発注した商品が納品される際に、必ずと言っていいほど納品書が発行されます。
普段よく目にする書類ですが、その役割や具体的な書き方を把握していない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、納品書について請求書との違いや、詳しい書き方、発行の際のポイントなどについてご紹介していきます。
納品書とは
納品書とは、納品する商品やサービスの内容が記載された書類であり、納品時に受注側によって発行されます。
ここでは、納品書について、その役割や請求書との違いについてご説明していきます。
納品書の役割
納品書の役割は、主に「納品物の確認」、「信頼関係の構築」、「円滑な取引」の3点に分けることができます。
以下で、それぞれの役割について詳しく解説していきます。
発注内容・納品物の確認
まず一つ目の役割は、発注した内容や納品された商品の確認です。
納品書には納品された商品やサービスの情報が記載されているため、納品書を確認すれば届いたものの内容を正確に把握できます。
納品書を発行する側も、これをもとに納品する商品の確認ができるため、ミスを防ぐことに繋がります。
顧客との信頼関係
納品書は、取引先との信頼関係を構築する役割も担っています。
注文が口頭でなされた場合や、納品までの期間が長期にわたる場合には、発注者が注文の詳細な内容を覚えていないこともあります。
どのような商品をどれだけの数量注文したか、納品書があることによってきちんと確認することができます。
納品書により注文内容を伝えることによって、顧客に安心感を与えることができます。
円滑な取引
スムーズな取引を行うためにも、納品書は必要とされています。
先述の通り、納品書には納品された商品の内容が記載されています。
ですので、商品を受け取った発注者が行う確認作業は、納品書と商品を照らし合わせるだけで済み、いちいち受注先と確認のやり取りをする必要もなくなります。
また、納品書により契約が遵守されているか確認でき、それを証明することも可能なため、トラブルの防止にも役立ちます。
請求書との違い
納品書と混同しやすいものに請求書があります。
請求書とは、納品された商品の代金の支払いを催促する書類です。
納品書が納品された商品・サービスの内容を確認するための書類であるのに対し、請求書は納品物の代金の支払先や支払期日を記載し支払いを促すための書類であるため、それぞれ担う役割が異なっています。
また書類が発行されるタイミングもそれぞれ異なっています。
納品書は商品の納品の際に発行されますが、請求書は月末などの締め日に応じて発行される場合が多いです。
ちなみに、請求書が送付されないと取引先は基本的に支払いをすることができないため、請求書の送付は確実に行いましょう。
請求書に関する記事はこちら
納品書の書き方
ここからは、納品書の書き方について、記入例をもとに具体的にご説明していきます。
作成のポイントもご紹介しているので、こちらも併せて納品書作成の際の参考にしてみてください。
必要項目
以下は記入必須の項目です。
記入漏れがないよう、注意しながら記載していきましょう。
- タイトル
「納品書」と記入します。
基本的には、上部中央に記載されます。 - 取引先
送付先である取引先の情報を記入します。
取引先名(顧客名)や、必要であれば担当部署、担当者名も記載します。
ここでは敬称を忘れないように注意します。 - 納品番号・発行日
納品番号は必須ではありませんが、自社で納品書を管理する場合にはあると便利です。
発行日はいつ行われた取引かすぐ分かるようにするためにもきちんと記入します。 - 件名
どのような工事か、工事に関する内容を記入します。
- 自社名
発行元である自社の名前を記載します。
必要に応じて住所や電話番号、メールアドレスや担当者名も記載しましょう。 - 納期・支払条件
契約の際に取り決められた納期と支払条件を記載します。
- 合計金額
ここには納品書全体の合計金額を記入します。
消費税も含めるようにします。 - 商品情報
項目名は何の商品か取引先が分かりやすいようにするために、品名を記入します。
項目ごとに数量と単価、その合計金額も記入します。
数量の記載が難しい際は、「ー式」と記載しましょう。 - 備考
例えば取引の締め日であったり、振込手数料に関する情報や確認の連絡先など、必須ではないものの、あると親切な情報を記載します。
作成の際のポイント
納品書には法的な発行義務がないため、基本的に自由に作成することができますが、いくつかポイントを押さえて作成することによって、より分かりやすい納品書ができます。
以下では、フォーマットと押印の2点に関してご説明します。
フォーマットを統一する
納品書には決まったフォーマット(形式)はありません。
