工事請負契約書とは、建設工事の発注書と請負者の間で結ぶ契約書です。
工事請負契約書には、印紙を貼付し消印を押して、税金を納める必要があります。
印紙はどこで手に入り、印紙代はだれが負担するのでしょうか。
印紙税は節約できるのでしょうか。
この記事では、印紙に関する基本的なルールと印紙税のお得な情報をご案内します。
工事請負契約書とは
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まず、工事請負契約書とは何でしょうか。
工事請負契約書は、建設工事の前に発注者と請負者が交わす、工事の内容などを明記した書面です。
両者で公平な内容で契約し、トラブルを防ぐために結びます。
この書面による契約締結は、建設業法第18条で義務づけられています。
契約書は、建設許可の有無や工事の規模などに依らず必要で、締結後は双方が1通ずつ保管します。
工事請負契約書を結ばなかった場合は、法律違反で行政処分をうける恐れがありますので注意しましょう。
【建設業】建設業法とは?基本内容をわかりやすく解説!契約書に印紙は必要
上記の工事請負契約書は、印紙税法の課税文書に該当します。
すなわち、工事請負契約書を作成する際に納税が必要となります。
その税金は印紙税と呼び、契約書に収入印紙を貼付して消印を押すことで納めることができます。
工事請負契約書の場合は、国に税金を納めるので収入印紙が必要です。
地方公共団体に納税する証票である「収入証紙」と間違えないようにしましょう。
印紙税は、契約金額によって定められています。
契約金額が1万円以上の工事の請負契約書には印紙税が必要になります。
契約金ごとの具体的な印紙税は、終章でご紹介します。
印紙がないとどうなる?
もし契約金額が1万円以上のとき、印紙なし工事請負契約書を交わすとどうなるのでしょうか。
その場合、工事請負契約書の内容が適切であれば契約自体は有効となります。
しかし、納税違反となり、過怠税を課されます。
税務調査によって発覚した場合は、本来納税すべき金額の3倍を支払うことになります。
なお、印紙を貼付していても消印がなければ未納となり、ペナルティが課されます。 注意しましょう。
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印紙の基本ルール
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上記で、工事請負契約書は、収入印紙によって税金を納める文書であると述べました。
では、その印紙税はだれが負担するのでしょうか。
また、印紙はどこで入手し、どのように添付するのでしょうか。
基本ルールを説明します。
印紙税の負担者
印紙税の負担者は、一般的には文書の作成者側です。
しかし、工事請負契約書のように双方が共同で作成する文書の場合は連帯して負担します。
工事請負契約書は互いに1通ずつ保管することが多いため、1通分ずつ負担することがあります。
印紙税の負担について、工事請負契約書内で取り決めしておくとよいでしょう。
印紙の入手方法
印紙は郵便局や役所、法務局、コンビニ、など様々な場所で入手が可能です。
郵便局や役所などは平日営業の場合が多いため、事前に購入できる日時を確認しておきましょう。
窓口や自動券売機で購入が可能です。
郵便局などの営業時間外は、コンビニを利用するのが便利です。
窓口で購入しましょう。
印紙の貼り方
入手した印紙は工事請負契約書ぼどこに貼ればいいのでしょうか。
法律上の決まりはありませんが、見やすい場所に添付しましょう。
印紙の貼付後は、必ず消印を押しましょう。
消印は代表者や作成者の印鑑です。
再利用を防止するために押印が必要です。
添付漏れや消印漏れは、上記で述べたように、納税違反としてペナルティが課される場合があります。
漏れがないか注意しましょう。
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印紙税のお得な情報
![](https://aippearcloud.com/wp-content/uploads/2023/06/03revenuestamp_construction_contract.jpg)
工事請負契約書の場合、1万円以上の契約金で印紙税が発生します。
この印紙税は、発注者と請負者が1通分ずつ負担することが多いです。
では、 印紙税を抑える方法はないのでしょうか。
印紙税の軽減措置
税特別措置法の改正によって、建設工事の請負契約書には、印紙税の軽減措置が取られています。
すなわち、印紙税法で規定されている金額よりも印紙税が安く済ませることができます。
対象は、2022年4月1日から2024年3月31日までに作成され、契約金額が100万円を超える建設工事の契約書です。
なお、この軽減措置は、建設工事の請負に係る契約(建設業法第2条第1項の規定に基づく)を対象としているため、 工事金額の変更契約書や、工事の追加契約書も印紙税を抑えることができます。
軽減措置期間の具体的な税率は、次の表のとおりです。
印紙税を抑える方法
工事請負契約書の軽減措置を踏まえて、印紙税を抑える方法が2つあります。
ひとつは、契約金額を消費税と分けて税別で記載する方法です。
この方法で、印紙税の対象金額は、税抜きの契約金額になり、節税が可能です。
もうひとつは、建設工事の請負契約書のなかに、建設工事ではない工事も併記する方法です。
軽減措置は、建設工事の契約がベースであれば適用されるため、
たとえば、建物を設計したり、家具を製作・修理したりような建設工事ではない工事を併記することで印紙税を抑えることができます。
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まとめ
契約金額が1万円以上の場合、工事請負契約書は印紙による納税が必要です。
その印紙税は双方が負担します。
印紙はコンビニエンスストアや郵便局で手軽に入手できます。
貼付漏れや消印漏れは、ペナルティが課される場合があるため注意しましょう。
建設工事の請負契約書は、契約金額が100万超かつ2022年4月1日から2024年3月31日までに作成されたものであれば、印紙税を軽減できます。
その他、合計金額を税別標記にしたり、建設工事にあたらない工事も併記したりすることで、印紙税を抑えることも可能です。
工事請負契約書の印紙について理解を深めることで、適切に手続きしましょう。