水道施設工事とは?管工事との違いや業種区分について解説

水道施設工事とは?管工事との違いや業種区分について解説

一般的に水道施設工事と呼ばれる工事にはいくつかの種類や区分があり、それらの違いによって工事会社が建築業許可を取得するための要件も異なります。
また、水道施設工事の中には専任技術者の資格を有していなければ従事することができないものもあるので注意が必要です。

そこで、ここでは水道施設工事がどのようなものであるのか、その種類や区分を詳しく解説するとともに、水道施設工事の専任技術者になる方法についてもご紹介していきます。

水道施設工事とは

水道施設工事は大きく2つの工事に分けることができます。
一つは上水道や工業用水道のための取水や浄水、排水などの施設を建造する工事です。
具体的には浄水場や貯水施設の築造工事、取水代務の築造工事、配水場築造工事などが該当します。

そして、もう一つは公共下水道もしくは流域下水道の処理設備を設置する工事です。
具体的には、下水処理場に設置されるタンクや沈殿池、汚泥処理施設などの設置工事を意味します。

管工事との違い

水道施設工事と混同されやすいものに管工事というものがあります。

管工事とは、建物を利用するにあたって必要となる水道管や水道設備を設置する工事のことで、一般家庭やオフィスビル、店舗などの敷地内で行われる比較的小さな排水工事のこと指します。
具体的には、給水管の引き込み工事屋内の配管工事下水道排水設備の工事などのことです。

水道施設工事業の業種区分

水道施設工事業は上下水道に関する区分とし尿処理施設に関する区分の2つに区分することができます。
それぞれの区分の内容は次の通りです。

上下水道に関する区分

上下水道に関する区分には、水道施設工事、土木一式工事、管工事があり、お互いの工事との境界線が細かく定められています。

  • 水道施設工事

    上水道や工業用水道などの取水・浄水・排水などに必要となる施設の設置や築造、下水処理場内の処理設備を築造設置する工事

  • 土木一式工事

    公道の下などに設置されている下水道の配管工事や下水道処理場を造成するための工事
    ※取水・浄水・排水などに必要となる施設の設置や築造工事でも、農業用水道や灌漑用配水施設については水道施設工事ではなく土木一式工事に該当

  • 管工事

    家屋や店舗など建物や施設などの敷地内における配管工事、および上水道などの配水小管を設置する工事

し尿処理施設に関する区分

し尿処理施設に関する区分には、水道施設工事管工事清掃施設工事の3つがあり、区分の考え方は次の通りです。

  • 水道施設工事

    公共団体が設置するもので下水道を通って収集された汚水を処理するために必要となる施設の建設工事

  • 管工事

    微生物の働きなどを利用して汚水を浄化する浄化槽(合併浄化槽を含む)の設備工事
    浄化槽設備の規模の大小は問いません

  • 清掃施設工事

    汲取方式によって収集されたし尿を処理する施設の建設工事
    公共団体が設置するもので下水道が整備されていません

水道施設工事の種類

では、水道施設工事には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、水道施設工事の種類として代表的な配水施設工事下水処理施設工事取水施設工事浄水施設工事の4つについて説明します。

配水施設工事

水道施設工事の具体例の一つが配水設備工事です。
配水場は、浄水場や井戸などから給水した水道水を家庭や職場などに送り出す施設のことで、距離や地形などに応じて水圧や水量を調節しながら配水を行いますが、この排水設備を設置する工事を指します。

下水処理施設工事

家庭やオフィス、工場などからは毎日大量の汚水が出て、下水処理場へと集められます。
このような大量の汚水は、まず初めに沈砂池や沈殿池で大きなゴミを取り除いた後に微生物の繁殖する反応タンクへ送られ、最終的に高度処理施設や消毒施設、汚泥処理施設などを通過することで再びきれいな水となります。
このような下水処理場に必要な施設の設置工事が下水処理施設工事の内容です。

取水施設工事

取水施設とは河川や湖沼、貯水池などの水源から水を取るための施設です。
河川の水を堰上げすることで安定した取水を可能にする取水堰、河岸にゲートを設置して湖や河川の表面に近い部分の水を取水する取水門などが取水施設に該当し、これらの施設の設置工事を行います。

浄水施設工事

河川などの水源から集めた水は、浄水施設に送られ凝集、沈殿、ろ過、消毒などの工程を経て誰もが安心して飲めるきれいな水へと処理されます。
この処理の過程で必要となる沈殿池やろ過池の造成、浄水タンクの設置工事などが浄水施設工事に該当します。

【一般建設業】水道施設工事の専任技術者になるには?

