家屋などを建設する際や解体工事をするにあたって安全を確保することは欠かせません。
現場に従事する作業員の安全意識を高めることはもちろんのこと、現場の周囲の危険も取り除く必要があります。
そこで必要とされるのが警備員です。
今回はこの警備員の仕事内容について詳しく見ていきます。
交通誘導警備員とは
工事現場の前などを通りかかると、警備服を着た誘導員が立っているところを見たことがある人は多くいるでしょう。 誘導棒を持って車の進行をコントロールすることや工事用のトラックなどが安全に交通できるようにするのが彼らの役割です。 彼らのことを正式には交通誘導警備員と呼びます。
今回は建築現場や工事現場の交通誘導警備について見ていきますが、それ以外にも警備員が必要とされる場所はたくさんあります。 イベント会場や大型ショッピングモールなどに行けば、必ずといって良いほど警備服を着た人に出会うでしょう。 特にたくさんの車が行きかう場所には警備員が欠かせず、彼らのおかげで人々の安全が守られています。
警備員に関する記事はこちら
交通誘導警備の仕事内容
傍目から見ると交通誘導警備の仕事は簡単に見えます。
ともすると、工事現場の近くに立っていて、周囲に異常がないかを確認しつつ誘導棒を振っていれば良いだけ、と考えている人も多いのではないでしょうか。
とはいえ、実際に交通誘導警備の仕事は思いの外やるべきことが多いです。
ここからは、建築現場と工事現場の2パターンの仕事内容について見ていきましょう。
建築現場における警備
まず建築現場において警備員がやるべきなのは、建築資材などを運ぶ車両を安全に出入りさせることです。
足場や木材など、建築現場に必要な資材はどうしても大型にならざるを得ません。
いかに大型トラックの運転に慣れている人といえど、狭い場所の走行などは一人ではなかなか難しいでしょう。
そこで交通誘導が必要になってきます。
ドライバーの死角になりがちな場所に物や人などがないか、バックして安全に車を止められるか、などといったことはドライバー一人では確認できません。
警備員はドライバーの代わりに確認しつつ、進行してOKとの合図を送る必要があるのです。
そのほか、建築現場の周りを歩く人たちの安全を確保するのも警備員の仕事です。
建築現場の近くの場合では、高所から建築資材などが落ちる可能性が否めません。
仮に落ちてきたものが通行人に当たってしまえば、建設会社などに責任が及んでしまいます。
もちろん作業員にそうしたミスをなくすよう意識付けるのが一番なのですが、それだけでなくそもそも建築現場の周りに人を近づけないことも欠かせません。
警備員はこうした事故を未然に防ぐために、現場の近くに通行人を近づけないことも仕事となります。
工事現場における警備
建築作業と違って、工事現場の場合は内容によっては道路の通行を一部制限せざるを得ないことがあります。
道路の地中に埋まっている水道管をチェックしたり、道路の凸凹を補修したりする時は、なおさら工事のためのスペースを取らざるを得ないでしょう。
この時、両方向から来る車をスムーズに行き交わせるために警備員が必要となります。
工事現場の近くに立った警備員が、片方から来る車を止めつつ、もう一方から来る車を進めるといった采配を振るう姿を見たことがある人は多いでしょう。
また、場合によっては車道だけでなく歩道も塞いで工事しなければいけません。
その場合は歩行者を最優先に進行させつつ、事故のないように気を配るのが警備員の仕事となります。
工事現場に警備は必要?
