工事ごとの費用内訳を把握し、赤字工事を回避するためには工事台帳の作成が欠かせません。
工事台帳は、手書きやエクセルで作成することもありますが、案件ごとに一から作成するのは大変です。
そこで今回は、ソフトを活用して工事台帳を作成するメリットを解説します。
工事台帳作成ソフトの選び方や、種類、おすすめの製品も紹介します。
工事台帳作成ソフトの導入を検討している方は、ぜひ参考にして下さい。
目次
工事台帳とは
工事台帳とは、工事ごとの取引内容を詳細に記載する台帳です。
各工事の原価を集計するため、「工事原価管理台帳」「工事原価台帳」と呼ばれる場合もあります。
未成工事支出金、あるいは完成工事原価を
- 材料費
- 労務費
- 外注費
- 経費
の4項目に分けて記載します。
工事台帳に関する記事はこちら
工事台帳作成の目的
そもそも工事台帳を作成する目的はどこにあるのでしょうか。
以下では、3つの目的を取り上げ、それぞれ解説していきます。
正しい利益管理
工事台帳を作成する目的の一つに、工事の費用を適切に管理することがあります。
工事ごとの収支や利益率を簡単に把握できるので、精度の高い見積りを作成することも可能です。
また、工事台帳をしっかり管理することで、原価予測を適切に行うことができます。
これにより、赤字工事や無理な受注などを回避し、正しい利益管理を実現できます。
経営事項審査
国土交通省は、経営事項審査について以下のように説明しています。
「経営事項審査」とは、公共性のある施設又は工作物に関する建設工事(以下「公共工事」という。)を発注者から直接請け負おうとする建設業者(建設業法第3条第1項の許可を受けた者をいう。)が必ず受けなければならない審査です。
引用元:国土交通省「経営事項審査及び総合評定値の請求について」
公共工事の各発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行うこととされており、当該発注機関は欠格要件に該当しないかどうかを審査したうえで、客観的事項と主観的事項の審査結果を点数化し、順位付け、格付けをしています。
つまり、経営事項審査とは、公共工事を請け負うために建設業者が受けなければならない審査です。
この審査の一部である「客観的事項」には、建設業者の経営状況や経営規模、技術的能力などが含まれています。
工事台帳は、自社の経営状況を示すための資料として提出することができます。
税務調査への対応
工事台帳を作成していれば、税務調査への対応をスムーズに行うことができます。
建設業界は、税務調査が入りやすい業界だといわれます。
工事の費用が高額であったり、売上計上基準が複数あるためです。
税務調査の際に工事台帳を提出する義務はありませんが、工事の費用が適切に管理されていることが分かれば、調査官の心証が良くなるでしょう。
原価管理に関する記事はこちら
工事台帳作成ソフト導入のメリット
工事台帳の概要や作成目的について確認してきました。
工事台帳は手書きやエクセルで作成することもできますが、手間や時間がかかります。
正確かつ迅速に工事台帳を作成したい場合、工事台帳作成ソフトの導入をおすすめします。
以下では、工事台帳作成ソフトを導入する具体的なメリットを紹介します。
ミスの減少・属人化回避
工事台帳作成ソフトは、あらかじめフォーマットが決まっており、入力する項目が限られています。
手書きやエクセルで作成する場合に比べると、入力項目が少なく、内容も複雑でないため、ミスの発生を抑えることができます。
また、多くのソフトは使用感にこだわって作られており、誰でも簡単に操作することができます。
このため、手書きやエクセルで作成する場合に懸念される属人化を防ぐことができます。
履歴を確認できる
手書きやエクセルで工事台帳を作成する場合、作成履歴を振り返って確認することができません。
しかし、ソフトを利用すれば、誰が編集を加えたのかを確認することができます。
履歴が明らかになることで、ミスや変更が生じた際の確認作業を効率的に行うことができます。
データのバックアップが可能
工事台帳を手書きで作成する場合、破損したり紛失したりすれば一から作り直さなければいけません。
ソフトであれば、バックアップを取っておくことができ、データを紛失した場合でも新しいものをすぐに作成することができます。
また、エクセルの場合、保存や更新の作業が必須です。
そのため、工事台帳をリアルタイムで共有することができません。
ソフトを利用すれば、編集した内容がそのまま反映されるため、最新のデータをリアルタイムで社内に共有することが可能です。
いつでもどこでも使える
クラウド型の工事台帳作成ソフトの場合、インターネット環境下であればいつでもどこでも工事台帳にアクセスすることができます。
工事台帳作成のために会社へ戻る必要はなく、工事現場にいながら編集することができます。
また、クラウド型の場合、パソコンやスマートフォン、タブレットなど様々な端末から利用できます。
そのため、機器が故障した場合でも別の端末を使って工事台帳を作成することができます。
施工管理の効率化に関する記事はこちら
工事台帳作成ソフトの選び方
工事台帳作成ソフト導入のメリットを確認しました。
