みなさんの建設現場では、どのような作業工程表を利用しているでしょうか。
現在、使っている作業工程表しか知らないという方もいれば、いつもの作業工程表が実は見にくくて工程管理がしにくいと思っている方もいるかもしれません。
また、受注する現場や派遣される現場によって種類が異なっており、慣れるまでに時間がかかるという方もいることでしょう。
ここでは作業工程表の種類や役割、作成するメリットや作成する方法について解説していきます。
作業工程表とは
作業工程表は建設現場における工事のスケジュールを示して、現場の進捗管理をするものです。
建設工事では、いつまでに完成させなくてはならないという納期が設定されています。
納期に間に合うよう工事を行うには、いつまでに、どのくらいの時間をかけて、どのような作業をしなくてはならないかを管理することが欠かせません。
作業工程表には、日付ごとに行うべき作業を示すことや一定の作業を何日間で行うかなどを示します。
日々の作業予定の確認をはじめ、納期までのスケジュールを確認し、作業の進捗の調整などに利用されます。
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作業工程表の種類
作業工程表の種類として代表的なものにバーチャート、ガントチャート、グラフ式工程表、工程管理曲線、ネットワーク工程表があります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
バーチャート
バーチャートは、建設現場で頻繁に見かけるオーソドックスな作業工程表です。
横軸に日付が並び、縦軸に作業内容が羅列されます。
同じ日に複数の作業が予定されていても、縦軸に並べて、それぞれの作業がいつ、何日間かけて実施するのかなどを、ひと目でわかりやすくしているものです。
シンプルで特段の知識がなくても、ひと目で今日はどの作業を行うか、後何日で終わらせなくてはならないかがすぐにわかります。
ガントチャート
ガントチャートは横軸には作業の進捗率、縦軸に作業内容を羅列します。
日程ではなく、各作業がどれだけ進捗したかをひと目でわかりやすくする作業工程表です。
作業ごとの進捗状況を10%、20%などの割合で示していきます。
今、どの段階にあるのかはわかりやすいですが、今日、どのくらい進めるべきかなどはわかりいくいです。
また、1日の作業が終わる度に、進捗状況の更新をしなくてはなりません。
更新をし忘れると作業工程表の正確性や信頼性が失われ、進捗管理がしにくくなります。
グラフ式工程表
グラフ式工程表は、バーチャートとガントチャートを融合したような工程表です。
横軸には日付、縦軸に進捗率を示します。
つまり、それぞれの作業がいつまでに何%進捗している必要があるかがわかる工程表です。
もっとも、ひと目で何を示しているかがわかりにくく、全体の予定が把握しにくい点がデメリットです。
各作業が独立して記載されるなど、施工期間での重なりがあっても、作業間の連携性は把握しにくい工程表になります。
工程管理曲線
工程管理曲線も横軸に日付、縦軸に進捗率を示しますが、グラフ式工程表と異なり、各作業の進捗は把握しにくいものの、納期までの全体の進捗状況はわかりやすいです。
各作業を担当する業者やチームごとに、当該作業について作成するか、作業が一つだけの工事などでは使いやすくなります。
過去の施工実績などをもとに、上方許容管理限界曲線と下方許容限界曲線を入れ、その間に実際に実施した実施工程曲線が入れば、問題なく、無理のない進捗ができていることを示します。
下方許容限界曲線を下回っていると進捗の遅れが出ていることになるため、進捗の遅れを取り戻すために、作業内容の見直しや人材や機材の追加投入、工期の見直しなどが必要です。
上方許容管理限界曲線より、進捗が速い場合には作業工程が抜けていないか、手抜き工事などが行われていないかチェックしましょう。
ネットワーク工程表
ネットワーク工程表は作業と作業の関連性を示すことを目的にした工程表で、○印と矢印を用います。
○印はイベントと呼ばれ、各作業が結合する部分です。
イベントの○印の中に、進捗の順番を記載します。
ある作業が完了しないと次に進めない工事などに使われるのが一般的です。
ネットワーク工程表は、誰もが感覚的に理解できるバーチャート工程表とは異なり、ネットワーク工程表の見方を理解していないとわかりにくいです。
