建築業界では発注書と注文書を日々の業務で発行する機会が多いと思います。
それぞれの文書の違いはあるのでしょうか。
作成方法や注意点、電子化することのメリットやデメリットなど、発注書と注文書についてご紹介していきます。
発注書・注文書とは
発注書は依頼したいことを発注する書類、注文書は注文を出す書類です。
といっても、厳密には書類の種類を分ける法的な縛りがあるわけではありません。
発注書のみを使っている企業、注文書のみを使っている企業、両方を場合分けして使っている企業などさまざまかと思います。
では、2種類あるのはなぜでしょうか。
より詳しく見ていきましょう。
注文書・発注請書に関する記事はこちら
発注書と注文書の違い
発注書と注文書は法律や業界のルールなどで、こういった場合はこの書類を使わなくてはいけないという縛りはありません。
いずれも、一定の内容の仕事を依頼する際や購入したい製品のオーダーをする際に使われます。
商慣習的な風習として、形のないものを依頼する際は発注書、形のあるものを依頼する場合は注文書としているケースがあります。
たとえば、建築業界であれば、設計を依頼する場合や下請けへの仕事を依頼するなどの場合は発注書、建材や資材、住宅設備などの製品を仕入れる際は注文書といった形です。
発注書・注文書の必要性
では、発注書や注文書はなぜ必要なのでしょうか。
この点、仕事の発注や品物の購入の依頼は対面や電話で口頭の依頼だけでも成立します。
いつも仕事を依頼している馴染みの業者に、「○○お願いね。」と頼むことや電話で「急ぎで×を△個持ってきて。」などと依頼することもあるかもしれません。
信頼関係が成り立ち、相手が迅速かつ誠実に対応してくれる業者であれば、問題なく取引できるでしょう。
ですが、担当者がうっかり忘れていたとか、依頼された仕事の内容を勘違いしたといったミスが発生するかもしれません。
忙しい業者や依頼内容が複雑になるほどミスが起こりやすくなります。
そこで、書面で依頼することでミスを防ぐ役割があります。
依頼側の発注漏れや注文ミス、相手方の認識ミスや勘違い、うっかり忘れを防げるのがメリットです。
注文したのに届かない、違うものが届いた、数が足りない、仕事の日に来なかったなどというミスを防ぐことができます。
また、取引履歴が残るため、注文した・しない、仕事を依頼した・しない、注文した内容と製品や数が異なるなどの揉め事を防げます。
発注されたからと手間や時間をかけて設計したのに、発注した覚えはないと言われることや製品を納品したら、こんな数はいらないと突き返されるような心配をなくせるのもメリットです。
発注書・注文書の作成方法
発注書・注文書の作成方法について確認していきましょう。
決まったフォーマットはなく、企業が各自でオリジナルで作成したり、市販の注文書などを用いたり、システムなどを用いて作成しています。
記入事項
発注や注文として成り立つには、記入事項として以下のような項目が最低限必要です。
発注日または注文日
書類の作成日などが基本です。
依頼先の情報
依頼する人の氏名や会社名などです。
取引の内容
発注する仕事の内容や派遣してほしいスタッフの数など、製品名や型番と個数などを具体的にわかりやすく書きます。
金額
発注額または注文の金額を記入します。
納期
仕事を完成して納めてほしい期日や商品を届けてほしい日を記載しましょう。
自社の情報
自社の会社名および連絡先などを明記します。
作成方法
発注書や注文書の作成方法は、市販のフォーマットへの手書きも行われていますが、一般的にはエクセルか、専用のシステムで作成するケースが多いです。
近年では電子化の動きもあります。
それぞれ特徴を見ていきましょう。
エクセルで作成する
エクセルで作成する場合は、各企業で統一されたフォーマットを作成し、そこに必要な項目を入力して使います。
フォーマットは1種類にとどまらず、発注内容や注文内容、頻繁に取引するメーカーや業者ごとに専用のフォーマットを作って、使い分けているケースも多いです。
たとえば、とある企業に注文する商品は特定の種類に限られているので、商品名があらかじめ記入されていて、後は日付と数量を入力するだけ、必要がなければ削除するだけといった形です。
エクセルで作成後はプリントアウトし、手渡しやFAX、郵送、メールに添付して送信などを行います。
システムで作成する
システムは発注や注文専用である場合やその他の業務も管理できるシステムなどを使います。
用意されている発注書・注文書のフォーマットをそのまま使うことやカスタマイズしたフォーマットを用いるのが一般的です。
