工事請負契約書は書面ではなく、電子的に契約を締結することが可能です。
この電子契約は、従来の紙媒体での業務フローに比べて沢山のメリットがあります。
ただ、電子契約を実施するには、ある要件を満たしたシステムを導入する必要があります。
この記事では、工事請負契約書の電子化による電子契約のメリットや導入のポイントをご案内します。
工事請負契約書とは
工事請負契約書とは、発注者と請負者の間で交わされる、工事内容や期間、金額等を明記した契約書です。
工事請負契約書は、工事の規模や区分寄らず、工事の前に締結することが義務付けられています。
その目的は、両者の合意を明確にして、トラブルのリスクを回避することです。
また、契約内容を可視化することで、不平等な契約が結ばれることを抑止することです。
工事請負契約書の電子契約とは
では工事請負契約書の電子契約とは何でしょうか。
それは、書面によって締結していた工事請負契約を電子的に行うことを言います。
すなわち、紙媒体の契約書を電子ファイルとし(電子化)、インターネット上で受け渡しを行い、サーバーやクラウドで保管する方式をいいます。
署名についても、手書きではなく、パソコンやスマートフォンで電子署名によって行います。
これまで工事請負契約書は書面による契約が必要でしたが、2001年4月に建設業法第19条の改正により、電子契約が可能になりました。
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電子契約のメリット
工事請負契約書の電子契約は、法改正への対応としてだけでなく、リモートワークやペーパーレス化、業務DX化が進む現代の社会的要請にも応えることができます。
また、大きく2つのメリットがあります。
- 業務効率化
- コストカット
順番に見ていきましょう。
メリット①:業務効率化
電子契約は、紙媒体での契約に比べて、作業工数や時間を大幅に削減することができます。
契約書の印刷、製本、署名、収入印紙の添付、郵送、返送、ファイリングの必要がありません。
契約がインターネット上で完結するため、契約書の印刷や郵送のために出社する必要がありません。
契約の労力が抑えられることで、他のメイン業務に時間を割くことができます。
メリット②:コスト削減
また、電子契約はあらゆるコストの削減になります。
例えば、印刷や製本のための印刷用紙代、製本代が不要です。
また、電子契約は、課税文書の作成にあたらないため、収入印紙代を削減できます。
さらに、文書を作成・確認する人件費や、大量の紙面を保存する保管費用のカットにもつながります。
電子契約の方法
では、実際に電子契約を行うには、どうしたらよいのでしょうか。
電子契約には、電子契約システムを導入する必要があります。
電子契約システムは、契約にかかわるすべてのフローをインターネット上で完結できる機能をもつシステムです。
たとえば、契約書の作成、電子署名、タイムスタンプ押印、保存といった機能を備えています。
タイムスタンプとは、電子ファイルに時刻の情報を付与するもので、改ざんされていない文書であることを証明するために必要です。
電子契約システムの選び方
電子契約システムを選ぶ際は、3つ要件を満たしたしているかを確認する必要があります。
- 原本性
- 見読性
- 本人性
それぞれについて解説します。
原本性
システムに、改ざんされていないことを証明できる仕組みがあるか確認しましょう。
具体的には、電子署名機能(公開暗号方式※)とタイムスタンプ機能が必要です。
※改ざんを防ぐ上で有効な暗号技術をさし、データの暗号化には公開鍵を使うが、閲覧時のデータの復元には秘密鍵をもちいる方式です。
見読性
契約書をディスプレイや書面で確認できる仕組みがあるか確認しましょう。
具体的には、データの破損や読み出し不能を防ぐ機能が必要です。
本人性
署名した者が本人であることを証明できる仕組みがあるか確認しましょう。
この仕組みには「当事者型」と「立会人型」がありますので、どちらが会社に適正ているかも合わせて検討しましょう。
当事者型は、A社とB社の契約の際は、A社とB社がそれぞれの名義で電子署名を行います。
ただし、各社は認証サービス会社から電子証明書を発行してもらう必要があります。
立会人型は、A社とB社の契約の際に、C社が立ち合い、C社の名義で電子署名を行う方法です。
一般的には、立会人型が浸透しています。立会人型が浸透しています。
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まとめ
建設工事の工事請負契約は、従来の書面ではなく電子契約することをおすすめです。
電子契約によって、作業工数や時間の削減になり、業務を効率化させることが可能です。 また、人件費や保管費、諸経費を削減できるメリットがあります。
電子契約を行うには、システムの導入が必要となります。 その際は、システムが原本性、見読性、本人性の要件を満たしている製品かどうかをしっかり確認しましょう。