基礎工事とは?種類や流れをご紹介

基礎工事とは?種類や流れをご紹介

住宅を建てる際には最初に基礎工事が行われます。
地震や台風など自然災害が多い日本において、安全な住環境を求めるならば基礎工事が重要なことを理解している方は多いですが、実際にどのような工事がどのような工程で行われているのか詳しく知っているという方はあまり多くはないでしょう。

この記事では、基礎工事の基本的な説明とともに、どういった種類があり、工程はどのように進められていくのかご詳しく紹介します。

基礎工事とは

基礎工事とは、建物と地面のつなぎ目部分となる「基礎」を造るための工事のことです。

もしも基礎を造らずに地面の上にただ建物を設置しただけでは、地震や強風などによって不安定になってしまいますし、地盤沈下によって傾いてしまうリスクも高くなります。

このような状態では安心して生活することができないため、基礎工事を行うことで建物を安定させることが重要です。

基礎工事の種類

基礎工事は、地盤などから判断して、次の4つの種類から状況に合った工事方法で行われます。

杭基礎

「杭基礎」は、地盤が軟弱な場所に建物を建てる時に使われる工事方法です。
杭基礎には、「支持杭」と「摩擦杭」の2つの種類があります。

支持杭

「支持杭」とは、固い地盤がある深い地層(支持層)まで鉄筋の杭を打ち込んで建物を安定させる基礎工事のことです。
支持層にしっかりと杭を打ち込むことで安定性を保ち、地震の影響による液状化を防ぎます。

摩擦杭

地盤によっては、支持層がない場合や支持層が深すぎる場所にあり、杭を打ち込むことが現実的でないケースもあります。
このような場合に用いられるのが「摩擦杭」と呼ばれる基礎工事です。

摩擦杭は、支持杭のように固い地盤に杭を打ち込むのではなく、柔らかい地盤に凹凸を付けた多めの本数の杭を打つことで生じる、地盤と杭の側面との間の摩擦力を利用して建物を安定させます。
ただし、柔らかすぎる地盤では摩擦杭でも建物を支えることはできないので、ある程度の地盤の固さは必要です。

ベタ基礎

「ベタ基礎」は、住宅建築などの際によく見られる工事方法であり、建物の土台となる床下全体にコンクリートを敷き詰めて床下空間を儲けるものです。
地盤に直接的に基礎を設置することから「直接基礎」と呼ばれる工事方法の一種です。

比較的地盤の弱い場所でも安定した基礎を造ることができ、湿気から建物を守る効果も期待できますが、使用するコンクリートの量が多いとコストが高くなってしまいます。

布基礎

「布基礎」は、木造住宅の基礎工事で古くから用いられてきた方法です。
ベタ基礎のように基礎全体を補強するのではなく、柱や壁など建物の負荷が大きい場所にT字を逆にしたような形の鉄筋コンクリートを埋め込んで強度を持たせます。

ベタ基礎よりもコンクリートの使用量が少ないためコスト面では有利ですが、床下は地面がむき出しとなっているので湿気がこもってしまうことがあります。

独立基礎

「独立基礎」は、「フーチング基礎」とも呼ばれ、建物を支える柱の根元にだけ基礎工事を施す工事方法です。

古い神社や古民家などで玉石の上に土を盛り、そこに柱を固定している様子を目にしたことのある人も多いでしょう。
この方法は十分な強度が得られないため、現在では住宅全体に使われることはなく、ポーチやデッキなど部分的な場所で使われる程度です。

基礎工事の工程

建物の基礎工事はどのような工程で進められるのでしょうか。
ここでは、床下に直接コンクリートを敷き詰める工法である「ベタ工事」を例にとって具体的な流れを見ていきます。

地縄張り・遣り方

工事に着工する前に、敷地のどの場所に建物が建つのかを確認します。
この作業が「地縄張り」で、縄紐やビニール紐を使って視覚的に確認作業を進めるのが特徴です。

地縄張りの作業後は、基礎工事に必要となる中心線や水平線を設定するための仮設物を図面をもとにして造ります。
この作業を「遣り方を出す」と言いますが、現在はレーザーレベルなど最新機器の登場により遣り方が省かれることも増えてきています。

根切り

「根切り」とは、掘削工事のことです。
遣り方で定めた基礎工事を行う部分を、パワーショベルなどを用いて決められた深さまで掘り起こしていきます。

ベタ工事の場合は、床下一面を掘り起こす必要があるため、基礎工事の中でも比較的多くの時間を要する工事です。

砕石敷き

掘り起こした部分に細かく砕いた石を置いたら、ランマーと呼ばれる機械を使って固めていきます。
この作業が「砕石敷き」です。

砕石敷きを行うことで、建物の重さがかかっても基礎が沈み込んでしまうことがなくなります。

防湿シート・捨てコンクリート施工

砕石の上に湿気を防ぐための防湿シートを敷いたら、基礎の外周部分に捨てコンクリートを流し込みます

捨てコンクリートとは、建物の位置を確認するためのものであり、建物の強度に影響を与えるものではありません。
工事を正確に進めるために必要となる作業です。

基礎配筋

一本一本の鉄筋を結束線と呼ばれる細い針金を使って連結させて、格子状の鉄筋を組み立てる作業です。
基礎の寿命や強度に大きく影響する作業であるため、数多くのチェックポイントが設けられています。

配筋検査のチェックポイント

  • 鉄筋の配置
  • 鉄筋のかぶり厚さ(コンクリートの表面から鉄筋の表面までの距離)
  • 鉄筋の波打ち
  • 鉄筋定着(鉄筋の埋め込み)の長さ
  • 鉄筋の太さ(径)
  • 防湿シート
  • ホールダウン金物の位置・本数・固定状況
  • アンカーボルトの位置・本数・固定状況

型枠設置

配筋部分にコンクリートを流し込むための型枠を設置して、コンクリートが流れ出さないようにします。

生コンクリート打設(床ベース部分)

型枠を設置したら床のベースとなる部分に生コンクリートを流し込みます。
この作業が「生コンクリート打設」です。

アンカーボルト設置

基礎と土台をつなぐ金具が「アンカーボルト」です。
アンカーボルトを設置して基礎と土台を固定することで、強い地震が起こった時でも建物が浮き上がってしまったり、土台から外れたりすることがありません。

生コンクリート打設(基礎立ち上がり部分)

ベースとなる部分のコンクリートが乾燥したら、基礎内部の立ち上がりと呼ばれる部分に型枠を組んでコンクリートを流し入れて平らに均します。

養生・型バラシ

コンクリートが完全に乾いて十分な強度が確認できるまでは数日かかります。
その間は適度な温度や湿度を維持することや防水シートで雨から守る必要があります。
この作業が「養生」です。

完全に乾いたら型枠をバラして作業終了となります。

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まとめ

ここまで、基礎工事の内容や工事の種類などについて説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
普段は外から見ることのできない建物の基礎部分ですが、建物の強度を維持するためには非常に大切なものであることが理解していただけたと思います。
将来住宅を購入することになった時に、このような知識が頭にあれば安心・安全な住宅選びの際にもきっと役に立つでしょう。

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