建築業界の発注管理業務は非常に複雑です。
近年では、発注管理の業務の効率化や確実性のために、専用システムを導入する企業が多くなりました。
そこで、本記事では発注管理の概要や目的についてお伝えしたうえで、発注管理システム選定のポイントやおすすめの製品についても紹介していきます。
発注管理とは
発注管理とは、文字通り発注に関するすべての業務を管理していくことです。
建築業界における発注業務では、資材の仕入れ 在庫状況の確認 スケジュール調整などといったように、さまざまな工程が発生します。
取引先に関する情報についても、情報漏洩などがないように、適切に管理を行わなくてはなりません。
これらの発注管理業務は、建築工事の規模が大きくなるほど煩雑になっていく傾向です。
発注管理を適切に進めていかないと、取引先に迷惑をかけてしまうことや自社の責任問題にも発展することもあるため、慎重に取り組まなくてはなりません。
発注管理の目的
発注管理を行う目的は、業務の円滑化です。
万が一、建築資材が欠品してしまったら、工程に影響が出てしまい、納期が大幅に遅れてしまうことでしょう
スケジュール通りに工程を進めていくためには、正確な発注管理が欠かせません。
また、発注管理を行うことで、担当者のミスや企業間のトラブルを防ぐといった目的もあります。
発注管理の流れ
発注管理業務は決まった手順で進めていきます。
「購買依頼書の作成」、「発注方式の決定」、「発注先の選定」、「発注書の作成・送付」の4つのプロセスで行われるのが一般的です。
各プロセスの具体的な内容については以下の通りです。
- 購買依頼書の作成
最初にやることは、在庫状況およびこれから必要になる資材の把握です。
状況をしっかりと確認したうえで、購買依頼書を作成します。
購買依頼書は、購買担当者へ受け渡す書類のことです。
購入する資材の名称や種類や数量などの内訳のほかに、希望の納入場所や納期などの情報を記入しておきます。 - 発注方式の決定
発注内容が決まったら、次に発注方式を決めておきます。
発注方式は、定期的に発注する「定期発注方式」および在庫が一定量を下回る場合に事前に取り決めた量のみを発注する「定量発注方式」の2種類があります。 - 発注先の選定 購買依頼書にもとづいて、資材などの仕入れ先を決めていきます。
- 発注書の作成・送付 仕入れ先が決定したら、発注書の作成と送付を行います。
おすすめ発注管理システム5選
ここからは、おすすめの発注管理システムを紹介しています。建築業界に最適な製品を5つほど選定しました。
導入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
アラジンオフィス(Aladdin Office)
アラジンオフィスは、株式会社アイルが提供するシステムです。
在庫管理、販売管理、生産管理などさまざまな業務に対応しているのが特徴です。
クラウド対応となっているため、リモートワークにも活用できます。
導入前から導入後の手厚いフォロー体制も用意されています。
提供形態 | クラウド |
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月額費用 | 要問い合わせ |
建て役者
建て役者は、株式会社システムサポートが提供するクラウド型の工事管理システムです。
石川県金沢市で自社開発や保守など行っており、信頼性が高いのが特徴です。
点検機能、工程表、発注承認などの便利な機能を多数搭載しています。
さらに、柔軟なカスタマイズにも対応しているため、自社に合った販売が導入できます。
使い勝手やセキュリティ面を重視したい企業におすすめの製品です。
提供形態 | クラウド |
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初期費用 |
ライト(5ライセンス~):30,000円~ スタンダード(5ライセンス~):350,000円~ プレミアム(5ライセンス~):580,000円~ |
月額費用 |
ライト:4,000円~ スタンダード:40,000円~ プレミアム:80,000円~ |
体験版 | デモサイト無料体験あり |
楽楽販売
楽楽販売は、株式会社ラクスが提供するクラウド型販売管理システムです。
原価管理、支払い管理、納期や納品管理、承認フローなど、豊富な機能を搭載しています。
自社の業務に合わせて、必要な機能のカスタマイズも可能です。
提供形態 | クラウド |
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初期費用 | 150,000円 |
月額費用 | 60,000円~ |
体験版 | 無料トライアルあり |
ネクストエンジン
ネクストエンジンは、Hamee株式会社が提供するクラウド型のプラットフォームです。
そのため、ソフトウェアのインストールなどは一切不要です。
受注取り込み、入金処理、在庫管理、運送会社との連携など発注管理に関する機能が充実しています。
料金は、受注件数に応じた従量課金制となっています。
そのほかに、アプリ利用料や年間保守費用なども発生します。
提供形態 | クラウド |
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基本料金 | 月額10,000円(400件まで) |
体験版 | 無料トライアルあり(30日間) |
SMAC工事管理
SMAC工事管理は、株式会社パナックが提供する工事管理システムです。
こちらの製品は、サポートが充実しており、導入や保守などのサポートが用意されています。
専門スタッフによるオンラインサポートも利用可能です。
「基本ソフトウェア」と「オプション」と「追加ライセンス」の組み合わせによって料金が変動するため、見積もりが必要です。
提供形態 | LAN版(サーバーやクライアント) スタンドアロン版 など |
---|---|
基本価格 | 110,000円(別途オプション料金あり) |
体験版 | オンラインデモ版、訪問デモ版 あり |
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発注管理システムの選び方のポイント
発注管理システムは、各社からさまざまなタイプの製品が販売されています。
導入する際には、製品選びで迷ってしまった時には、以下のポイントに注目してみると良いでしょう。
POINT!