ソフトの導入を検討しているけれど、種類が豊富なあまりどの製品が自社に合うのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。
以下では、工事台帳作成ソフトを選ぶ際のポイントを4つ紹介します。
ポイント① 工事台帳作成ソフトの種類
工事台帳作成ソフトを導入するにあたって、まず注目したいのがソフトの種類です。
工事台帳作成ソフトには、大きく分けて
- クラウド型
- インストール型
の2種類があります。
それぞれの概要やメリット・デメリットを確認していきましょう。
CASE1
クラウド型
クラウド型のソフトは、インターネットを介してデータを管理します。
そのため、ネット環境下であれば、どこからでも利用することができます。
クラウド型のメリット
- 情報共有をスムーズに行える
- データ紛失のリスクを回避できる
- 外出先でスマートフォン、タブレットからの操作が可能
- 他のシステムと連携できるものもある
クラウド型のソフトの場合、サーバー管理会社がデータを管理します。
データ紛失のリスクは回避できますが、その分毎月の利用料を支払わなければなりません。
コストを抑えたい企業にとっては、デメリットとなるでしょう。
CASE2
インストール型
工事台帳作成ソフトをパソコンにインストールして利用するのが、インストール型のソフトです。
インターネットに接続されていなくても、パソコンさえあればソフトを利用することができます。
インストール型のメリット
- ソフトの処理速度が通信状態に影響されない
- システムのカスタマイズが簡単に行える
- 運用コストを抑えられる
インストール型の場合、ソフトをインストールしているデバイスからしかアクセスできません。
そのため、外出先からスマートフォンなどで操作することが困難です。
また、ソフトがバージョンアップされた場合には対応する必要があり、費用が発生します。
パソコンにデータを保存するため、情報共有にやや時間がかかることもデメリットといえます。
ポイント② 操作感
工事台帳作成ソフトを導入する際、気を付けたいのがのソフト操作感です。
せっかく導入しても使いこなせなければ意味がありません。
誰でも簡単に操作できる、あるいは、サポート体制が充実している製品を選ぶと良いでしょう。
ポイント③ 経営事項審査に提出できるか
既に確認した通り、工事台帳は経営事項審査を受ける際に提出できる書類です。
そのまま審査に利用できる工事台帳を作成できるソフトを選ぶようにしましょう。
工事台帳作成ソフトのなかには、工事台帳に近い書式をしていても審査用としては不十分であるものしか作成できない製品
もあります。
経営事項審査提出用の工事台帳を作成する場合、特に労務費(人件費)の管理方法が重要です。
ソフトを導入する際には、審査に活用できる工事台帳を作成できるのかどうか、しっかり確認しましょう。
ポイント④ 他ソフトとの連携は可能か
工事台帳ソフトを導入する際、他のソフトやシステムとの連携が可能かどうか確認する必要があります。
別のソフトを既に利用していたり、これから導入しようとしている場合、特に注意が必要です。
データ移行が可能かどうかなど、ソフト間の連携の可能性を確認しておくことで、さらなる業務効率化を実現できます。
工事台帳作成なら 管理システム『アイピア』
工事台帳ソフトの概要や選び方を確認してきました。
以下では、おすすめの工事台帳ソフト・システムを紹介します。
導入を検討されている方は、是非参考にしてみて下さい。
ひとつ目に紹介するのは、建築・リフォーム業向けの管理システム『アイピア』です。
アイピアは、工事台帳の作成はもちろん、顧客管理や原価管理、見積管理など建築・リフォーム業で必要な業務を一元で管理することができます。
提供形態 | クラウド |
---|---|
参考価格 | 下表の通り |
体験版 | 無料デモあり |
アイピアのプラン別費用は以下の通りです。
最低月額利用料は5ユーザーまでの料金です。
プラン | 初期導入費用 | 最低月額利用料 |
---|---|---|
ライトプラン | 120,000円 | 10,000円 | ベーシックプラン | 420,000円 | 20,000円 | プロフェッショナルプラン | 520,000円 | 30,000円 |
アイピアでの工事台帳作成について詳しくみていきましょう。
STEP1 工事案件を登録して進捗管理
アイピアで工事台帳を作成するためには、まず「案件情報」を入力します。
案件情報を入力することで、どの企業からどのような依頼を受けたのか、すぐに確認できます。
発生源や工事種別などの情報を組み合わせることで、売上集計を確認したり、検索に役立てたりすることができます。
STEP2 簡単!原価情報の入力
アイピアは、誰でも簡単に操作ができるよう、画面レイアウトやボタン配置を工夫しています。
使わない機能を非表示にすることができるため、余計な情報に惑わされることがありません。
過去に入力した情報をコピーしたり、見積情報をインポートすることができるので、原価情報をスムーズに作成できます。
STEP3 入力された情報から工事台帳を自動生成
