建築業においては工事現場に出向いての作業が基本になります。
下請けとして仕事を請け負った場合に元請業者に交通費を請求する場合、どうしたら良いのでしょうか。
依頼者が遠方である場合に、顧客に対して交通費を請求したい場合もあるかもしれません。
この記事では、請求書に交通費を含めるにはどうすれば良いのかをはじめ、請求書の書き方や注意点について解説していきます。
目次
請求書に交通費は含めることができる?
請求書では、販売した商品の代金や施工した工事の工事代金などの請求を行いますが、ここに交通費も含めて請求することはできるでしょうか。
商品やサービスの代金とは別に、交通費のみ精算しなくてはいけないのかが問題となります。
双方の合意があれば含めることができる
請求書に交通費は含めることができるかは、双方の合意があれば含めることができます。
そのため、契約する前に、そもそも交通費の負担をしてもらえるかの話し合いを行いましょう。
そのうえで、工事代金や商品代金の請求書に交通費も含めて請求できるかを取り決めましょう。
交通費に含めることのできる範囲
交通費に含めることのできる範囲は、委託された業務を遂行するためにかかった交通費に限定されます。 たとえば、建築現場まで行く費用や職場まで戻る往復の費用や商品の納品のためにかけたガソリン代や高速料金などです。
業務の途中でお昼を食べに行く際の交通費や無関係の違う現場に移動する交通費まで含めてはいけません。
請求書における交通費の書き方
請求書における交通費の書き方は、工事代金や商品代金に含めてしまうのではなく、交通費という項目を設けることが基本です。
具体的に見ていきましょう。
請求書の一般的な記載項目
請求書の一般的な記載項目は以下の通りです。
- 請求書の発行者に関する情報
- 請求書を受ける側に関する情報
- 発行日
- 請求内容(工事内容や商品名、数量など)
- 金額
- 支払条件
これに加えてインボイス対応の適格請求書の場合は登録番号や消費税額、適用税率などの記載も必要です。
【建築業向け】請求書の書き方(無料テンプレート付き)交通費の記載方法
請求書の請求内容の項目に、交通費という項目を設けて、交通費だけを明確にしましょう。
工事代金や商品名や数量とは別の枠で、それぞれの内容を記載するようにします。
交通費を含める場合の注意点
交通費を請求書に含める場合には注意点があります。
取引先と事前に請求書に交通費を含めることを合意していたとしても、どのような交通費なのかが明確でないと、取引相手も納得できないことがあるので注意が必要です。
具体的には以下の点に気を付けてください。
具体的に記載する
漠然と交通費とするのではなく、移動の目的や区間も記載したほうがわかりやすいです。
事業所から××現場までの往復の交通費など、わかりやすく簡潔に記載しましょう。
領収書をもらっておく
本当にその交通費がかかったのか、証明できる状態にし、かつ請求書に証明書類を添付することが必要です。
タクシーを利用した場合には、必ず領収書を受け取っておきましょう。
領収書が出ない鉄道やバスを利用する場合は、交通系ICカードを用いたうえで、利用履歴を印字したものを券売機で発行しておくようにします。
切符の場合は、どの路線を使い、どこからどこまでなのかを明示し、その金額を明記しましょう。
ガソリン代の場合は、あらかじめ取引先と単価を決めたうえで、走行距離を明確にすることがおすすめです。
高速料金は高速料金の領収書の添付が必要です。
交通費を含む請求書の消費税の取り扱い
交通費の中で、ガソリン代は消費税を払っている認識があると思いますが、タクシー代や鉄道、バス料金については消費税はかかっていないように思えるかもしれません。
ですが、タクシーや鉄道、バス料金は内税方式で、料金内に消費税10%が含まれているので注意が必要です。
二重課税に注意
交通費には、すでに消費税が含まれているので、消費税をさらに上乗せして請求しないようにしましょう。
インボイス対応をしている場合には、項目ごとに消費税額を求めると思いますが、そうでない場合など、ほかの項目と交通費を合算して消費税を上乗せして請求すると二重課税になってしまいます。
なお、鉄道やバスなどの公共交通機関を利用した場合は、公共交通機関特例の適用があるのでインボイス対応は不要です。
これに対してタクシー代はインボイスの適用対象です。
交通費の経費処理方法は?
では、交通費の経費処理はどのようにするべきでしょうか。
大きく分けて、交通費を「売上」として計上する方法と、取引先が払うべきものを建て替えたとして「立替金」として計上する方法の2つがあります。
「売上」として計上する方法
交通費を工事代金や商品代金と同じ売上と認識し、売上に含めて計上する方法です。
もっとも、一人親方などの場合、売上に計上すると交通費も源泉徴収の対象になります。
そのため、帳簿処理では交通費は売上ではなく、旅費交通費として計上し、収支の差額を相殺することが必要です。
「立替金」として計上する方法
交通費を、本来は取引先が払うべき交通費を、移動する際に立て替え払いしたとして、立替金として計上する方法です。
実際に交通費を出費した時点で、帳簿の借方に「立替金」、貸方に「現金」を計上しておきます。
請求書で請求を行い、取引先から交通費が入金されたら、帳簿で借方に「現金」、貸方に「立替金」を計上し、消込作業を行うという処理が必要です。
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まとめ
請求書に交通費は含めることができるかですが、双方の合意があれば含めることができます。
交通費に含めることのできる範囲は、委託された業務を遂行するためにかかった交通費に限られます。
請求書における交通費の書き方として、どこからどこまでかなど、交通費の内容を具体的に書くようにしましょう。
また、交通費を証明するために領収書をもらっておくこともポイントです。
交通費を含む請求書の消費税の取り扱いとして、二重課税に注意しましょう。
交通費の経費処理方法としては「売上」として計上する方法と、「立替金」として計上する方法があります。
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