建築は長丁場になりやすい仕事です。
建物が完成するまで長い道のりが予想されている中で、ゴールが見えないまま作業するのはなかなか大変でしょう。
そういった時にマイルストーンを設定することが役に立ちます。
このマイルストーンは、どのように工程表に活用していけば良いのでしょうか。
目次
マイルストーンとは
マイルストーンは英語ではmilestoneとつづります。
これは、2つの単語を組み合わせた造語に近い単語です。
stoneは、ご存知の皆さ通り「石」を意味する言葉で、mileはアメリカで使われている長さの単位を表しています。
つまり、長い道のりに置かれた道しるべを意味しており、英語では里程標という意味を持った言葉です。
元々はローマ帝国に由来する言葉で、街道のあちこちに今の距離を示す道しるべとして石を置いていました。
歴史上で起こった画期的な出来事に対してもマイルストーンという言葉が使われます。
また、ビジネスなどではスケジュールの途中で設定される中間ポイントを意味する言葉としてマイルストーンを使っています。
スケジュールとの違い
スケジュールは工程の全体を表す言葉です。
それに対して、マイルストーンは工程の中に区切りを設ける際に使われる言葉です。
タスクとの違い
タスクは英語で「課題」という意味を持っています。
全体のスケジュールの中で片付けるべき仕事と考えれば良いでしょう。
たとえば、建築のタスクなら、この日までに足場を組んで、次の日は建材を搬送して、といった具合に細分化できます。
工程表に関する記事はこちら
工程表にマイルストーンを活用するメリット
マイルストーンは、ビジネスシーンにおいては比較的新しい概念です。
そのため、なかなか使い慣れていない人も多くいるでしょう。
スケジュールづくりにマイルストーンを取り入れようと思っても、いまいちメリットが実感できないという壁にぶち当たっているパターンもあるはずです。
ここでは、マイルストーンを活用するメリットはどこにあるのかを考えていきます。
作業の抜け漏れを防止できる
たとえば、マイルストーンを設定することなくスケジュールをぶっ通しで消化する例を考えてみましょう。
もちろん、一連の作業がスムーズに進むのならそれで何の問題もありません。
とはいえ、タスクが膨大になればなるほど、どこかで必要な作業の抜け漏れが起きるものです。
にもかかわらず、立ち止まることなく作業を進めていると、そもそも抜け漏れに気づかないということが起こりかねません。
一方で、マイルストーンを設定しておけば、これまでの作業過程を振り返る余裕が生じるので抜け漏れを防ぐことができます。
進捗状況を可視化できる
工期が長くなればなるほど進捗状況を管理しなければいけません。
進捗状況を確認しないまま作業を続けていると、工期に間に合うかどうかも知ることができないでしょう。
そのため、マイルストーンを設定することで、今どのくらい進捗しているかを確認することは大切です。
そうすれば、仮に工期に余裕で間に合うような進捗状況なら一つひとつの作業を確実に行うといった方針転換を行えるでしょう。
トラブルなどに柔軟に対応できる
建設は、時にスケジュールを乱すようなトラブルが起きます。
とはいえ、その都度その都度トラブルに対処した結果、頻繁にスケジュールを変更するようでは満足に仕事をこなすことはできません。
一方で、マイルストーンを設定しておけば、今はこういう状況だからそれに対処するためにスケジュールを変更しようとまとめて計画を変えることができます。
工程表にマイルストーンを活用する方法
マイルストーンのメリットを踏まえたところで、ここからはマイルストーンを実際に取り入れる場面を見ていきましょう。
マイルストーンを導入する際にはどのようにすれば良いのでしょうか。
ステップ1 工程表を作成する
そもそもマイルストーンは工程表あってのものです。
工程表がないままマイルストーンを設定しようと思ってもなんの意味もありません。
まずは全体の工程表を作るようにしましょう。
ステップ2 マイルストーンを設定する
次にマイルストーンを設定します。
マイルストーン自体はどこに設定しても構いませんが、あまりに早すぎても遅すぎてもいけません。