ここまで、交通誘導警備員の仕事内容について解説してきました。
とはいえ、中には警備員は必要なのだろうか、と疑問に感じる方もいるかもしれません。
最近では技術が発達してきたおかげで、自動で交通誘導を行うマシーンなども開発されてきています。
こんな中にあって、なぜいまだに警備員を置いている業者が多くあるのでしょうか。
安全確保
工事現場においては、時に予測外の出来事が起きます。
たとえば、子供などは工事をやっているとわからないまま現場の中に入り込んでしまいかねません。
こうした不測の事態は機械などでは対処できないです。
人間の長所は不測の事態に対応できる柔軟さにあります。
いついかなる時でもしっかりと安全を確保できるという意味でも警備員を置くことは欠かせません。
道路使用許可の取得
一般道で工事を行う場合は、警察に許可をもらわなければいけません。
許可をもらわないまま工事をしてしまうと、勝手に道路を塞いでいるということで罰されてしまいます。
そして、日本においては工事を行う際には必ず資格を持った警備員を置くよう義務付ける法律が存在するのです。
当然、許可をもらうにあたってもあらかじめ警備会社から警備員を派遣してもらっていると証明することが欠かせません。
国としても安全に工事を行うには警備員が欠かせないと考えているのです。
トラブル防止
一般道で工事を行うにあたっては周辺の住民や通行する車などに最大限配慮しなければいけません。
近くで工事をしていることによって生じた騒音に苦情を言いたくなった人は少なくないでしょう。
また、ドライバーにとっては本来スムーズに通れるはずの場所が工事によって塞がれているとなったらストレスを感じてしまうでしょう。
仮に工事によって一方の道しか進めなくなり、そのせいで対向車と事故が起きてしまったとなったらトラブルは避けられません。
とはいえ、こうしたトラブルが起きた時現場で作業している人たちを借り出すわけにはいかないでしょう。
こうしたトラブルをあらかじめ防ぐという意味でも警備員は必要です。
例えるならば、警備員は対外交渉人と言えます。
工事現場に警備員を配置する際の注意点
ここまで、工事現場に警備員を置くことがなぜ必要なのかということを見てきました。
もっとも、とりあえず必要そうだから警備員を置くか、と軽く見てもいけません。
実際に警備員を配置するにはさまざまな注意点があります。
契約外の仕事は依頼しない
基本的に警備員は警備会社に依頼して派遣してもらえます。
その際はあらかじめ結んだ契約書にもとづいて警備員を配置しなければいけません。
そして、この契約書に書かれていない仕事を警備員にやらせるようなことはくれぐれも慎むようにしましょう。
たとえば、建築現場に警備員を配置するケースを考えてみます。
建築資材を作業員数人で運ぶとなった時、どうも人が足りないとなったとしましょう。
そこで警備員に力を借りたい、と思うのはもっともな話ですが、一方でこれは契約違反と言わざるを得ません。
何より、こうした作業に警備員を借り出してケガをさせてしまった、となったら当然責任は建築会社側が負うこととなります。
警備会社との関係が悪くなってしまう事態にも発展しかねないので、あくまでも警備員には警備の仕事だけをしてもらうようにしましょう。
警備員が条件を満たしているか
さきほど道路の使用許可を警察にもらうためには資格を持った警備員を配置しなければいけない、という話をしました。
この際、必要な資格は交通誘導警備業検定2級以上です。
警備会社に警備員の派遣を依頼する際は、この資格を持った警備員を呼んでもらうようあらかじめ伝えるようにしましょう。
そのほか、警備員として働くためには、心身に異常がある場合や反社会的勢力とつながっているようではいけません。
このあたりの条件は警備会社があらかじめチェックしますが、念のため建築会社のほうでもチェックするようにしましょう。
現場管理に関する記事はこちら
施工管理なら建設業向けシステム「アイピア」
まとめ
近年はAIが発達したせいで、人間の仕事がなくなるのではないか、とささやかれています。
建築業も例外ではなく、少しずつAIの力を借りながら業務を効率化していくこととなるでしょう。
とはいえ、そんな中でも警備員は依然として必要とされる仕事です。
工事管理の基礎に関する記事
工事管理システムに関する記事
- 工事管理システム(ソフト)とは?人気製品10選を機能・選び方とともに紹介
- 施工管理システムとは?機能の解説とおすすめ5選
- 【リフォーム・工務店向け】顧客管理システムの選び方は?おすすめ5選
- 工事原価管理とは?おすすめの原価管理システムも紹介!