システム上で必要事項を入力し、プリントアウトしたうえで手渡しやFAX、郵送などを行うのが基本の流れです。
発注書・注文書の電子化
電子化は専用のシステムで発注書・注文書を作成するのとは異なり、作成から相手方への送信、受諾までオンラインで一気にできるシステムを用いることです。
電子化のメリット
発注書・注文書を電子化するメリットの一覧です。
- 電子化により発注書・注文書の作成から送信、相手方の受注確認から、内容のデータ保存まで必要な作業をワンストップで行うことができることです。
- プリントアウトする紙代や手間が省けることで、業務が効率化し、コストカットができることです。
- ペーパーレス化により、環境保護にも貢献でることです。
- 郵送やFAXする手間やコストを省くことができ、人手不足の問題やかさむ人件費の削減ができることです。
- 電子データとして保存することで、自社用にプリントアウトした書類をファイリング、書庫で管理する手間やコストもカットできることです。
電子化のデメリット
発注書・注文書を電子化するデメリットの一覧です。
- 電子化のデメリットは、システム導入の費用がかかり、電子署名の取得のコストや手続きの手間がかかることです。
- 電子データでやり取りするには、取引の相手方も電子化に対応していることが必要で、相手が対応していなければ意味がありません。電子化対応の取引先と、対応していない取引先がある場合には、取引先によって電子化での発注や注文、書類での発注や注文と二重の運用が必要になることです。
発注書メールに関する記事はこちら
作成の際の注意点
発注書や注文書を作成する際の注意点について、確認しておきましょう。
保存期間の確認
法人の場合、注文書や注文請書の保存期間は税法上は7年です。
ただし、欠損金が生じる事業年度は保存期間が10年に延長されるので注意しましょう。
印紙の添付が必要な場合も
一方的に発注する、注文するだけの書類であれば、課税文書とはみなされず、収入印紙は必要ありません。
ですが、発注書や注文書だけで取引が成立する場合には、発注金額や注文金額によっては収入印紙の添付が必要です。
下請法が適応されるか
発注や注文を行うにあたり、依頼主である自社が親事業者となり、依頼先が下請け事業者にあたる場合には、必ず書面の発行が必要です。
発注や注文は口頭や電話だけでも成り立つと言いましたが、下請け関係にある場合には、下請け法により、書面の交付が義務付けられています。
下請け業者への依頼なのに発注書を発行しないと、義務違反となりますので注意しましょう。
下請け業者向けの発注書は、下請法第3条に記載すべき事項も詳細に決められていますので、漏れのないようにすることが大切です。
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まとめ
発注書・注文書に法的な違いはありません。
発注書は形のないもの、注文書は形ある製品のオーダーに用いるといった分類もあります。
いずれにしても、どのような形式で使うかは企業ごとにルールを決めることが大切です。
発注書・注文書の必要性は発注や注文の内容を明確にし、互いに間違いのない取引ができるようにすることが挙げられます。
発注書・注文書の作成方法はエクセルやシステムでの作成などさまざまです。
発注書・注文書の電子化することで業務の効率化やペーパーレス化のメリットなどが得られるのです。
電子化のデメリットはシステムの導入コストがかかることや取引相手が対応しないと実現できないことが挙げられます。
作成の際の注意点として、保存期間の確認、印紙の添付が必要な場合があること、下請法が適応されるかを確認するようにしましょう。
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書類の作成日などが基本です。
依頼する人の氏名や会社名などです。
発注する仕事の内容や派遣してほしいスタッフの数など、製品名や型番と個数などを具体的にわかりやすく書きます。
発注額または注文の金額を記入します。
仕事を完成して納めてほしい期日や商品を届けてほしい日を記載しましょう。
自社の会社名および連絡先などを明記します。
発注書や注文書の作成方法は、市販のフォーマットへの手書きも行われていますが、一般的にはエクセルか、専用のシステムで作成するケースが多いです。
近年では電子化の動きもあります。
それぞれ特徴を見ていきましょう。
エクセルで作成する場合は、各企業で統一されたフォーマットを作成し、そこに必要な項目を入力して使います。
