半導体ショックはなぜ起きた?原因や建築業への影響を解説

半導体ショックはなぜ起きた?原因や建築業への影響を解説

2020年ごろから半導体が足りないという声があちこちで叫ばれるようになりました。
現在でも限られた半導体を各業界が奪い合う状況が続いています。

そもそも、なぜこの半導体ショックは起きたのでしょうか。
また、建築業界においてはどのような影響があるのでしょうか。

半導体とは?

半導体とは、電気を通す「導体」と電気をほとんど通さない「絶縁体」の間の性質を持つ物質を指します。

そもそも物質には電気を通すものと電気を通さないもの、そして両者の中間のものがあります。
電気を通す性質をもつ物質は導体と呼ばれます。
水や金属が有名です。
それに対して、電気を通さない性質をもつ物質は絶縁体と呼ばれます。
代表的なものとしては、ゴムやガラスです。

これらの両方の性質を持つ物質は、電気を通したり通さなかったりといった性質を持ちます。
この物資が半導体と呼ばれます。
シリコンなどが代表的です。

半導体が使用されているもの

半導体が機械に搭載された際に果たす役割の代表例として、電源のオン・オフを司ることが挙げられます。
電気を通したり通さなかったりを自由自在に選べる半導体は、電源のオン・オフを操作しなければいけない電化製品と非常に相性が良いです。
そのため、私たちの身の回りにある製品のほとんどには半導体が使われていると言って良いでしょう。

スマホやパソコンなどのハイテク機器はもちろんのこと、エアコンやボイラーなどといった生活に欠かせない製品にも半導体が使われています。
また、自動車や飛行機などといった大型の乗り物を作る際にも半導体は欠かせません。
私たちの暮らしを豊かにするにあたって、半導体はとても重要な役割を果たしています。

建築業における使用用途

このように、ありとあらゆる業界で万能な働きを見せている半導体ですが、建築業界ではどのように使われているのでしょうか。
単純に家を建てるだけなら電気製品は必要ないので、半導体の出番はないように思えます。
とはいえ、最近ではオール電化の家なども増えてきました。
エコキュートやIHなどを作るためにも半導体は欠かせません。
さらには、床暖房などを設置するためにも半導体は必要です。
このように、建築業界においても半導体は大活躍しています。

半導体ショックの原因

最初に述べたように、2020年以来さまざまな方面において半導体が不足している事態が起きています。
皆さんもここ数年でほしい製品が買えなかったり、品薄になったりして多かれ少なかれ影響を受けているでしょう。

では、この半導体ショックの原因はどこにあるのでしょうか。
実は原因は一つに限りません。
さまざまな要因が絡み合って起こった出来事なので、一つひとつ見ていきましょう。

新型コロナウイルスの感染拡大

半導体ショックが起こる前の事件として、新型コロナウイルスの世界的流行は忘れてはいけません。
世界中の産業に甚大な影響を及ぼしたコロナウイルスですが、半導体もやはり影響を免れられませんでした。
感染の流行を抑えるために世界ではロックダウン体制を敷き、あらゆる産業をストップしましたが、当然半導体の生産工場も例外ではありません。
これによって半導体の生産スピードが急激に落ちてしまい、供給量が減ってしまいました。

また、会社に行かず自宅で仕事をするリモートワークに移行したことも半導体不足の一因といって良いでしょう。
これまで自宅用のパソコンを持っていなかったり、ZOOMなどの遠隔コミュニケーションに対応したりするために、ビジネスマンがパソコンを続々と買った結果、パソコンの生産に半導体が集中してしまいました。

ウクライナ危機の影響

半導体不足は2022年になってからも続いていますが、この要因としてロシアがウクライナに戦争を仕掛けたことが挙げられます。
半導体を作るにはさまざまな素材が必要になりますが、レアメタルやレアガスはロシアやウクライナで作られます。
戦争中は従来工場で働いていた人も徴用されるので、生産体制は必然的にストップせざるを得ません。
これによって、ただでさえ半導体が足りていなかったのに、追い打ちをかけられてしまいました。

