ここ数年でカーボンニュートラルという言葉を聞く機会が増えてきました。
地球環境のために必要なことというのはなんとなくわかる人もいるでしょう。
とはいえ、具体的な中身となるといまいちイメージしづらい方もいるのではないでしょうか。
今回は、カーボンニュートラルの概要と実現に向けた対策について解説していきます。
カーボンニュートラルとは
私たちの社会では、なんらかの製造物ができるたびに二酸化炭素が排出されています。
たとえば、日本では電気を作るために火力発電を行っていますが、発火すれば二酸化炭素が排出されることは言うまでもありません。
これ以外にも、ごみの処理や車からの排気などさまざまな形で二酸化炭素は出続けています。
こうした状況は、地球環境の観点からすると必ずしも良くありません。
そのため、世界ではカーボン(炭素)の排出をニュートラル(ゼロ)にしようということで、カーボンニュートラルをスローガンにしています。
カーボンニュートラルの必要性
先ほど二酸化炭素の排出は地球環境にとって良くないという話をしました。
具体的に言うと、二酸化炭素が空気中に充満によって温暖化が引き起こされた結果、さまざまな環境破壊が起きかねません。
地球全体の気温は200年程前と比べると格段に上がっています。
では、200年前と今とでは何が違うのでしょうか。
答えは二酸化炭素の濃度です。
200年ほど前にヨーロッパでは産業革命が起き、さまざまな国々で工場から二酸化炭素をはじめとしたガスが排気されるようになりました。
その結果、0.03%弱だった二酸化炭素濃度は0.04%まで引き上がりました。
二酸化炭素が増えることが温暖化にどう直接関係するかはまだまだ未知の部分が多いですが、なんらかの一因を担っていることは間違いないでしょう。
だからこそ、世界では>カーボンニュートラルが喫緊の課題となっています。
カーボンニュートラルが注目される背景
二酸化炭素が温暖化の原因ではないかと言われ始めたのはここ数十年のことです。
その間に世界ではさまざまな取り組みが行われてきました。
ここからは、カーボンニュートラルが注目されるに至った歴史を振り返ってみましょう。
CHECK
COP3『京都議定書』
1997年に日本で行われた気候変動枠組条約締約国会議(COP)は、さまざまな意味でエポックメイキングな出来事と言えるでしょう。
それまで世界各国では、温暖化が地球環境に危機をもたらすのではないかと言われていても、重大性は必ずしも認識されていませんでした。
そのため、二酸化炭素の削減が重要であることがわかっていても、各国の義務にはなっていませんでした。
しかし、京都議定書では、この二酸化炭素の削減に関して踏みこんだ決定になります。
具体的にこれくらいの二酸化炭素を削減するべし、という数字目標を定めました。
CHECK
COP21『パリ協定』
京都議定書は画期的な出来事でしたが、一方で不十分と言わざるを得ない内容でした。
なぜならば、数値目標を設定したのは先進国だけに限られていたからです。
成長著しい中国やインドなどにも数値目標を課さないと、地球全体の二酸化炭素の削減は実現できません。
そのため、2015年に開かれたCOP21では途上国にも数値目標を課すことにしました。
これによってカーボンニュートラルが全世界において実現すべき目標となりました。
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カーボンニュートラル実現に向けた日本の取り組み
ここまで、カーボンニュートラルの概要と歴史について見てきました。
当然ながら、日本は京都議定書を出すくらいですから、カーボンニュートラルで世界をリードすべき存在です。
では、日本ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。
地域脱炭素ロードマップ
カーボンニュートラルは日本全体で取り組んでいくべきものです。
そのため、東京や大阪といった都会だけでなく、さまざまな地域で脱炭素を進めるための環境を整えなければいけません。
そのために打ち出されたのがこの地域脱炭素ロードマップです。
全国100ヶ所にカーボンニュートラルを進めるための実験を行う場所を作り、そこで太陽光発電やEVカーなどを普及されることを目標としています。
改正地球温暖化対策推進法
カーボンニュートラルを目指すといっても漠然とした目標を立てるだけではいけません。
地球温暖化はそうしている間に進んでいきますから、いつまでに脱炭素を実現するという具体的なゴールを設ける必要があります。
そのため、政府は2021年に2050年までカーボンニュートラルを実現するという目標を立てました。
これと並行し、企業による二酸化炭素の排出データをオープンデータ化したことも注目に値するでしょう。
一番うまく二酸化炭素の削減に成功している企業のデータをもとに、さまざまな企業が取り組みを真似ていけばカーボンニュートラルへの近道となるはずです。
グリーン成長戦略
二酸化炭素の削減は、一方で産業の鈍化というリスクを抱えています。
地球を守ろうとした結果、人間の暮らしが貧しくなってしまったとなってしまっては意味がありません。
そのため、政府は環境保全と経済成長を並行して実現するためのグリーン成長戦略を打ち出しています。
たとえば、再生可能エネルギーの開発やリサイクル事業を支援することで企業に利益を生み出すことを狙っています。
カーボンニュートラル実現に向けて企業ができること
二酸化炭素がここまで地球に増えた理由としては、企業活動が活発になったことが原因です。
そのため、これからの時代の企業活動は責任を持ってカーボンニュートラルに取り組んでいかなくてはいけません。
では、具体的に企業はどのような対策を採っていけば良いのでしょうか。
温室効果ガス排出量の可視化・削減
我が社は、普段から二酸化炭素削減に取り組んでいると意気込んでいても、具体的な数字を出さなければ効果的ではありません。
計測器などを使って、まずは普段どれだけ温室効果ガスを排出しているかを数値化するようにしましょう。
そうすると、思いのほか排出量が多いと思わぬ結果に気づくかもしれません。
その数字をもとに、どこをどう変えれば排出量を削減できるかを企業利益と天秤にかけながら模索していくようにしましょう。
業務の自動化
近年は、AIの発達に伴って業務の自動化が可能となっています。
自動化は業務の効率化になり、生産性を高めるので企業の利益にもつながりますが、実は結果的に地球環境にも好影響をもたらすものです。
たとえば、製造業などでAIを駆使した機械設備を導入し、より効率的な作業が実現できれば、その分だけ稼働時間は減ります。
その結果、消費されるエネルギーも減るので、最終的にはエコな企業活動を実現できます。
再生可能エネルギーの利用
電力はどんな企業活動にとってもなくてはならないものです。
日頃から使っている電気が、たとえば火力発電のように排気ガスを出し続けているものだとしたら、企業活動をすればするほど地球に悪影響を及ぼしてしまうでしょう。
そのため、太陽光発電や風力発電を中心としたエコなエネルギー使用に転換しなくてはいけません。
また、社用車に関してもガソリンではなく、EVカーに変えることなども対策として挙げられるでしょう。
省エネ設備の導入
企業活動をスムーズに行うためにはさまざまな設備が欠かせません。
しかしながら、エネルギー効率が悪い設備を使い続けていると地球環境には悪影響です。
たとえば、エアコンを新調するだけでも温室効果ガスの排出を削減するのに十分効果をもたらすでしょう。
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まとめ
地球温暖化を食い止めるためには、人間一人ひとりの心がけが大切だとしばしば訴えられます。 これは企業にも当てはまることでしょう。 企業には多くの人が勤めていますから、一つの企業がカーボンニュートラルに取り組めば、その分だけたくさんの人を巻き込むことができます。 地球を住み良い環境に保つための企業活動を実現するようにしましょう。