電気業界に関心のある方にとっては、電気通信工事というワードを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
電気通信工事に似た工事に電気工事がありますが、この2つの違いと、電気通信工事の仕事内容や電気通信工事において必要な資格について解説していきたいと思います。
電気通信工事とは
電気通信工事とは、情報通信設備に関する工事を指しています。
電話やインターネット、テレビが情報通信設備に該当し、建物内で情報伝達するための設備を言います。
電気工事との違い
一方、電気工事は建物に対する電気設備の新設工事などを行うものです。
たとえば、照明器具を設置することや配線の入れ替えなども電気工事の仕事に含まれています。
電気通信工事は、先ほども既述した通り、情報伝達するために使用することや電力を制御する工事であり、電話やインターネット、テレビ、火災報知器、放送設備などの種類がありますが、電気工事と比べると、取り扱う電力の大きさが違うことがわかるでしょう。
まさに、この取り扱う電力の大きさが異なる点が違いの一つだと言えます。
また、このほかの違いとしては電気工事士の仕事では、電気工事士や電気主任技術者といった資格が必要になりますが、電気通信工事は電気通信主任技術者などといった資格が必要になります。
つまり、必要となる仕事が異なるという点も違いの一つと言えるでしょう。
電気通信工事の主な仕事
ではここで、電気通信工事で行われている主な仕事内容について具体的に解説していくことにしましょう。
一体どのような仕事に携わっているのでしょうか。
LAN工事
LANは、建物内もしくはフロア内のような限られた範囲内にあるコンピューターで構築されたネットワークを指しています。
LAN工事は、PCやプリンター、セキュリティ機器、通信機器などといったOA機器をネットワークに接続するために行われる工事です。
通信ケーブルを配線することで、有線LAN、無線のLANを構築していきます。
LAN工事が完了することで、インターネットに使用ができるようになるのです。
LAN工事は、ネットワーク機器をどこに配置すれば良いか、接続する機器は何台あるかなどといったネットワーク設計が必要ですし、セキュリティ対策についても考慮しなければならないことから、非常に技術と知識のいる工事になっています。
放送設備工事
放送設備工事とは、公共施設やオフィス、工場、店舗などの建物内でコミュニケーションや情報伝達のために構内放送をすることや館内放送などを行うための放送設備に関する設置工事です。
たとえば、非常放送設備や一般業務放送設備、緊急放送設備、舞台や劇場などの音響設備、AV機器設備などといったものが放送設備にあたります。
携帯電話基地局工事
携帯電話基地局工事は、スマートフォンや携帯電話などのモバイル端末に効率良く電波を届けるために行われる工事です。
これによって、私たちは高品質な通話が可能になっているのです。
屋内・屋外基地局の建設、電波不感地帯の解消、通信試験、アンテナ・無線設備の機器の設置などが相当します。
光ケーブル敷設工事
光ケーブル工事は、光回線のインターネットを使用するために外部から光ファイバーケーブルを引き込む工事を指しています。
また、この光回線の引き込みのほかにも、ONUや光回線を接続するために必要な光コンセントの設置も含まれているのです。
現在は、光ファイバーケーブルによる光回線通信が、従来の回線に比べて高速かつ安定していることで、企業や一般家庭でも多く取り入れられていますので、現在の日本では大変ニーズが高まっている工事の一つでもあります。
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電気通信工事に必要な資格
では、ここで電気通信工事に携わりたい方のためにも知っておきたい、電気通信工事に携わるために必要な資格について見ていくことにしましょう。
どういった資格が必要なるのでしょうか。
電気通信工事施工管理技士
電気通信工事施工管理技士は、2019年度から新しく新設された施工管理に関する国家資格です。
現場において、監理技術者として、もしくは主任技術者といった責任のあるポジションに携わる際に必要になります。
通信に特化している施工管理士として、幅広い電気工事に携わることが可能になる資格です。
受験資格が定められており、1級電気通信工事施工管理技士の場合、実務経験のうち選任の主任技術者の経験が1年以上ある者などといった条件が必要になり、ある程度の実務経験が必要となります。
そのため、電気通信工事に携わっている方が、スキルアップやキャリアアップのために目指される方も多い資格です。
電気通信主任技術者
電気通信主任技術者は、情報通信設備の工事や維持および運用を行うことができる資格です。
電気通信ネットワーク工事や維持、運用を担っている責任者にあたります。
電気通信主任技術者の場合、電気通信事業者の局内設備などの伝送交換主任技術者と、架空電線や地下ケーブルなどの伝送路を対象とした線路主任技術者の2種があります。
特に年齢や実務経験に関係なく、どなたでも受験することができる資格です。
現場を維持したり監督する責任ある立場になることから、試験の難易度が高いのも特徴ですが、この資格を取得していることで手当が付くなど、給与面の待遇が良くなることも多いですので、取得していて損はありません。
電気通信工事に携わりたいという方は一度受験されることをおすすめします。
工事担任者
工事担任者は、情報通信設備の接続・修理に必要となる国家資格です。
電気通信事業法が制定された1985年に生まれました。
公衆回線やCATVなどの通信回線に接続する端末などの配線工事や監督を行うための資格です。
年齢や実務経験などといった制限は特にないため、どなたでも受験できるのが特徴です。
工事担任者にはAI種とDD種の2種類あって、それぞれがアナログ回線やデジタル回線で扱える回線が異なっています。
特に、中でもAI・DD総合種と呼ばれるアナログ回線もデジタル回線も取り扱える資格が最も人気の高い資格で、たくさんの方が受験されているのですが、その代わりに最も難易度の高い資格となっていますので、挑戦してみる価値のある資格です。
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まとめ
現代の日本はIT化が進んできたことで、どこでも気軽にインターネットが使える環境が整ってきています。
そのため、情報伝達に関わる工事でもある電気通信工事は非常にニーズの高い工事であると言えるでしょう。
ぜひ興味がある方は上記のような資格を取得して、電気通信工事の仕事に携わってみてはいかがですか。