請負金額が高く大規模な工事を行う建築現場で欠かせない存在となっている監理技術者をご存知でしょうか。
監理技術者は、工事現場を指導・管理するエキスパートとなっており、重要な責務を担う建築のプロと言えます。
ここでは、監理技術者の役割や資格取得を目指すメリットについて解説しますので参考にしてください。
目次
監理技術者の役割とは
建設業法第26条第2項により発注者から建設工事の依頼を請け負った特定建設業者は、条件に合わせて監督技術者を配置しなければいけないといった規定があります。
監理技術者は、建設工事現場に欠かせない存在です。
建築工事に関する専門的な知識や経験を活かして工事の施工管理に携わっています。
資格試験や実務経験を積むことで、監理技術者として活躍することも可能です。
現在、若手の資格保有者も増えており、今後も需要は高まると予想されます。
ここからは、監理技術者の役割と業務内容について詳しく解説していきますので確認していきましょう。
監理技術者の役割と業務内容
監理技術者とは、施工計画を立てるほか、工程や品質管理を行うなど工事の施工に関し重要な役割を担う人物を指します。
また、技術上の管理を求められることも多く、工事の施工に従事する者に指導・監督する責務もあります。
公共工事・民事工事のほか、個人住宅の工事を除く多くの工事の責任者として従事しており、指導や監督するなど代表的な責任を負うため専門的な知識や経験が求められることも少なくありません。
請負金額が4,000万円以上の工事現場には、必ず監理技術者を一名配置しなければいけないといった配置基準が設けられています。
監理技術者の配置基準により、資格を保有した監理技術者がいなければ大規模工事を行う際に請け負うことはできません。
そのため、大手ゼネコンでも監理技術者の確保に力を入れており、人材獲得に向けて多くの求人情報を発信しています。
主任技術者との違い
監督技術者が総合的な施工管理や指導を行うのに対し、主任技術者は工事が問題なく進むように施行者に向けて指導・監督を行います。
監督技術者との大きな違いは、請け負う工事の規模の大きさです。
監督技術責任者は、請負代金総額が4,000万円以上(建築一式工事は6,000万円以上)となっていますが、主任技術者は請負金額が3,500万円以上(建築一式工事は7,500万円以上)と請負金額に差があるのも特徴です。
また、工事現場に監督技術者を配置すれば主任技術者を置く必要はありません。
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監理技術者が必要な工事現場とは
2020年10月1日に監理技術者の配置基準が見直されました。
新たな監理技術者の配置基準として、特定建築業者が請負代金総額4,000万円以上の工事現場に配置されます。
また、建築一式工事の場合は、請負代金総額が6,000万円となります。
監理技術者は、大規模工事や広範囲にわたる工事現場で配置されるのも特徴です。
監理技術者の専任要件
監理技術者が専任で工事現場に配置される要件として、監理技術者資格者証の交付を受けていることのほかに監理技術講習を修了していることが挙げられます。
工事現場において、監理技術者が施行者に指導・管理を行う際には、資格者証を携帯し、また発注者から請求があった時には提示しなければいけません。
監理技術者になるためには
工事現場のエキスパートである監理技術者になるには、どのような条件を満たせば良いのでしょうか。
ここからは、監理技術者を目指す方のために資格取得の条件や必要な経験について詳しく説明します。
監理技術者の資格要件
監理技術者になるには、7業種に当てはまる指定建築業において一級国家資格などの保有が必要です。
指定建築業に当てはまるのは、土木工事業、建築工事業、電気工事業のほか、管工事業、鋼工事業、舗装工事業、造園工事業の7つです。
また、実務経験を積んだ後に資格取得を目指すこともできます。
実際に工事に従事し、技術者として活躍した経験があるという点のほかにも、経験者の補助に携わるなど施工監理経験があれば資格取得を目指せます。
たとえば、大学や短大を卒業した方の場合、卒業後実務経験が3年または2年以上の指導監督的実務経験があれば取得条件を満たせます。
このほかにも、高校を卒業した方の場合、卒業後実務経験が5年または2年以上の指導監督的実務経験を満たしていることが条件です。
指導監督的実務経験とは、実際に工事現場で技術的な指導を行っていることを指します。
