インボイス制度は免税事業者に不利?仕組みや経過措置を解説

インボイス制度は免税事業者に不利?仕組みや経過措置を解説

インボイス制度は免税事業者に不利になるのでしょうか。
免税事業者とは仕組みや経過措置を解説します。

インボイス制度とは

インボイス制度は、消費税の適用税率や税額を明確にしたインボイスを受け取り、保存することで仕入税額控除が認められるとする制度です。
建築業においても消費税は発生する場面は多いです。

住宅の新築やリフォームなどの工事代金を施主に請求するケースをはじめ、エンドユーザーに請求するまでの過程では、建材や住宅設備などを仕入れた際に消費税を払うことや下請業者に工事を発注する場合は外注費にも消費税がかかります。

この点、自社の職人を使えば、その対価は給与となるので、所得税や住民税の源泉徴収となります。
これに対して、下請業者を利用した場合は、その対価は外注費となり、消費税がかかるので注意が必要です。

請求書への消費税の記載方法とは?インボイス制度の対応を解説

仕入税額控除とは

仕入税額控除とは、仕入先が支払っている消費税額については、自社で二重払いをしないよう税額控除が認められる制度です。
たとえば、施主に対して工事代金100万円、消費税額10万円を請求した場合、建築業者は10万円の消費税を納税する必要があります。

ただし、この工事代金の中にすでに建築業者が支払っている消費税があれば、その分を控除することが可能です。
これを仕入税額控除と呼んでいます。

工事代金100万円のうち、30万円が資材や建材、設備などの購入代金であり、その消費税を3万円支払っていたとします。
また、下請業者への外注費として40万円と消費税の4万円を払っていたとしましょう。
その場合、仕入税額控除として合計で7万円を控除できるので、この建築業者が納税する消費税額は10万円から7万円を控除した3万円で済みます。

2023年10月のインボイス制度スタート以降は、仕入税額控除をするためには、一定の経過措置が認められる場合を除き、仕入先、外注先からインボイスの発行を受けて、保存しておかなくてはなりません。
逆にいうと、取引先からインボイスの発行を受けられないと、仕入税額控除が認められなくなり、自社負担が増えるので注意が必要です。

インボイス制度の免税事業者への影響

課税売上高が1,000万円以下の事業者の場合、免税事業者として消費税の納税が免除されています。
もっとも、インボイス制度が始まると、インボイスを発行したいなら課税事業者となり、かつインボイス発行事業者の登録をしなくてはなりません。

大きな制度改革が図られる時期ですので、今後どうすべきかを検討する必要があります。

免税事業者のままでいると取引が減少する可能性がある

多くの取引先は仕入税額控除を受けたいと考えることでしょう。
なぜなら、仕入税額控除を受けられないと、仕入先が払うべき消費税額まで自社で負担しなくてはならないからです。

もし、1取引あたりの消費税額は少額であったとしても、多数の取引を行えば負担額が大きくなります。
そのため、免税事業者とは取引を避けるケースが増えてくるので注意が必要です。

免税事業者と課税事業者の違いとは?インボイス制度の影響や節税効果を解説

免税事業者のままでいるメリット

一方、免税事業者のままでいるメリットとしては、インボイスに対応する必要がないので、請求書を変更することやそのためのシステムの購入や更新などのコストや手間が省けます。
引き続き、免税事業者として消費税などの納税が免除されます。

課税事業者になると納税義務が発生する

これに対して、課税事業者になることを選択すると、納税義務が発生します。
あわせてインボイス発行事業者になる場合には、あらかじめ登録を行ったうえで、インボイスの必要項目を満たす請求書などが発行できるよう、システムなどの準備をすることや従業員教育などを行わなくてはなりません。

課税事業者になるメリット

課税事業者になるメリットは、インボイス発行事業者になることができることがまず挙げられます。
課税事業者となり、インボイス発行事業者となれば、現在の取引先が引き続き取引をしてくれる可能性が高まるのもメリットです。

現在、免税事業者であるような小規模事業者にとって、取引先を失い、新規の取引先を開拓していくのは大変なことです。
これまで、大手の元請業者や地元の工務店などから発注を受けていたような場合、インボイス発行事業者にならず、取引が停止されると売上が大幅に減少します。

インボイス発行を受けなくても取引してくれるような、一般個人に直接営業をかけなくてはならないとなると、なかなか契約も取れないかもしれません。
そうした不安を考えると、課税事業者になり、インボイス発行事業者となることにメリットが生まれます。

インボイス制度開始後の経過措置

これまで免税事業者だった小規模事業者が課税事業者となり、インボイス発行をする場合には、一定の特例が用意されています。
令和5年10月1日から令和8年9月30日までの3年間にわたり、仕入税額控除の金額を、特別控除税額にすることが可能です。

具体的には、売上に関わる消費税額から売上税額の8割を差し引いて納税額を計算することが認められます。
この特例の適用を受けると、売上税額の2割だけを納付すれば良いこととなり、負担軽減が図れます。

また、インボイス発行事業者が返品や値引き、割戻しなどの売上に関する対価の返還などを行った場合、本来なら返還インボイスを発行しなくてはなりません。
ですが、その金額が税込1万円未満の場合、返還インボイスの交付義務が免除されます。

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まとめ

インボイス制度とは、消費税の適用税率や税額を明確にしたインボイスを発行してもらい、受け取って保存することで仕入税額控除が認められる制度です。

仕入税額控除は、消費税の二重払いにならないよう、自社が払うべき分だけを払うように仕入れに関わる消費税額を控除できるものです。
インボイス制度の免税事業者への影響として、免税事業者のままでいると取引が減少する可能性があります。

免税事業者のままでいるメリットとしては、課税事業者になれば納税義務が発生することが挙げられます。
課税事業者になるメリットとして、大手企業を含め取引の継続や新規取引も見込めることです。
インボイス制度開始後の経過措置として、インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置が受けられます。

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