フォーマットは1種類にとどまらず、発注内容や注文内容、頻繁に取引するメーカーや業者ごとに専用のフォーマットを作って、使い分けているケースも多いです。
たとえば、とある企業に注文する商品は特定の種類に限られているので、商品名があらかじめ記入されていて、後は日付と数量を入力するだけ、必要がなければ削除するだけといった形です。
エクセルで作成後はプリントアウトし、手渡しやFAX、郵送、メールに添付して送信などを行います。
システムは発注や注文専用である場合やその他の業務も管理できるシステムなどを使います。
用意されている発注書・注文書のフォーマットをそのまま使うことやカスタマイズしたフォーマットを用いるのが一般的です。
システム上で必要事項を入力し、プリントアウトしたうえで手渡しやFAX、郵送などを行うのが基本の流れです。
電子化は専用のシステムで発注書・注文書を作成するのとは異なり、作成から相手方への送信、受諾までオンラインで一気にできるシステムを用いることです。
発注書・注文書を電子化するメリットの一覧です。
- 電子化により発注書・注文書の作成から送信、相手方の受注確認から、内容のデータ保存まで必要な作業をワンストップで行うことができることです。
- プリントアウトする紙代や手間が省けることで、業務が効率化し、コストカットができることです。
- ペーパーレス化により、環境保護にも貢献でることです。
- 郵送やFAXする手間やコストを省くことができ、人手不足の問題やかさむ人件費の削減ができることです。
- 電子データとして保存することで、自社用にプリントアウトした書類をファイリング、書庫で管理する手間やコストもカットできることです。
発注書・注文書を電子化するデメリットの一覧です。
- 電子化のデメリットは、システム導入の費用がかかり、電子署名の取得のコストや手続きの手間がかかることです。
- 電子データでやり取りするには、取引の相手方も電子化に対応していることが必要で、相手が対応していなければ意味がありません。電子化対応の取引先と、対応していない取引先がある場合には、取引先によって電子化での発注や注文、書類での発注や注文と二重の運用が必要になることです。
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作成の際の注意点
発注書や注文書を作成する際の注意点について、確認しておきましょう。
保存期間の確認
法人の場合、注文書や注文請書の保存期間は税法上は7年です。
ただし、欠損金が生じる事業年度は保存期間が10年に延長されるので注意しましょう。
印紙の添付が必要な場合も
一方的に発注する、注文するだけの書類であれば、課税文書とはみなされず、収入印紙は必要ありません。
ですが、発注書や注文書だけで取引が成立する場合には、発注金額や注文金額によっては収入印紙の添付が必要です。
下請法が適応されるか
発注や注文を行うにあたり、依頼主である自社が親事業者となり、依頼先が下請け事業者にあたる場合には、必ず書面の発行が必要です。
発注や注文は口頭や電話だけでも成り立つと言いましたが、下請け関係にある場合には、下請け法により、書面の交付が義務付けられています。
下請け業者への依頼なのに発注書を発行しないと、義務違反となりますので注意しましょう。
下請け業者向けの発注書は、下請法第3条に記載すべき事項も詳細に決められていますので、漏れのないようにすることが大切です。
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まとめ
発注書・注文書に法的な違いはありません。
発注書は形のないもの、注文書は形ある製品のオーダーに用いるといった分類もあります。
いずれにしても、どのような形式で使うかは企業ごとにルールを決めることが大切です。
発注書・注文書の必要性は発注や注文の内容を明確にし、互いに間違いのない取引ができるようにすることが挙げられます。
発注書・注文書の作成方法はエクセルやシステムでの作成などさまざまです。
発注書・注文書の電子化することで業務の効率化やペーパーレス化のメリットなどが得られるのです。
電子化のデメリットはシステムの導入コストがかかることや取引相手が対応しないと実現できないことが挙げられます。
作成の際の注意点として、保存期間の確認、印紙の添付が必要な場合があること、下請法が適応されるかを確認するようにしましょう。
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