水道施設工事は、社会的な責任の大きな仕事であり、建設業許可を取得するためには建設業法で定められている要件を満たしていなければなりません。
そして、その要件の中には営業所ごとに常勤の専任技術者を配置することも含まれています。

では、水道施設工事の専任技術者となるにはどうしたら良いのでしょうか。
その方法をご紹介します。

資格で申請する場合

専任技術者になるための一つの方法は、指定された国家資格等を取得するというものです。
一般建設業における専任技術者になるために必要な資格は次の通りです。

  1. 一級土木施工管理技士
  2. 二級土木施工管理技士(土木)
  3. 技術士 上下水道部門・総合技術監理部門(上下水道)
  4. 技術士 上下水道部門「上水道および工業用水道」・総合技術監理部門
    (上下水道「上水道および工業用水道」)
  5. 技術士 衛生工学部門「水質管理」・総合技術監理部門(衛生工学「水質管理」)
  6. 技術士 衛生工学部門「廃棄物管理」・総合技術監理部門
    (衛生工学「廃棄物管理」)

学歴・実務経験で申請する場合

所定の学歴と実務経験を有していれば、上記の国家資格を持っていなくても専任技術士になることができます。
所定の学歴と実務経験は次の通りです。

  1. 大学や高等専門学校で指定された学科(土木工学・建築学・機械工学・都市工学・衛生工学のいずれか)を卒業し、3年以上水道施設工事の実務経験のある場合
  2. 工業高校で指定された学科(土木工学・建築学・機械工学・都市工学・衛生工学のいずれか)を卒業し、5年以上水道施設工事の実務経験のある場合
    ※ただし、学科の名称が上記と異なる場合でも、履修内容によっては専任技術士の要件を満たしたことになります。

実務経験のみで申請する場合

資格や学歴が要件を満たしていなくても、十分な実務経験がある場合には水道施設工事の専任技術者になることが可能です。
その場合の要件は次の通りです。

  1. 水道施設工事について10年以上の実務経験がある場合
  2. 水道施設工事の実務経験が8年以上あり、かつ、水道施設工事以外の業種(土木一式工事など)での実務経験が12年以上ある場合、要件緩和措置が適用される

【特定建設業】水道施設工事の専任技術者になるには?

建設業許可には、一般建設業許可特定建設業許可があります。
両者の違いは、元請け会社として工事を請け負った際に下請業者に発注できる金額の上限です。

一般建設業許可の場合は、下請代金の合計額が4,000万円未満(建築一式工事は6,000万円未満)という上限がありますが、特定建設業許可であれば制限は一切ありません。
特定建設業における専任技術者になるためには、次の要件の少なくとも一つを満たしていなければなりません。

資格で申請する場合

専任技術者になるための一つの方法は、指定された国家資格等を取得するというものです。
特定建設業における専任技術者になるために必要な資格は次の通りです。

  1. 一級土木施工管理技士
  2. 技術士 上下水道部門・総合技術監理部門(上下水道)
  3. 技術士 上下水道部門「上水道および工業用水道」・総合技術監理部門
    (上下水道「上水道および工業用水道」)
  4. 技術士 衛生工学部門「水質管理」・総合技術監理部門(衛生工学「水質管理」)
  5. 技術士 衛生工学部門「廃棄物管理」・総合技術監理部門(衛生工学「廃棄物管理」)

指導監督的実務経験で申請する場合

一般建設業の専任技術者の要件を満たしたうえで、元請けとして4,500万円以上の水道施設工事について2年以上の指導監督的な実務経験がある必要があります。

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まとめ

ここまで、水道施設工事について詳しく見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
人間が安全で快適な生活を送るためには上下水道の設備が不可欠ですが、そのシステムの根幹をなすさまざまな水道施設の設置工事に携わる非常に重要な仕事であるということがわかっていただけたと思います。
また、水道施設工事の建設業許可を取得するためには専任技術者になることが必要です。
専任技術者になるためには国家資格や学歴が必要な場合もありますが、実務経験だけOKなケースもあるので、キャリアアップを目指すなら専任技術者を目指してみてはいかがでしょうか。

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