入力された原価や経費の情報をもとに、工事台帳が自動生成されます。
そのため、工事台帳を作成する際の情報の転記ミスや入力ミスを回避することができます。
工事台帳のレイアウトはあらかじめアイピアに搭載されていますが、オリジナルの工事台帳作成にも対応しています。
自社に合った工事台帳を作成することが可能です。
また、アイピアの工事台帳は、売上原理や粗利、粗利率に加えて、労務費を差し引いた営業利益に近い金額を算出することもできます。
さらに、以上の情報を現場ごとに算出することができるため、改善が必要な現場が明らかになります。
その他の機能
アイピアは、工事台帳作成以外にも、さまざまな機能が搭載されています。
アイピアの機能
- 顧客管理
- 見積作成
- 営業進捗管理
- 原価発注管理
- 請求管理
- 入金管理
- 工程管理
- 現場日報管理
- 物件管理
- 設備管理
バージョンアップでは、ユーザーの要望をもとに、機能の追加や修正を行っています。
サポート体制が充実しているのもアイピアの特徴です。
その他おすすめ工事台帳作成ソフト【比較表あり】
建築・リフォーム業向け管理システム『アイピア』の特徴を確認しました。
以下では、その他工事台帳を作成できるソフト・システムを紹介します。
らくらく!工事台帳作成システム Web版
『らくらく!工事台帳作成システム Web版』は、クラウド型の工事台帳作成システムです。
工事管理、仕入・支払管理、請求・入金管理が可能です。
特徴
- 15種類の管理帳票を搭載
- シンプルな入力画面で操作が簡単
- 消費税率は自由に変更可能
- PDFファイルでの出力ができる
- 安心のサポート体制
提供形態 | クラウド |
---|---|
参考価格 | 1ユーザー:90,000円 3ユーザー:90,000円 5ユーザー:110,000円 10ユーザー:110,000円 (契約日数360日) |
体験版 | 14日間無料体験あり |
uconnect
『uconnect』は、クラウド型の粗利管理ソフトです。
売上と原価を登録すると、工事台帳が自動で作成されます。
特徴
- 実行予算残を毎月自動で集計
- 会計ソフトへの連携も可能
- 安心のセキュリティ管理
- 各種業種向けにカスタマイズして提供
提供形態 | クラウド |
---|---|
参考価格 | 1ユーザー:6,600円 3ユーザー:8,800円 5ユーザー:11,000円 10ユーザー:16,500円 |
体験版 | 30日間無料体験あり |
JSI工事台帳 lite
『JSI工事台帳 lite』は、『弥生会計』と連動可能な工事台帳作成システムです。
ソフトをPCへインストールし、データはクラウド上で管理するインストールクラウド形式を採用しています。
特徴
- 『弥生会計』からデータを簡単取り込み
- シンプルな操作画面
- 請求入金・科目別集計表・工事経歴書などの機能を搭載
- エクセルへの出力が可能
提供形態 | インストールクラウド |
---|---|
参考価格 | 15,000円(年額) |
体験版 | ― |
使えるくらうど工事台帳V3
『使えるくらうど工事台帳V3』は、クラウド型の管理システムです。
工事台帳作成に加え、日報管理や原価管理、労務管理等の機能も搭載されています。
特徴
- 各帳票に合わせた詳細な条件設定が可能
- 一度の原価入力で各種帳票を出力できる
- わかりやすい操作方法
- スケジュール機能やワークフロー機能を搭載
提供形態 | クラウド |
---|---|
参考価格 | お問い合わせ |
体験版 | ― |
JDL IBEX 原価管理・工事台帳
『JDL IBEX 原価管理・工事台帳』は、インストール型の原価管理ソフトです。
建設業のほか、製造業やサービス業など幅広い業種で利用することができます。
特徴
- 『JDL IBEX出納帳』『JDL IBEX会計』などに連動可能
- 工事台帳をはじめ様々な管理資料を作成できる
- シンプルなデータ入力画面
- インターネットを通じて顧問会計事務所と連携できる
提供形態 | インストール |
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参考価格 | 41,800円(税込) |
体験版 | ― |
まとめ
工事台帳は工事ごとの費用内訳を把握し、赤字工事を回避するために欠かせません。
しかし、案件ごとに一から作成するのは大変手間がかかります。
工事台帳作成ソフトを導入することで、より正確な工事台帳を簡単に作成することができます。
工事台帳作成ソフトやシステムの導入を検討する際は、ソフトの機能や操作感、他のソフトとの連携可能性などを考慮し、自社に合った製品を選ぶようにしましょう。
工事台帳の作成をはじめ、工事に関する業務を一元で管理したいという方は、弊社の提供する建築業向け管理システム『アイピア』をぜひご検討ください。
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原価管理に関する記事
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