たとえば、工期が半年あるとして、1ヶ月目にマイルストーンを設定するのは早すぎますし、5ヶ月目にマイルストーンを設定するのも遅すぎるでしょう。
大体折り返し地点の4ヶ月目あたりに設定すればマイルストーンを効果的に役立てることができます。
ステップ3 タスクを書き出す
続いて、建設においてやるべきタスクにどんなものがあるかを確認しましょう。
タスクの洗い出しを怠ったまま作業を進めると、思わぬ作業の抜け漏れが生じかねません。
何か忘れていることはないか、本当にこのタスクだけで建設を無事に進められるかといったことを確認する意味でも大切な作業です。
ステップ4 タスクを担当者に割り振る
すべてのタスクをすべての作業員の頭に入れるのは難しいです。
まず運搬係や施工係といったおおまかな役割を割り振るようにしましょう。
そして、タスクをそれぞれの担当者に任せるのがベストです。
工程表・タスク管理に関する記事はこちら
工程表にマイルストーンを活用する際の注意点
マイルストーンは、スケジュールが設定された作業に導入すると効果を発揮します。
かといって、あまりにマイルストーンを過信しすぎてもいけません。
そもそもスケジュールづくりの基礎がなっていなければ、いかにマイルストーンを設定しようが役立たずになってしまうでしょう。
ここからは、マイルストーンを導入するのと並行して注意しておきたいポイントについて解説していきます。
作業の順序を守る
スケジュールをめちゃくちゃに進めるようでは、マイルストーンの効果も半減してしまうでしょう。
たとえば、建設ではまず土台を作って、その上に骨組みを載せていくのが常道です。
にもかかわらず、骨組みを作った後で土台を作っていくようでは建設の形を成さなくなってしまうでしょう。
そうではなく、スケジュールに沿って堅実に作業を行ってこそマイルストーンの意味は成します。
タスクは細かく設定する
タスクは、あらかじめ細かく設定しておいた方が作業がスムーズに進みやすいです。
事前にこれをこうして、次にこうして、といった具合に、作業が具体的になればそれぞれの作業員のやることが明確になります。
逆に明確でないタスクを割り振られた作業員は現場でやるべきことを考えなければいけないため、無駄な時間が生じかねません。
余裕工数を把握しておく
どれくらい作業の余裕があるかは事前に見極めておきましょう。
余裕工数を把握していないままスケジュールやマイルストーンを作ってしまうと、作業の遅れやトラブルなどが起きてしまった場合に修正が利かなくなってしまいます。
担当者に偏りが生じないようにする
スタッフたちの能力には格差が発生することが避けられません。
そのため、できれば仕事のできるスタッフに多くの仕事を任せたいと思うのは自然でしょう。
とはいえ、あまりに多くのタスクを割り振ったら一人にかかる負担が大きくなってしまいかねません。
それぞれのスタッフの負担を避ける意味でも、タスクは平等に割り振ったほうが良いでしょう。
マイルストーンの設定間隔を工夫する
マイルストーンは、いくつ設定しても問題ありません。
たとえば、半年工期があるとして、マイルストーンが一つだけでは心もとないという場合は2つや3つ設定しても良いでしょう。
とはいえ、この際注意したいのはマイルストーン同士の間隔をほどよく設定することです。
たとえば、3つマイルストーンを設定するとして、初めの3ヶ月に集中させて残りの3ヶ月には設定しないというのではあまり意味がないでしょう。
こういったケースでは、2ヶ月ごとに設定するのがベターです。
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まとめ
スケジュールを作る作業だけでも大変なので、作業を進めながらスケジュールに間違いがないかを確認するのはなかなか面倒でしょう。
とはいえ、建設をうまく進めるうえでは計画に問題がないかをチェックする作業は欠かせません。
そういった意味でもマイルストーンは有効に活用すべき武器と言えます。
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