建設リサイクル法では、さまざまなルールが決まっています。
よくわかっていないまま解体を行ってしまうと、ルール違反となり罰則を受けてしまうかもしれないためしっかりと把握しておきましょう。
こちらの記事では、建設リサイクル法とは何か対象となる工事、届け出に必要な書類などを詳しく解説していきます。
目次
建設リサイクル法とは
工事の中でも一定の規模以上の際に、分別解体やリサイクルをするようにと義務付けしているものを建設リサイクル法と言います。
資材が特定建設資材の中に入っている建材を使っている解体工事もしくは新築工事の場合が対象です。
建設リサイクル法の中では誰でも簡単に分別解体などができないように、細かくルールを設けています。
そもそも建設リサイクル法ができたのは理由があります。
産業廃棄物の量が膨大で、処理が全く追いつかない状況です。
さらに、見付からなければ良いと不法投棄している企業もあります。
しっかりと取締り産業廃棄物を減らし不法投棄をなくすために、建設リサイクルはできました。
解体を考えている場合は、土木工事業・建築工事業・解体工事業の建設業許可がなければできません。
さらに、元請けだけが建設業無許可を持っていれば良いのではなく、下請けであっても同じです。
違反した場合の罰則
建設リサイクル法に則って処分ができていれば問題ありませんが、ルールを破ってしまった場合は懲役や罰金があります。
よくわかっていなかったとルールに違反することがあれば、罰せられてしまいます。
ルールを知らなかったでは許されないため、無登録で解体工事はできないなど内容を把握しなければなりません。
建設リサイクル法に関する記事はこちら
建設リサイクル法の対象となる工事
建設リサイクル法の対象となる工事には、いくつかあります。
ここからは、建設リサイクル法の対象となる工事について紹介していきます。
特定建設資材とは
コンクリートやアスファルト、木材などよく建設の資材として主に使われているものが特定建設資材になります。
比較的リサイクルもしやすいため、一定規模以上の建築物の場合ルールに従って分別が必要です。
届け出が必要な工事
届け出が必要な工事は、いくつかあります。
具体的には、建設物の床面積の合計が500平方メートル以上、床面積の合計が80平方メートル以上です。
請負代代金が1億円以上の場合、請負金額500万円以上の工作物に関する工事も対象となります。
ただ、どの場合もコンクリートやアスファルトなど特定建設資材を使った建築物の解体工事、新築工事が対象です。
建設リサイクル法における発注者・受注者の義務
正しく建設リサイクル法に則って処理するために、発注者と受注者それぞれに義務があります。
ここからは、発注者と受注者の具体的な義務について紹介していきます。
発注者の義務
工事を行う予定である一週間前までに、発注者は届け出を出さなければなりません。
ギリギリになってからでは間に合わない可能性もあるため、早めに準備することが重要です。
内容は、分別解体などの計画についてなどを記載します。
受注者の義務
受注を行った元請業者は、発注者に対して計画書の書面を作成して説明を行います。
この時、具体的にわかるように、建築物などの構造から工事着手時期、分別解体などについて詳しく書きます。
さらに、建設リサイクル法に沿って再資源化などが終わったら、いつ完了したのかどの施設に行ったのかなど具体的な内容を発注者に書面で報告が必要です。
建設リサイクル法に沿ってしっかりと再資源化した証拠がないと、不法投棄した可能性も疑われてしまいます。
忘れないように、発注者へ報告します。
双方の義務
発注者と元請業者との間で食い違いがないように、どのように分別するのか、工事や再資源化にかかる費用、どこの施設を利用するのかなどを確認して明記します。
トラブルにならないように事前に確認し合い、適正な費用をお互い負担します。
建設リサイクル法の届け出に必要な書類
建設リサイクル法に必要な届け出はいくつかあります。
しっかりと揃えてから解体や新築工事を行わないと違反です。
ここからは、建設リサイクル法に必要な届け出について詳しく紹介していきます。
建築物の解体工事の場合
建築物の解体工事では、以下の書類が必要になります。
- 建設リサイクル法施行規則第一号様式の届け出
- 分別解体を行う際の計画など
- 発注者に代わって届け出を提出する場合委任状
- 建設業法の許可を受けた書類か解体工事業の登録を受けたとわかる書類の写し
- 付近見取り図
- 詳しい作業内容がわかる工程表
- 対象建築物の写真か図面
建築物の新築・増築、修繕・模様替の場合
建築物の解体工事とほぼ同じような書類が必要です。
- 建設リサイクル法施行規則第一号様式の届け出
