業種を問わず、ビジネスマンとして身につけておきたいビジネススキルの一つとして報連相があります。
建設業界でも現場とのミスやトラブルを防ぐためなどでも非常に重要なスキルです。
今回は、報連相についてその目的やポイントについて詳しく解説していきます。
目次
報連相とは?
報連相は、1982年頃に誕生した、「報告」「連絡」「相談」の3つの頭文字を取って付けられたビジネス用語です。
報告とは、仕事における進捗状況の報告やタスクや担当者がその経過や結果などを自分の上司や先輩などへ告げることです。
連絡は、仕事の情報や自分の予定などについて関係者や先輩、上司などに知らせることを指します。
また、相談とは、問題が生じた場合や不明点がある際に、問題解決や意見交換のために上司や先輩、同僚などから意見やアドバイスをもらったり、話し合ったりすることを指します。
報連相の目的
では、報連相とはどのような目的を持ってされるものなのでしょうか。
進捗情報を把握する
報連相を行うことによって仕事の進捗状況を上司等が把握することができるようになります。
そもそも仕事を行うにあたってチームで全体の状況を把握することは非常に重要です。
ミスやトラブルなどを防ぐことにつながります。
コミュニケーションを密にする
ビジネスは、社内外問わずコミュニケーションを密にして連携を取っていくことによってスムーズに業務を進めていくことができます。
取引先に対しても、社内の担当部署の中でも報連相をすることで、コミュニケーションが取れていないとお互いに食い違いが生じる可能性があります。
報連相によって密なコミュニケーションを図ることで、上司や先輩からのフォローやサポートを受けやすくなりますし、連携も取りやすくなるでしょう。 業務を効率化するのにも役立てることができます。
トラブルへの対応を迅速にする
また、このほかにトラブルへの対処をより迅速にするという目的があります。
トラブルが生じた際にすぐに報告することによって、いち早く対応ができるようになるので、被害をその分最小限に抑えることが可能になります。
また、現在どのような問題が生じているかどうかもわかりやすくなるといったメリットもあるでしょう。
報連相のポイント
ではここで、報連相を行う際のポイントについて押さえていくことにします。
どのようなことを心掛けて報連相を行えば良いのでしょうか。
報連相のタイミングを見極める
報連相の際には、いつどの時点で報告、連絡、相談をすれば良いのかのタイミングを見極めていくことが大切です。 タイミングは上司や先輩など相手のタイミングを考慮することによって、業務の邪魔をすることもなく人間関係も良好になることでしょう。
特にトラブルやミスについては適切なタイミングで報告することで、上司からも適切なタイミングでフォローができるので、信頼関係も厚くなるでしょう。
作業を始めた時、中間報告、新情報を手に入れた時、ミスをした際、作業が終わった時、タスクがまだ終わりそうにない時などは適切なタイミングでこまめにその都度報告するようにします。
結論から述べる
報連相などを含め、なんでも物事を伝える際には結論から伝えることが何よりも重要になります。
結論を言わずにだらだらと話していると大変回りくどい説明になってしまいますし、聞き手にも時間を取らせてしまうでしょう。
結論を最初に伝えて、次になぜそのような結論になってしまったかを具体的に説明することで、相手にとって聞きやすくなり、短時間でもよく伝わります。
事実と私見、推測を分ける
報連相では、客観的な事実と私見や推測を分けておくことも重要です。
自分の意見や考えだけを伝えると、正確な情報が伝わらないことが多々あります。
フォローする側、アドバイスする側の立場である上司などは、客観的事実を理解したうえで初めてアドバイスやフォローを行うことができます。
報連相を行う前に、事実と私見や推測は切り分けて伝えるよう努力しましょう。
正確に、わかりやすく伝える
報連相では、正確に伝えるためにまずは要点を整理しておいてから伝えることによって、相手にとってわかりやすくなるでしょう。
相手や状況に応じて伝える手段を選択する
報連相の際はその時々にあった伝達手段で伝えることが必要になります。
直接会って上司や先輩に報告したほうが良いのか、取り急ぎ電話ですぐに上司に相談したほうが良いのか、メールで相談した方が良いのか、書面にて改まって相談してみたほうが良いのかをしっかりと見極めましょう。
できるだけ早い段階で行う
報連相は、できるだけ早い段階で行うことが重要です。
特にトラブルが発生しそうだとわかった時点で伝えるとトラブルを最小限に抑えられますし、ミスやトラブルは事前に共有しておくことで、チーム内でも同様のミスが生じることを防ぐことにもつながるでしょう。
建築現場で報連相を怠るとどうなる?
