建設の現場でせっかく頑張っているにもかかわらず、能力を評価されずお給料などにも反映されなかったらやる気も半減してしまいます。
事業者側としても、どんな人材が現場で活躍してくれるのかその実績がいまいちわからず、評価しにくい面もあるでしょう。
建設キャリアアップシステムを利用すれば、技能者のスキルや実績などをデータベース化されているため、適正な評価もしやすくなります。
こちらの記事では、建設キャリアアップシステムのメリットや登録・利用方法について紹介していきます。
目次
建設キャリアアップシステムとは
建設キャリアアップシステムとは、技能者がどんな資格を保有し現場の経験はどの程度あるのかが一目でわかる次世代育成に役立つシステムです。
国土交通省で推進している制度で、ゴールはすべての技能者の登録を目標として取り組んでいます。
技能者のスキルや資格などを一目で確認できるため、初めて現場に来てもらう場合でも過去の実績や力がすぐにわかります。
システムを利用してこれまでの実績や能力を見極めながら処遇も検討されるため、頑張って資格をより取得して現場で実績を積んでおけば、給与アップも可能です。
技術者としては公平な目で評価してもらえますし、事業者としてもどんな技術者かわかったうえでお願いできるため安心して任せられます。
建設キャリアアップシステムを活用し、将来にわたって建設業の担い手を確保できるようにと作られました。
建設キャリアアップシステムの目的
今建設現場では、高齢化が進んで問題になっています。
やがては今働いている方も引退したら、その後技術者として担ってくれる人が少なくなってしまいます。
そこで、技術者が減ってしまう現象を食い止めるためにも、建設キャリアアップシステムは始まりました。
明確にこれまで技術を評価してこなかった現実を受け止め、ここの技術者の能力を適正に評価するために、システムは工夫されています。
事業者にもすぐに見えやすい形を採り、正しく公平に評価できるように作られています。
事業者の負担軽減
建設キャリアアップシステムでは、事業者が技能者の資格保有が確認できるだけでなく、社会保険に加入済みかどうかなども細かくすぐに見られます。
時間をかけて調べなくても良いので、事業者としても助かるでしょう。
今後は、建設業退職金共済事業本部が管理している退職金などもシステム上でつながる見込みですので、さらに便利になるでしょう。
将来の人材の確保
どんなに頑張っても評価が曖昧な状況を打破し、技能者がスキルアップして資格や実務を重ねていったら確実に処遇が良くなるように整備しています。
事業者ごとに評価がバラバラにならないように、客観的に評価する基準を作ることも検討されています。
技能者のキャリアの可視化
パっと見て事業者がどんな技能者かわかるようになっていて、本人の情報だけでなく持っている資格や社会保険の加入状況などもわかるようになっています。
スキルやキャリアがすぐに見てわかるため、それに沿った処遇が受けられるようになるのです。
資格に関する記事はこちら
申請方法
建設キャリアアップシステムを利用したい場合は申請が必要です。
技能者だけが情報を登録すれば良いのではなく、事業者も必要となります。
申請したい場合は、認定登録機関に書類を持っていてお願いする方法のほか、インターネットでも申請可能です。
都合の良いものを選んで申請してOKです。
事業者による申請の場合
事業者がしっかりと技能者を正しく評価できるようにしたい場合、申請が必要です。
申請した後は、一人親方以外は登録料がかかります。
ここからは、事業者が申請方法について詳しく紹介していきます。
インターネットでの登録申請
インターネットで『建設キャリアアップシステムホームページ』と調べると、申請ページが出てきます。
この中の事業者新規利用申し込みをクリックしましょう。
画面には入力しなればらない事項が載っていますので、手順を追いながら必要事項を入力していきます。
問題なく入力がシステム側で確認できたら、今度は登録料を支払う書類が送られてきます。
認定登録機関窓口での登録申請
すべてをインターネットだけで済ませてしまうのは不安な場合などには、認定登録機関窓口を利用しても良いでしょう。
インターネットで手続きする時と同じように、『建設キャリアアップシステムホームページ』の申請ページをダウンロードして印刷しても良いですし、行政書士にお願いして書類をもらうこともできます。
何も連絡なしに行ってしまうと、予約制の場合が多くその時に受け付けてもらえない可能性があります。
事前に行きたい日は空いているのか問い合わせをし、予約しておきましょう。
技能者による申請の場合
申請方法はインターネットと認定登録機関申請があり、どちらを選んでも問題ありません。 しかし、手続きを迅速に終わらせたいのであれば、予約を取って認定登録機関まで行くよりもインターネットでの手続きがおすすめです。
事業者登録とそこまで大きく申請方法は変わりませんが、本人確認書類は別途必要になります。
