見積依頼書の書き方は?建設業法に基づいて解説!

見積依頼書の書き方は?建設業法に基づいて解説!

見積依頼書とは商品やサービスの価格や数量、納期などの取引内容を把握するために発注者が受注者に対し見積書を依頼するものです。

建設業の見積依頼書では一般的な見積依頼書よりも建設業法で定められている項目が多く複雑です。
本記事では建設業法をもとに見積依頼書の解説をしていきます。

見積依頼書とは

その名の通り、発注者が受注者に見積書を依頼するための文書のことです。
また、見積書は商品やサービスの金額や数量など取引内容を示した文書です。

見積書をもとに複数の受注先と比較して取引をするか検討することもあるため、取引をするうえで見積書は大変重要な書類となります。
工事による費用を知るために見積依頼書によって費用の算出を依頼します。

見積依頼書の目的

建設業法では見積内容の詳細を記載することが推奨されています。
見積依頼を必ずしも書面で行う必要はありませんが、建設業法においては書面による見積依頼が望ましいとされています。

建設業では取引が高額になることが多く、見積書を出されてから必要な項目がなかった場合に二度手間になることがあります。
そのため見積依頼をすることで認識の違いや「言った・言っていない」のトラブルを防ぐことができるでしょう。

また、見積依頼書は購入を検討しているという意思表示にもなります。

見積依頼書の項目

建設工事請負契約書に記載しなければならない15項目のうち「請負契約金額」を除く14項目が提示すべき項目として定められています。
14項目の一つである「工事内容」に当てはまる内容として以下の項目があげられます。

発注者は受注者に最低限これらの項目を最低限提示しなければなりません。
確定していない項目がある場合にはその理由を明確にする必要があります。

  1. 工事名称
  2. 施工場所
  3. 設計図書(数量等を含む)
  4. 工事の責任施工範囲
  5. 工事の全体工程
  6. 見積条件
  7. 施工環境、施工制約に関する事項

建設工事請負契約書に記載しなければならない15項目は以下の通りです。
「②請負代金の額」は見積依頼書では必要ありません。

① 工事内容
② 請負代金の額
③ 工事着手の時期及び工事完成の時期
④ 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
⑤ 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
⑥ 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
⑦ 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
⑧ 価格等(物価統制令(昭和21年勅令第118号)第2条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
⑨ 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
⑩ 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
⑪ 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
⑫ 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
⑬ 工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
⑭ 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
⑮ 契約に関する紛争の解決方法

引用元:発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン(第4版)

見積依頼の期間

建設業法で見積書を出すのに一定の期間を設けなければなりません。

受注者が適正な見積を行うために必要な期間です。
工事1件の予定価格によって必要な見積期間は異なります。

  • 500万円未満 → 1日以上
  • 500万円以上5,000万円未満 → 10日以上
  • 5,000万円以上 → 15日以上

見積提示を無理に急かすことや、見積期間より前に見積書の提示を強制すること今日中に見積書が欲しいと依頼することは建設業法を違反することになりかねません。

やむを得ない事情がある場合に予定価格が500万円以上の工事において5日以内に限り短縮することができるとされています。
しかし、やむを得ない事情が具体的に定義されているわけではないため判断が難しいです。規定の見積期間を守るようにしましょう。

4月1日に発注者が受注者に見積依頼をした場合、以下のようになります。

  • 500万円未満 → 4月3日
  • 500万円以上5,000万円未満 → 4月12日
  • 5,000万円以上 → 4月17日

これらは建設業法で定められている最短の見積期間です。
適正な見積ができるように余裕を持ってこの期間よりも長い期間を設けても大丈夫です。

また、これらの見積期間は追加工事においても同様に適用されます。

見積依頼の注意点

建設業法違反となる可能性がある行為として、不明確な工事内容の提示やあいまいな受注条件を提示して受注予定者に見積を依頼した場合があげられます。

地価の沈下、地下埋設物による土壌の汚染その他の地中の状態に起因する事象
騒音、振動その他の周辺の環境に配慮が必要な事象

引用元:発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン(第4版)

また、以上のように地下埋没物による土壌汚染があることを知りながらも見積を行わせ契約をした場合にも違反となります。
あらかじめ土壌汚染が発覚している場合は見積依頼の段階から必ずその情報を提示しましょう。

追加工事や変更工事によって工期や請負金額に変更が生じた場合にも、受注者に対し書面による見積依頼をする必要があるため注意してください。

見積依頼書の書き方のポイント

見積依頼書を書くときのポイントを3つ紹介していきます。

正式名称で記載する

発注者情報や受注者情報、工事名称などは略称を使わずに正式名称で記載します。
個人宛か会社宛かで書き方が変わるため注意してください。

  • 会社名の場合 〇〇会社 御中
  • 部署名の場合 〇〇部〇〇課 御中
  • 個人の場合  〇〇部〇〇課 〇〇様

あいまいな表現は避ける

〇〇工事一式という書き方は認識の違いによるトラブルが発生する可能性があるため、あいまいな表現は避けた方が安全です。

関連資料を添付する

見積依頼書や見積書に工事に関わる全ての情報を明記することは難しいため、建設業では設計図書や仕様書を同時に添付することが多いです。

関連資料に漏れがないか明確にするために、それぞれ何枚添付されているかがわかるようにしましょう。
関連資料にもページ番号を振っておくと紛失などのトラブルを防ぐことができます。

見積依頼書の作成方法

見積依頼書は様式が決まっているわけではないので、自社にあった方法で作成しましょう。
ワードやエクセル用のテンプレートも多く存在します。

一般的なサイトの見積依頼書のテンプレートは建設業法で定められている必要な項目が抜けている場合があります。
国土交通省でも見積依頼書のテンプレートがあげられているため参考にしてみるといいかもしれません。

ワードやエクセルの場合は、既存のテンプレートを自社にあったようにカスタマイズすることが可能です。
社内の共有もしやすく漏れも防ぐことができるため自社オリジナルのテンプレートを作っておくといいでしょう。

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まとめ

建設業法に基づいて見積依頼書の書き方やポイントを解説してきました。
見積依頼書について建設業法で細かく定められているため、何気ない行動が違反につながる恐れがあります。見積依頼書について知識を深めていくことが大事です。
あいまいな見積依頼や見積期間以内の催促は違反となるため注意しましょう。

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