では建築現場において、報連相を怠ってしまうとどのような悪影響を及ぼしてしまうのでしょうか。
原価管理への影響
もしミスをして余分な費用がかかってしまったことを報告しないでそのままにしてしまうと、結果的に会社の誰も知らない状態でいつの間にか追加で見積もりが出てくる可能性が出てきます。
原価管理とは?メリットや効果的な管理方法をご紹介安全管理への影響
安全設備を取り外してしまったことや危険な状況になっていることを作業員に伝えないままでいることで、事故につながってしまうリスクがあります。
また、この事故が発生したことを上司に報告しないと、トラブルになるおそれもあります。
品質管理への影響
現場において、品質における失敗したことを報告や相談しない状態で次工程に勝手に進めてしまうと、また前の工程に戻ってやり直ししなければならない工程が増えてしまいます。
また、現場で品質においてミスをしてしまったことを報告しなかったことで、数年後になった施工不良が発覚することや漏水などのようなトラブルが生じてしまうことがあります。
工程管理への影響
作業が計画通りに進んでいないにもかかわらず、報告をしていなかったために次の工程を担当する作業員の方の仕事が予定通り進まなくなってしまうことがあります。
また、突然の依頼を受けていたにもかかわらず、報告や連絡を怠っていたために予定が重なってしまう可能性が出てきます。
報連相を定着させるには?
報連相を定着させていくにはどのようにしたら良いのでしょうか。
報連相の重要性や目的を伝える
報連相を社員に身につけてもらうためには、なぜ報連相が大切かどうかの重要性を伝えることや報連相することで業務効率が上がるのはなぜかを伝えることが必要です。
また、目的を伝えておくことで、報連相を怠るとどんなことが起こり得るのか事前に知ることができるようになります。
そうすると、必然的に報連相の重要性を理解できるようになるので、まずは報連相の重要性や目的について伝えるようにしましょう。
報連相に必要なスキルの研修を行う
報連相は、ビジネスマンにとって欠かせないスキルです。
そして、何よりも実践して仕事に取り入れていくことで身についていくスキルになります。
そのため、事前に報連相に関する知識やポイントを理解しておかなければ、うまく上司へ報連相ができない社員になってしまう可能性があります。
ここで報連相のスキルを事前に研修を実施すると良いでしょう。
報連相の研修では、報連相とは何かについて伝えることや報連相の具体的なやり方などをレクチャーします。
また、実践編としてロールプレイングなどを使って実践することで身につけていくことができます。
フィードバックを実践に活かす
報連相はとにかく実践あるのみです。
仕事を取り組む中でミスをしても繰り返し実践し、上司などからフィードバックしてもらうことで、その都度改善点を見つけていくことができます。
この繰り返しをすることで報連相することにメリットも実感することができるようになるでしょうし、正確な報連相ができる社会人に成長します。
報連相に対する上司の「おひたし」
部下から報連相が行われるにあたって、一方の上司側が心得ておきたいビジネス用語として「おひたし」があります。
おひたしの「お」は怒らない、「ひ」は否定しない、「た」は助ける、「し」は指示するという言葉の頭文字をそれぞれ取って付けられた用語です。
怒らない
上司が部下と円滑な関係を築き上げていくためには、「怒らない」ことこそが第一に重要なこととなります。
ちなみに「怒らない」とは、ただ怒りに身を任せて怒らないことを指しており、部下を思って適切に責することが重要です。
そのため、万が一部下がミスをした際には、何がダメでこの時どうすれば良かったかについてまとめたうえで責することが必要になります。
否定しない
部下が誤った報告や相談をするケースもあります。
このような時にそれを正すことも必要ではありますが、ただ頭ごなしにその件について否定をしてしまうと、部下から信頼されなくなってしまいます。
部下なりにも考えがあっての行動であるのですから、部下の意見をいったん飲み込んで受け入れてから、上司や先輩としてのアドバイスや考えを伝えていくと良いでしょう。
助ける
困っている部下を助ける、サポートするのは上司の役割の一つではありますが、面倒だからといって、もしくは部下のためだからと一から十までサポートしてしまうと、部下自身の成長の妨げになる可能性が高いです。
一からサポートして手伝うのではなくて、ひとまず部下に一人でやらせてみると良いでしょう。
傍からしっかり様子を窺ったうえでサポートしたほうが、良いか判断することやどこまで助ければ良いかを考えるようにすることが大切です。
指示する
部下は、上司からの指示があって動きやすくなります。
そして、部下へ指示を出すことは上司の任務でもあります。
いつでも部下が円滑に業務に取り組むことができるように、的確な指示をすることが重要です。
しかしながら、すべてを支持してしまうと「指示待ち族」になりかねません。
部下はまず自分で考え上司に指示を促すことが重要です。
ただし、一から十まで指示を出すのでは部下は自分で何もできない、いつでも指示待ちの社員になってしまいます。
新入社員の間などで自分がやるべきことを理解できるまではこちらから指示を出しても良いですが、ある程度一人前になったら部下自身が自ら考えて上司に指示を促すことができるようにしていくと良いでしょう。
そのために、いつでも伺いを立てやすいような信頼関係を築くことが重要です。
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まとめ
いかがでしたか。
報連相は、進捗状況を把握することやコミュニケーションを密に取るためなどに非常に重要な手段です。
そして、上司側としても部下が報連相しやすいように、怒らない、否定しない、助ける、指示するのおひたしを意識することを心掛けていくことが大切です。