- 分別解体を行う際の計画など
- 発注者に代わって届け出を提出する場合委任状
- 建設業の許可が出たとわかる書類の写し
- 付近見取り図
- 詳しい作業内容がわかる工程表
- 対象建築物の各階の平面図か立面図
建築物以外の工作物の新築または解体工事などの場合
建築物の新築・増築、修繕・模様替の場合とほぼ同じ書類が必要です。
- 建設リサイクル法施行規則第一号様式の届け出
- 分別解体を行う際の計画など
- 発注者に代わって届け出を提出する場合委任状
- 建設業の許可が出たとわかる書類の写し
- 付近見取り図
- 詳しい作業内容がわかる工程表
- 対象建築物の解体工事の写真もしくは平面図、立面図
建設リサイクル法の届け出の手順
建設リサイクル法を届ける場合には手順があります。
どのような手順で進んでいくのか、覚えておきましょう。
ステップ1 発注者へ説明する
発注者が理解できるように、詳しい建築物についての説明が必要です。
建築物がどのような構造をしていて、工事はいつかから着手が必要になるのか詳しい日程や概要、計画などを伝えます。
この時、後から見返し、言った言わないなどとならないように、書面の交付が必要です。
ステップ2 契約を締結する
発注者へ詳しい説明をし書面を交付したうえで、お互いに納得できれば契約を締結します。
そのためにも疑問を残さないように、発注者への丁寧な説明は大切です。
契約をする際には、具体的な再資源化をする施設の名称や所在地、費用、解体をどう進めていくのかなど記載しなければなりません。
わかりやすく明確になるように記載します。
ステップ3 現場住所の知事へ届け出る
契約を締結したら、忘れずに発注者か自主施工者が分別解体の計画書を提出します。
期限も1週間前(7日前)と決まっていますので、忘れないように早めに提出することが重要です。
具体的に記載した分別解体の計画書を、工事を行う場所の都道府県知事の元へ届けます。
届け出を提出すれば、すぐに受理されるわけではありません。
記載内容に問題がないかどうか、審査が行われます。
通過すれば工事に着手できますが、もし基準に適合しないと判断されると計画の変更命令が下されます。
その場合は、見直して建設リサイクル法に沿った計画をまた立てなければなりません。
ステップ4 工事関係者へ告知する
提出した届け出にOKが出たら、今度は工事関係者へ告知をします。
協力してくれる下請負業者や下請負人にも、内容を把握してもらうために事項を告知しなければなりません。
工事も技術監査をおき、標識の掲示を行うことも必要です。
ステップ5 完了報告を行う
再資源化を適切に行ったら、具体的にどのように行ったのか発注者に書面で完了したと報告しなければなりません。
実施した内容を記録するだけでなく、何かあった時に見返せるように保存もしておく必要があります。
完了した資料を見て、万が一約束通りに再資源化ができていないとわかったら、知事に申告し措置を求めることもできます。
建設リサイクル法の届け出に関する注意点
建設リサイクル法の届け出にはいくつかの注意点があるので、実際に利用する前に把握としておくと安心です。
ここからは、建設リサイクル法の届け出に関する注意点について、いくつか紹介していきます。
提出期限を確認する
建設リサイクル法の届け出は、着工する日までであればいつまででも良いわけではありません。
発注者か自主施工者が工事に着手する1週間前(7日前)と決まっていますので、うっかり忘れてしまわないように注意が必要です。
工事着手は、準備工や仮設工事も入りますので、早めに決まり次第提出するようにしましょう。
届出書の内容変更は速やかに行う
早めに届け出を出していても、その後内容の変更が起こるかもしれません。
その際には、工事着手前に限り1週間前(7日前)までに変更届と必要添付書類を提出しましょう。
ほかにも、工事をしている最中に当初は計画になかった工事も行う場合なども速やかに変更届を提出します。
アスベストの事前踏査を実施する
体に有害なアスベストが利用されている建築物かどうか、事前に調査する必要があります。
もし含まれている建物の場合、適正な処理をしなければなりません。
万が一石綿が使用されている場合には、届け出に記載する必要があります。
『建設業向け管理システム アイピア』
まとめ
不法投棄や産業廃棄物の多さから、建設リサイクル法ができました。
万が一違反してしまった場合には、罰則があります。
必ず建設リサイクル法について理解したうえで、処理を行わなければなりません。
建設リサイクル法における発注者や受注者の義務も理解したうえで、双方で確認し合いながら進めていきます。
届け出の提出期限は決まっていますので、慌てないように早めに提出できると良いでしょう。