アメリカ・中国間の経済摩擦

これまで、半導体の生産シェアはアメリカがトップを走っていました。
しかし、2010年以降になると中国が急速に成長を見せ、アメリカを追い抜いてしまいます。
これに危機感を抱いたアメリカは、自国の半導体を中国に輸出することを規制しました。
これによって、中国で作られる電化製品にアメリカ製の半導体が使いづらくならざるを得ません。
日本で販売されている電化製品の多くは中国で作られているため、当然私たちにも多かれ少なかれ影響が及んでいます。

新たな需要

近年盛り上がりを見せているのが暗号通貨です。
この暗号通貨を得るためには、マイニングという作業がいるのですが、それにはGPUという高性能のパソコンパーツが欠かせません。
本来は他の製品に回されるはずの半導体がGPUに奪われているのも半導体ショックに拍車をかけています。

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半導体ショックはいつまで続くのか

ここまで、半導体ショックの原因を見てきました。
半導体が足りないというニュースを聞くようになって久しいですが、この事態はいつ終わりを迎えるのでしょうか。

2022年には解消に向かう?

実は半導体の不足は徐々に改善しつつあります。
コロナ禍が世界で落ち着きを見せているのも理由の一つです。

2020年は、ありとあらゆる業界でリモートワークの必要性が叫ばれていました。
とはいえ、ワクチン接種が進んだことで、かつてほどの危険性はなくなり、会社で仕事をすることが可能になっています。
その結果、パソコンなどの需要が減り、半導体がほかの業界にも回るようになりました。

AMD社やNVDIA社の見解

こうした見解は半導体メーカーの大手であるAMD社やNVIDIA社の間でも一致しています。
たとえばAMD社からは、2022年末までには生産が回復して状況は改善するだろう、という見解が出ました。

また、NVIDIA社は2021年の時点では半導体の不足はまだまだ続くだろう、との予測を出していました。
しかし、現在では暗号通貨の下落などと相まってGPUの余剰在庫を抱えるようになっています。
こうした事態は、半導体がほかの業界に回るのを助けてくれるでしょう。

半導体不足による影響

ここまで、半導体不足の原因は何か、この状況はいつ改善するのかを見てきました。
仮に半導体不足が慢性化してしまったら、どのような事態が起こるのでしょうか。

商品の供給不足による価格の大幅な高騰

基本的に商品の価格は需要と供給のバランスが崩れたら変動します。
みんながほしいものなのにそもそも商品が足りなければ、それを手に入れるために大金が必要になるという仕組みです。
こうした事態が半導体不足によって到来しているといって良いでしょう。

たとえば、パソコンは全体的に価格高騰が続いた商品の一つです。
先ほども述べたように、テレワークの普及によって需要が多くなったにもかかわらず、パソコンを作るのに必要な半導体が足りないせいで供給が追い付きませんでした。
こうした価格の高騰は、ほかの電化製品においても同じような事態が起きています。

建築業への影響

建築業界も直接的な影響こそ受けないものの、間接的な影響は免れられません。
家を作るためには、ボイラーやLED電球の設置が欠かせないです。
これがないまま家を建てても住める人がいませんから、商品が届くまで建物は完成しません。
この結果、工事計画に多大な影響を及ぼしてしまいます。

半導体ショックを乗り越えるために

現在は徐々に落ち着き始めていますが、こうした半導体ショックはまた起きないとは限りません。
現在の半導体ショックを乗り切るのみならず、将来起こり得るショックを予防するためにはどうしたら良いのでしょうか。
望まれるのは、国産の半導体供給体制を整えることです。
日本はかつて半導体シェアで世界トップを走っていました。
改めて日本の技術力を結集し、世界に誇れる半導体を作れるようになれば、次なるショックがやってきても十分耐えることができるでしょう。

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まとめ

半導体はすっかり私たちの暮らしになくてはならないものとなりました。
建築業界のように、一見関係のない業界においても供給不足が多かれ少なかれ影響を及ぼすまでになっています。
半導体に限らず、私たちが普段何気なく使っているものが、ある日急になくなってしまうという事態は十分に考えられます。
そうした混乱が起こってもうろたえることなく乗り切れるよう普段から備えは万全に整えなければいけません。

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