たとえば、工事業者の監督に携わるといったケースでも指導監督的実務経験に満たされます。
監理技術者証の交付
監理技術者証の交付を受けるには、一級国家資格などなどを保有するほか、一定の要件を満たし実務経験を積まなければいけません。
これらの要件を満たしていれば、監督技術者講習を修了していなくても監督技術者証の交付を受けることができます。
監理技術者証の交付手続きは、一般財団法人建設業者技術者センターで受け付けています。
まずは、申請区分を確認し手続きを行いましょう。
申請手続きは、一般財団法人建設業者技術者センターの支部窓口で受け付けているほか、インターネットや郵送でも申し込み可能です。
手続きを行った後に不備がない場合には、申し込み方法によって交付までの期間には違いがありますが、早ければ10日ほどで監理技術者証が簡易書留郵便で送付されます。
監理技術者講習の修了
監理技術者になるには、監理技術者講習を受講しなければいけません。
国土交通大臣の登録を受けて講習を実施しており、建築工事に関する法律の知識を身につけるだけでなく施工計画の作成や工程管理について知識を得ることができます。
さらに建設工事に関わる材料や資機材のほか、施工方法について講習を受けることも求められます。
監理技術者の収入
監理技術者の平均年収は約550万円です。
他業種の平均年収と比較しても高い傾向にあります。
また、派遣社員として勤務した場合、平均時給は約1,900円となっています。
地域を問わず監理技術者の収入は高い傾向にあり、年齢とともに収入アップも期待できるでしょう。
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監理技術者資格を取得するメリット
建築現場において監理技術者の需要が高いです。
監理技術者資格を取得する若手も増えており、今後も活躍の場は広がると予想されます。
ここからは、監理技術者資格を取得するメリットを解説します。
今後資格取得を検討している方はもちろん、興味があるという方もチェックしていきましょう。
昇給が期待できる
監理技術者は、建築業界において需要が高く、活躍の場が広いのもメリットです。
監理技術者の平均年収は約550万円となっていますが、最も高い水準を見てみると800万円を指しています。
監理技術者は、年齢を問わず経験を積むことで昇給が期待できる資格と言えるでしょう。
現在、監理技術者として活躍する人の多くが大手企業の大規模工事の責任者として工事現場の指導・監理にあたっています。
今後も大手企業の大規模工事の責任者として仕事に携わる機会が多いと予想されます。
日本の工事開発も進むと予測されるため、地域や経験によっては大幅な収入アップを実現することも夢ではありません。
転職に有利になる
監理技術者の資格を保有していると転職にも有利です。
請負金額が4,000万円を超える工事現場には監理技術者を配置しなければいけないため、工事開発が進んでいる現在、就職先に困ることはないと考えられます。
たとえば、総合建設業であるゼネコンへの転職も夢ではありません。
近年、ゼネコンが請け負う工事は請負金額が高いものが多く、監理技術者の配置が必要となります。
まだまだ監理技術者の資格を保有している人物は少ない傾向にあるため、ゼネコンにおいても多くの監理技術者の確保に力を入れています。
また、独立開業し資格や経験を活かして収入アップを実現する方も少なくありません。
建築業界において監理技術者は、今後も需要が高く希望に添った働き方ができる資格です。
経営事項審査で加点される
経営事前審査が改定され、監理技術者の資格を保有していると6点加算されます。
監理技術者は一級国家資格及び技術者資格としてみなされます。
また、経営事前審査において6点加算される条件として、監理技術者証の交付を受けていることのほかに監理技術者講習を受講してから5年以内であることです。
これらの条件を満たしていれば6点もの高得点が加算されることになるのもメリットです。
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まとめ
今回は、建築現場に欠かせない監理技術者の役割や資格取得の方法、メリットについて解説しました。
大規模工事を請け負うゼネコンも多く、監理技術者の活躍の場は今後も広まると予想されます。
やりがいを感じながら仕事に携われるのはもちろんのこと、収入アップを目指せるのもメリットと言えるでしょう。