使いやすいシステムであるか
発注管理システムを選ぶにあたって最も大事なポイントは操作性です。
どんなに高機能な製品を選んだとしても、それを担当社員たちが使いこなすことができなければ、導入した意味がなくなってしまうでしょう。
見やすいユーザーインターフェースを搭載した製品を選んでおくのがおすすめです。
本格的に発注管理システムを導入する前に無料トライアル版などを活用して、操作性をしっかりと確かめてみてください。
POINT!
サポート体制
操作方法が分からなくなった時やシステムエラーや通信障害などトラブルに備えるためにも、サポート体制についても調べておきましょう。
サポート方法については、電話やチャットやメールなどの手段が用意されており、各社によって対応のレベルが異なります。
緊急時にも即対応してくれる製品を選んでおけば、万一の時でも安心です。
POINT!
適切な料金であるか
料金面も、発注管理システム選びの重要なポイントです。
発注管理システムを導入する際には、初期費用のほかに、月額料金、オプション料金、サポート料金などさまざまな費用が発生します。
これらの料金は、各社によって大きく異なりますので、ホームページなどで情報を調べることや見積書を請求してみると良いでしょう。
複数社の見積もりを比較して、自社にとって本当に適切な料金かどうかを見極めるようにしてください。
発注管理システムのメリットとデメリット
発注管理システムは、メリットとデメリットの両方があります。
導入前にそれらの点についても、よく把握しておきましょう。
メリット
発注管理システムを導入することで得られるメリットは以下の通りです。
その1
作業時間の短縮
発注管理システムがあれば、全工程の一元管理が可能となります。
在庫量もリアルタイムで把握できるため、電話などでの確認の手間も省けるのがメリットです。
発注管理システムを活用することで、作業時間を大幅に短縮できることでしょう。
その2
コスト削減
発注管理システムを導入すれば、紙ベースで行っていた作業がデジタル化できます。
社内のペーパーレス化が実現すれば、コピー用紙やインクなどの消耗品代が削減できるでしょう。
また、少人数で発注管理を進めていくことが可能となるため、人件費も削減できます。
その3
データの整合性
発注管理システムでは、デジタル情報で一元管理するため、さまざまな情報が自動で蓄積されていきます。
それらの情報を担当者同士で共有できるため、マイクロソフト社のエクセルなどで管理するよりも、データの整合性が取れやすいというメリットがあります。
その4
ミス防止
発注管理システムがあれば、資材の管理や進捗状況がリアルタイムで確認可能となります。
最新の情報を共有することで、担当者のミスが防ぎやすくなることでしょう。
デメリット
発注管理システムを導入することで得られるデメリットは以下の通りです。
その1
ランニングコストがかかる
発注管理システムの導入時には、初期費用が必要です。
近年の主流となっているクラウド型システムを導入する場合は、月額費用や年額費用などが発生するため、ランニングコストもかかってしまいます。
その2
事前準備が必要
導入前の準備が必要なことも発注管理システム導入のデメリットです。
製品情報の調査、見積もりの比較、担当者と打ち合わせなど、導入前にやることがたくさんあります。
発注管理システムを導入した後も、操作方法を覚えたり、社員に周知させたりなど、さまざまな準備が必要となるため、担当者の負担となってしまうかもしれません。
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まとめ
ここまで、発注管理の目的や流れ、システム選びのポイントなどについてお伝えしてきました。
発注管理システムを導入する際にはコストがかかりますが、作業の効率化や可視化がしやすくなるのがメリットです。
さらに、作業時間の短縮やミス防止のほか、人件費や消耗品代のコスト削減になるといったメリットもあります。
本記事で紹介した製品や選び方のポイントを参考にしながら、自社にとって使いやすい発注管理システムを選んでみてください。
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