見積書は、工事などが始まる前にあらかじめどのくらいの値段が必要なのかを相手に知らせる書類です。
当然ながら工事の進行が予定通りに進むとは限りません。
時には当初の見積書通りに工事が進まず、見積書を作り直さざるを得ないことがあるでしょう。
どんな時に見積書を再提出するべきなのかをあらかじめ学んでおけば、とっさの事態にも対応できるようになります。
今回はそれぞれのケースについて解説していきましょう。
見積書の再提出が求められる要因と対策
見積書の再提出といっても、工事の種類によって起きるパターンはまちまちです。
また、工事の進行自体には問題がなくても、見積書を作成する過程でそもそもミスしていたというケースも考えられます。
ここからは、さまざまな要因を紹介したうえで、どう対策したらこうした事態を防げるのかを見ていきましょう。
施行内容の変更
当初はこの内容で施工するつもりだったのに、予定が変わって余計に施工する部分が増えたという例は多々あります。
特に、依頼側の要望で急遽工事内容が変更になったという事例は珍しくありません。
当然ながらこうした事態が起こると、当初の見積書通りに工事を進めるのは不可能になります。
変更点に合わせて見積書を再提出しなければいけません。
対策
施工内容の変更は、建築業界においては日常茶飯事です。
業者の中には仕方ないと割り切ったうえで、対策する必要をそもそも感じていないという人も少なくありません。
とはいえ、中にはこうした変更を防げる事例もあります。
特に業者とのコミュニケーション不足によって事前に伝えられるべきことが伝わってなかった結果、施工内容が変更されたというケースは多いです。
そのため、見積書を出す前に相手側の担当者と綿密な打ち合わせを行ったうえで、相互理解を深めればこうした事態は予防できるでしょう。
資材価格の変動
工事で利用される資材の価格は一定ではありません。
たとえば、木材などは外国から輸入されるものも多いので、現地の供給体制や為替の変動によって価格が大きく上下動することがあります。
もちろん、最初は高かったはずの資材が価格が変わって安く済んだというのなら歓迎です。
一方で、安く済むはずだった資材が高くなったことによって、依頼側とトラブルが起きたということも珍しくありません。
対策
資材価格の変更は時に突然起こり得るものです。
それらをすべて予測するのは大変なので、対策するのは難しいでしょう。
もっとも、資材を送ってもらう現地のニュースなどをその都度チェックしておけば、決して対策できないというものでもありません。
たとえば、現地で木材の価格が高騰しているというニュースをキャッチしておけば、見積書に滞りなく反映させることができるでしょう。
見積書の明細が不透明
見積書は時に専門的な用語を記載することがあります。
普段当たり前に使っている言葉でも、依頼相手によってはわからない用語を見積書に書いてしまうケースもあるでしょう。
ここの言葉がよくわからないので見積書をもう一度作ってほしい、と求められることも少なくありません。
対策
よほどアバウトに明細を作ってしまったケースでは、見積書を作り直さざるを得ないでしょう。
とはいえ、中にはわざわざ再提出しなくても口頭で済ませられるケースもあります。
この言葉はこういう意味です、と相手に伝えるだけで納得してもらえる場合もあるので、状況に応じて柔軟に交渉するようにしましょう。
利益が不透明
見積書を出す前の交渉の過程では、相手もできるだけ安く工事を行いたいと考えるものです。
相手側の要望に合わせようと見積書を出した結果、本当に利益が出るのかわからないような書類ができてしまったということは十分にあり得ます。
実際に相手側に見積書を持っていった後で見直してみて、これで本当に利益が出るのだろうか、と不安になる例は少なくありません。
対策
工事を行ううえで相手側の言い分を聞くのは当然のことですが、自社の利益もないがしろにしてはいけません。
聞くべきところは聞きつつ、ここだけは譲れない点があると毅然とした態度で交渉すれば、利益を出せるような見積書を作りやすくなるでしょう。
計算間違い
最もやってはいけないのがこの計算間違いです。
たとえば、100万円で済むはずの工事を200万円で見積書を出してしまった、となったら相手側の不信感を助長しかねません。
対策
計算間違いはヒューマンエラーによって起こるものです。
本当はこう計算するはずだったのに、間違ってこう計算したというミス自体は一人では防ぎようがありません。
そのため、一度作った見積書は一人だけで確認するのではなく、複数人でチェックしたほうが良いでしょう。
そうすればミスを消しやすくなります。
宛名などの記載ミス
計算間違いだけでなく、相手方の機嫌を損ねるようなミスはくれぐれも避けたいところです。
特に見積書を作る過程で相手方の会社の名前を間違えたら、心証は悪くなってしまうでしょう。
対策
名前を間違えるというのは初歩的なミスですが、意外とやってしまいがちです。
これに関してもチェック体制を整えたうえで、間違いがないか何重にも確認するようにしましょう。
見積書に関する記事はこちら
見積書を訂正する際の謝罪メールの書き方
見積書を作り直す場合、ただ単に新しい見積書を提出すればそれで済むというものでもありません。
仮にそんな風な対応をされたら、ぶっきらぼうな会社だという悪印象を与えてしまいかねないでしょう。
そのため、再提出する見積書に添えて謝罪メールなどを送っておくと、相手との関係がこじれなくなります。
ここからは、その謝罪メールをどのように書けば良いかについて見ていきましょう。
記載ミスをした場合
まずは見積書の記載ミスをしたケースを見ていきましょう。
相手方に謝罪するのはもちろんですが、それだけでは足りません。
今回の事態を踏まえたうえで、今後こういったミスが起きないようにどう対応するかを書くことで誠意が相手に伝わります。
文例
株式会社 ○○
××様
△△社の□□です。
この度は見積書の宛名を誤ってしまい、大変申し訳ありませんでした。
このようなミスが起きてしまった理由は、ひとえに私の注意不足です。
今後見積書を作る際は私一人だけで内容を確認するのではなく、同僚や上司に内容をチェックしてもらったうえでミスをなくすよう努力して参ります。
繰り返しになりますが、この度は不快な思いを抱かせてしまい申し訳ありませんでした。
内容の確認が不足していた場合
内容の誤りによって見積書を再提出することもよく起こります。
こういったケースでは言い訳をするのではなく、確認の不足を素直に認めましょう。
文例
○○ 株式会社
ご担当者 様
先日お送りした見積書の件に関して、訂正すべきところがありました。
見積書には10万円と表記していますが、正しくは20万円です。
本来なら一度計算ミスがないかどうかをチェックすべきところを、確認を怠った私の注意不足によるものです。
そのため、間違っていた箇所を訂正した見積書を御社に新たにお送りいたしましたのでご確認ください。
今後はこうした事態が起こらないよう複数回確認するよう努めていきます。
見積書のメールに関する記事はこちら
見積書作成には『建築業向け管理システム アイピア』
まとめ
ミスが起こると人はパニックになってしまいがちです。
見積書の再提出の場合、すぐに相手に訂正箇所を伝えようと焦ってしまった結果、ミスを重ねてしまうという可能性もあるでしょう。
そうなってしまったら、この人は信用できないなと火に油を注いでしまいかねません。
パニックが起きないようにするためには、事前に想定問答を行っておくと良いでしょう。
もしミスが起きてしまったらどうすべきなのか、どういった形でミスは起こるのか、といったことを確認しておけば、スムーズに自分の誤りを正すことができます。
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