契約書をはじめ、見積書や請求書などでは代金についての定めを行います。
その際、代金をどのように支払うのか、支払条件をきちんと定めていますか。
支払条件が定まっていないとスムーズな入金に結びつかないなどの問題が生じることがあります。
この記事では、支払条件とはどんなものなのか、書き方や注意点を解説していきます。
支払条件とは
支払条件とは商品やサービスの購入や工事の施工などに伴い、支払う約束をした代金をいつ、どのように支払うかといった条件をあらかじめ示すものです。
支払条件は契約当事者、売主と買主の同意にもとづき定められることもありますが、売主が一方的に定めることも可能です。
支払条件の記載が必要な書類
支払条件の記載が必要な書類としては、見積書や請求書、契約書、納品書、振込依頼書などがあります。
代金の記載や請求額の記載がある場合には、代金の払い手に迷いが生じないよう、支払条件を記載しておくと安心です。
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支払条件の書き方
支払条件の書き方として、支払方法と支払期限は必ず明記します。
支払方法と支払期限の書き方について見ていきましょう。
支払方法
支払方法とは、どのような方法で支払うかを定めるものです。
法人間の契約では銀行振込が多いですが、それ以外にも現金一括払い、現金持参払い、手形や小切手の振出、クレジットカード払い、電子マネーなど幅広い方法が考えられます。
金額の多寡や双方が利用している金融サービスなどに応じて設定しましょう。
支払方法は払い手が選べるようにすることも可能です。
たとえば、現金または銀行振込またはクレジットカード払い、長期契約の場合は口座引き落としなどです。
支払期限
支払期限とは、いつまでに支払うかです。
一般的には、請求書の発行日から2週間~1ヶ月以内の日を定めることが多いです。
請求書類などを受け取ってから、資金の準備をすることや忙しい業務の中で払込手続きなどをしなくてはならないので、ある程度余裕を持って設定するようにします。
もっとも、あまり猶予を与えると、資金繰りが困難になる場合や急激に経営が悪化して倒産してしまい、代金を回収できなくなるリスクもあるので、商慣習などに従いましょう。
長期契約や分割返済の場合は、毎月○日や毎月月末などとします。
支払条件を設定する際の注意点
支払条件を設定する際には支払方法と支払期日のほか、記載すべき事項があります。
以下の項目は、定めた支払方法や支払期日などに応じて、記載が必要となるものです。
支払方法について、さらに条件を細かく定めることや相手が迷わないように注意喚起を施す内容になります。
以下4つの項目について詳しく見ていきましょう。
振込手数料の取り扱いを明記する
支払方法で銀行振込を指定した場合や選べるようにした場合には振込手数料の取り扱いについて明記しましょう。
一般的には、振込手数料は振り込む側の負担とします。
請求側が振込手数料を負担する場合には、その旨を明記します。
振込手数料は金額や払い手が利用する金融機関によっても変わってくるため、いくらと振込手数料額をあらかじめ明示することができません。
そのため、請求側が振込手数料を負担する場合、請求代金から振込手数料分を差し引いて振り込んでもらうように説明することが求められます。
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手形や小切手の現金化は支払日以降
支払方法として手形や小切手を利用する場合には、現金化できるのは支払日以降という注意書きを明記しましょう。
この点、支払日前でも、実際の請求代金より少ない金額で現金化することが可能です。
これを手形割引と言いますが、結果的に本来の請求代金より少ない代金しか得られません。
そこで、公正取引委員会では、元請業者に比べて弱い立場にある下請業者が代金の受取で不利にならないよう、2021年3月にガイドラインを発表しています。 下請代金の支払いはできる限り現金で行うこと、もし手形を利用する場合には手形割引料のコストを受取人が負担することのないよう、双方で下請代金について十分協議すること、支払手形サイトは60日以内とすることです。
これを踏まえ、下請業者が手形割引によって現金を少なくしか受け取れず、資金繰りに困ることや利益を減少させないよう、手形割引は避けたほうが無難です。
そこで、手形や小切手の現金化は支払日以降と明記しましょう。
分割や前金の条件を明記する
分割払を認める場合や前金を受け取っている場合、前金を支払ってほしい際にはその条件について明記しましょう。
分割払や毎月払いの場合、いつどのように支払うかなどです。
たとえば、銀行振込で毎月○日までに払う、口座引き落としで毎月○日に引き落としを行うなどです。
前金は資材購入や労働者の確保、建設工事の着工資金の確保などの目的で先に支払いを受けるものですが、その場合は代金から差し引き、残額を明記したうえでいつどのように払うか定めます。
長期契約の場合の記載方法
長期の契約や継続的な契約の場合は、その支払いをどのように行っていくかも明記しなくてはなりません。
金額が多額になり、一括払いではなく一定期間ごとの出来高払いにする、毎月一定額ずつを払ってもらうなどを、契約当事者間であらかじめ取り決めましょう。
取り決めた内容を支払条件にも明記します。
支払いの方法は毎月○日払い、その都度請求する、口座引き落としなど契約の形態などに応じて定めたうえで明記しましょう。
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まとめ
支払条件とは、請求した金額をいつどのように支払うかといった条件をあらかじめ示すものです。
記載が必要な書類としては、見積書や請求書、契約書などがあります。
書き方として、支払方法と支払期限は必ず明記しましょう。
支払条件を設定する際の注意点として、銀行振込の場合には振込手数料の取り扱いを明記すること、手形や小切手の現金化は支払日以降とすること、分割や前金の支払いが必要となる場合は条件を明記することが必要です。
長期契約の場合には支払形態などについて、双方で取り決めをしたうえで明記しましょう。