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作業工程表を作成するメリット
作業工程表を作成するメリットは、全体の流れを知ることができること、業務効率化を図れることです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
全体の流れを知ることができる
建築現場では施主との約束やマンションの販売やビルなどのテナント募集のスケジュールに合わせ、いつまでに工事を終わらせなくてはならないという納期があります。
納期までにすべての作業が問題なく進捗していくよう、全体の流れを知るために役立ちます。
複数の作業を並べられる場合は、いずれかの作業で遅れが生じていないか、逆に必要以上に早く進捗していないかが確認可能です。
業務効率化を図れる
作業工程表を作成する過程で、どの作業を何日間で行う必要があるのか、いつまでに行うべきかを計画できるので、業務の効率化が図れます。
日程通りに進んでいるか、どのくらい進捗しているかを知ることができるので、今の作業ペースで問題ないか、それともスピードアップすべきかが把握しやすくなるのも便利です。
遅れが出ているようなら、作業工程の見直しを図ることや余計な作業をしていないかをチェックし、業務効率化を図れるのもメリットです。
作業工程表の作成
作業工程表の作成方法として紙面、エクセル、スプレッドシート、工程管理ツールによる管理法があります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
紙面による管理
紙面による管理は、紙に直接書くことや縦軸と横軸が表示された紙を印刷するなどして、そこに直接書き込んで管理する方法です。
昔ながらの工程管理をしている会社や極めて小規模な会社、作業人数や作業工程が少ない工事などで使用されることがあります。
進捗に遅れが出るなどして見直しが入る場合、書き加えてわかりにくくなることや一から書き直す必要も生じます。
エクセルによる管理
エクセルを使って作業工程表を作成して管理していく方法です。
建設業者でも、エクセルは他の業務でも使っていることが多く、既にインストールされているソフトを使って低コストで作成できます。
もっとも、エクセルデータはそのままでは現場で見ることができないので、作成したデータをプリントアウトして紙ベースで管理することが必要です。
作成した後は紙による管理とあまり変わりありません。
ガントチャートなどの場合、進捗の度に更新を行い、その都度プリントアウトして現場担当者に配るなど、更新の手間がかかります。
スプレッドシートによる管理
Googleのスプレッドシートを用いて作成する方法です。
スプレッドシートはエクセルと同じ表計算ソフトです。
エクセルと異なるのはソフトの購入費用やライセンス取得は必要なく、誰でも無料でGoogleアカウントを取得して、無料で利用することができます。
スプレッドシートで工程表を作るうえで、最も大きな特徴は、これまでエクセルを使用したことがない企業などが、コストをかけずにアナログ管理を脱したい時などに向いています。
インターネットが使える環境を整えれば、変更があった場合や1日の作業が終わる都度、内容の更新が可能です。
工程管理ツールによる管理
工程管理のために作成されたツールを利用する方法です。
無料のものから有料サービスまで揃っています。
専用のシステムなので、使い勝手に優れています。
いくつもの種類の工程管理表の中から、自社のニーズに合わせた工程管理表の雛型を選び、簡単に作成することが可能です。
選択したり、簡単な入力をすることで作成したり、更新ができます。
工程管理表の種類ごとの詳しい知識がなくても、作成や更新がしやすいのがメリットです。
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作業工程表も作成できる『建築業向け管理システム アイピア』
まとめ
作業工程表とは納期までの作業管理や、作業ごとの進捗管理などを行う表です。
種類として代表的なものに、バーチャート、ガントチャート、グラフ式工程表、工程管理曲線、ネットワーク工程表があります。
作業工程表を作成するメリットは、全体の流れを知ることができること、納期までに間に合うように業務効率化を図ることや進捗の遅れを出さないよう業務の見直しなどを行い、業務効率化が図れることです。
作成方法としては、紙面、エクセル、スプレッドシート、工程管理ツールによる管理法があります。