しかし、納品書のフォーマットは社内で統一させておくことが望ましいです。
なぜなら、形式が頻繁に変更されたり、部署や担当者によってフォーマットがバラバラだと、内容の確認が難しくなってしまうからです。
取引先が確認しやすいようにするためにも、フォーマットは統一させておくと良いでしょう。
また、発行者側にとっても書式が統一されていないことによって、記入漏れなどの人為的ミスが起こりやすくなるため、生産性の向上のためにも納品書のフォーマットは統一させておきましょう。
押印は必要か
上述のように、納品書には法的な発行義務や決まったフォーマットはありません。
そのため、納品書への押印も法的に必須であると定められてはいませんが、押印されるのが一般的です。
無くても問題はないですが、偽造や改ざん防止のためにも必要であるとされています。
加えて建築業においては、工事の規模によっては扱う金額も大きくなるため、信用性を高めるためにも押印は必要とされるでしょう。
基本的には角印が捺されますが、決まった規定がないため、社内で統一しておくか、取引先に事前に確認をとるのが望ましいです。
見積書の押印に関する記事はこちら
作成方法
納品書の作成では、手書きやワード、エクセルなど、さまざまなツールが用いられます。
ここでは、エクセルとシステムを用いた納品書作成に焦点を当てて、解説していきます。
エクセル
エクセルでは、手書きやワードとは違い、計算式を使用することができるため、比較的簡単に納品書の作成ができます。
エクセルを使用したことがあれば、誰でもすぐに作成できることも利点です。
また、無料のエクセルテンプレートが多くのサイトで配布されており、それを利用することによって分かりやすく綺麗な納品書が簡単に作成できます。
弊社でも無料の納品書エクセルテンプレートを作成しておりますので、ぜひ下記のリンクからダウンロードしてみてください。
建築業界(リフォーム・工務店向け)の納品書エクセルテンプレート集システム
管理システムを用いることによって、簡単に納品書が発行できます。
必要な情報をあらかじめ入力しておけば、ワンクリックで書類の作成が可能です。
加えて、一元管理できるシステムであれば、入力された情報をもとに見積書から請求書まで自動的に作成することができます。
エクセルよりも導入コストが高く、ランニングコストも場合によっては高くつくことがありますが、書類作成の時間を短縮できるため、業務の大幅な効率化が期待できます。
注意点
納品書の発行にあたって、留意しておくべき点がいくつかあります。
保管期間と管理方法、見積書との一致について、以下ではご説明していきます。
保管期間
納品書は証憑書類であるため、定められた期間内での保管・保存が義務付けられています。
法人と個人事業主で定められた保存期間は異なっています。
法人の場合には、7年間の保管が義務付けられており、個人事業主の場合には、青色申告、白色申告ともに5年間の保管が定められています。
どちらの場合も長期の保管・保存が必要とされますので、年度ごとにきちんと管理しておくようにしましょう。
国税庁による情報はこちら管理方法
納品書の管理方法には、紙での管理と電子データでの管理の2パターンあります。
納品書を含む帳簿書類は、紙媒体での保管が原則とされています。
しかし、電子帳簿保存法の要件を満たしていれば、帳簿書類を電子データとして保存することが認められています。
さらに、2022年の電子帳簿保存法の改正により要件が緩和され、帳簿書類の電子データ化をしやすい環境が整えられてきています。
【2022年1月施行】緩和?厳格化?電子帳簿保存改正のポイントを解説!見積書と一致させる
納品書を発行する際は、見積書の内容と合致しているかしっかりと確認するようにしましょう。
見積書は、発注者と受注者の双方の合意のもとに金額が取り決められています。
そのため、見積書の内容と納品書の内容に相違があった場合、顧客からの信頼関係に影響を及ぼしかねません。
さらに、契約とは異なる内容で売上計上してしまった場合には、文書偽造罪などに問われかねないため、十分に注意する必要があります。
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まとめ
納品書は必ず発行しなければならない書類ではありません。
しかし、注文された商品が注文通りに納品されているか確認し、円滑な取引を行うための大切な書類でもあります。
トラブルを未然に防ぐ為にも、記入漏れの無い見やすい納品書を作成するようにしましょう。
一元管理システムを利用して納品書を作成すれば、見積書との相違も防ぐことができ、作業効率の向上も期待できます。
一度自社での導入を検討されてはいかがでしょうか。
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