じとも限らないため、目視をすることで現状がわかってきます。
見た目で判断がつきにくい場合は、サンプル採取をしなければなりません。
曖昧な判断は禁じられていますので、しっかりと確認をします。

サンプリングと分析

目視でわからなかった場合、サンプリングをして分析調査機関で厳密な調査を行います。
わからないもののアスベストが含まれていると判断し、対策を行いながら解体するのであれば、分析調査はなくても問題ありません。
分析結果は後からも利用しますので、しっかりと管理しておきましょう。

報告書作成・報告

すべてが終わったら、必ず事前調査を行った結果を記録して取っておきます。
結果は3ヶ所に報告が必要です。
都道府県知事と、デジタル庁が発行するGビズIDを取得しシステムを利用して報告します。
工事の発注者に対しても、事前調査の結果を書面で伝えます。

その他のアスベスト法規定

肺がんなどのリスクが大きいため、命を守るために、ほかにもアスベスト法規定があります。
どのようなものがあるのか、解説していきます。

建築基準法

解体や増改築の際は、アスベストが使用されているとわかり次第適切な方法で除去しなければならないと決められました。
万が一建物が老朽化してアスベストが飛散しそうな時には、行政が勧告命令を出すことも可能です。

建設リサイクル法

建設リサイクル法の中でも、アスベストが使用されているかどうか事前に調査をしたうえで、建設工事の届けを出すようにとされています。
万が一使用されていた場合、解体作業では吸い込まないように対策をしなければならないため、届け出にも事前に調査を行った旨を書かなければいけません。

労務安全衛生法

アスベストを作業員が吸い込まないように、建物の中では粉塵の発散源を密閉する設備と局所排気装置かプッシュプル型換気装置を設置しなければいけません
さらに、解体が終わるまで安全に作業が進められるように、石綿作業主任者も置くことが求められます。
ほかにも、6ヶ月に1回の頻度で、作業した人に特殊健康診断を実施が必須です。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律

アスベストが含まれた廃棄物にもかかわらず、黙って処分することはできません。
必ずアスベストが含まれた廃棄物であると明示をし、委託しなければなりません。

飛散しないように廃棄し、万が一飛散しそうになった時には適切な対処も必要となります。
埋める際も、人に害が及ばないように、深さが2m以上の場所に埋めて飛散しないようにしなければなりません。
廃棄した記録もし、保存が必須です。

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まとめ

アスベスト法は改正が行われ、厳しく感じてしまうかもしれませんが、本来の目的は人の命を守ることへつながっています。
面倒に感じてしまっても、義務化されているものは必ず守りましょう。
肺がんなどのリスクを抑え、適切に処理できれば問題ありません。
2022年からは万が一適当に処理を行った場合は、直接罰を受けます。
新しくどの点が変わったのか今一度把握し、適切にアスベストを処分しましょう。

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