事前に免許証やマイナンバーなど、本人確認書類を準備しておくと良いでしょう。
技能者本人の基本情報のみ登録をする場合は2,500円ですが、技能者のレベル判定に必要な保有資格情報なども一緒に登録する場合は4,900円です。
建設キャリアアップシステムの利用方法
建設キャリアアップシステムの登録まで済んだら、実際に利用してみましょう。
利用の手順も一見難しそうに感じますが、順を追っていけば簡単です。
ここでは、事業者と技能者の手順を紹介していきます。
事業者の利用手順
まずは、建設キャリアアップシステムの事業者の利用手順について詳しく紹介していきます。
情報の登録
事業者の方は、下請けや元請けの詳しい情報を入力していきます。
商号や所在地、建設業許可情報や社会保険加入情報などを細かく登録しましょう。
現場の登録
現場の登録では、元請けとして事業を行い現場を開設する利用します。
ここでは、現場や契約情報を細かく登録していきましょう。
具体的には、現場目や工事内容を記載します。
施工体制の登録
今度は下請事業者の場合は、施工体制の登録までします。
万が一自社よりも上位の下請事業者がまだ建設キャリアアップを利用していない場合でも、下位の下請事業者が施工体制を登録するのもOKです。
上位の下請業者が登録していないからできないことはありません。
自社の技能者を作業員名簿にも登録し、細かく保有資格や評価、役職なども記載しておきます。
就業履歴の蓄積
技能者が現場で作業を行う際には、カードリーダーにCCUSカードをタッチして読み込ませるか、顔認証やスマートフォンのアプリなどで入場させましょう。
どんな現場で働いたことがあるのか、履歴を蓄積できます。
経験の可視化
技術者について調べたいと思ったら、一発で過去の経験がすぐに調べられます。
どんな現場を体験してきて、これまでに取得している資格は何か見ることが可能です。
技能者の利用手順
ここからは、技能者の利用手順について紹介していきます。
情報の登録
技能者本人の情報について、詳しく登録をしていきます。
必須情報としては、本人の名前、住所、生年月日、性別、所属事業者名、社会保険加入状況などがあります。
漏れのないように、記入していきましょう。
ほかにも、推奨情報として、保有資格や研修受講歴など詳しく記載できます。
CCUSカードの取得
間違いなく本人情報を記載できていれば、CCUSカードがもらえます。
カードが届いたら、使ってみましょう。
就業履歴の蓄積
事業者が用意してくれているカードリーダーを通すようにして、就業履歴を蓄積していきます。
カードでピっと読み込むごとに、どの現場で作業したのか蓄積されるようになります。
どの現場であっても、共通のルールで蓄積可能です。
経験の可視化
カードで現場の就業履歴が蓄積されているものを可視化できるようになります。
技能や経験を、効率的に確認できるようになります。
建設キャリアアップシステムのメリット
建設キャリアアップシステムを利用すると、事業者、技術者共にメリットがあります。
お互いに根拠を示しながら交渉もできるようになるため、実力に合った給与も望めるようになります。
技能者側のメリット
ここからは、技能者側のメリットについて紹介していきます。
適正な賃金や処遇を得られる
これまでさまざまな現場で実績を積み資格取得などを頑張ってきても、簡単に調べられる方法がなく思ったように評価されない現状もありました。
現場によっては能力に見合った給料にならず、やる気をなくした技術者もいます。
建設キャリアアップシステムを取り入れることで資格や実績がすぐ確認でき、建退共の掛け金320円が自動的に積み立てされます。
スキルアップのための目標・計画立てがしやすい
客観的に判断できるように、保有している資格や実績に応じてレベル分けされることも考えられています。
漠然と資格取得するよりも、やる気にもつながり目標や計画が立てやすくなるでしょう。
事業者側のメリット
ここからは、事業者側のメリットについて紹介していきます。
建設キャリアアップシステムとしてアピールできる
技術者だけでなく取引先も、しっかりとした労働環境が整っているのかは気になっています。
建設キャリアアップシステムを取り入れているだけでも、安心なイメージを与えます。
業務負担の削減
カードでは勤怠の管理もできますし、どんな技術者かすぐに判断できるため、雇うかどうかの判断もしやすくなります。
今後退職金に関わる業務も連携されると言われていますので、さらに効率化されていくでしょう。
業務改善システムに関する記事はこちら
施工管理システムなら『建設業向け管理システム アイピア』
まとめ
建設キャリアアップシステムを利用すれば、技術者も事業者もメリットがあり今後のやる気にもつながります。
技術者のキャリアの可視化もでき、客観的に評価しお給料にも反映されるようになります。
申請方法や手続き方法もやってしまえば、そんなに難しいものではありません。
窓口まで出向くよりも、インターネットでの手続きがより効率的です。