建設工事において必ず発行しなくてはならない契約書、それが工事請負契約書です。
工事を行うにあたって、追加工事が発生することが多くあります。
その際、追加工事の内容も契約書に追加する必要があります。
この記事では、追加工事を契約する際の注意点や、追加工事請負契約書について解説していきます。
目次
工事請負契約書とは
請負工事の契約を結ぶ際、作成しなくてはならない書類が工事請負契約書です。
発注者とその請負人との間で、施工の際に交わされます。
工事請負契約書を発行することで、契約後のトラブルを防ぐことができます。
- 工事の内容や金額を明確にし、不当な契約締結を防ぐ
- トラブル発生時のルールを定め、万が一の際 大きな問題への発展を防ぐ
以上の2つが工事請負契約書を作る主な目的です。
工事請負契約書に関する記事はこちら
契約書の作成は義務
どのような工事であっても、必ず契約書が必要になります。
工事の規模や金額は関係ありません。
一般論として契約とは口約束でも成立しますが、建築業法によって契約書の発行が義務付けられているため、必ず必要事項を記入し発行しなければなりません。
工事請負契約書の内容
国土交通省が定めたガイドラインでは、以下の①~⑮の項目を契約書面に記載しなけらばならないと定められています。
引用元:国土交通省:建設業法令遵守ガイドライン
- 工事内容
- 請負代金の額
- 工事着手の時期及び工事完成の時期
- 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
- 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをす るときは、その支払の時期及び方法
- 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しく は一部の中止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額の変更又 は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
- 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方 法に関する定め
- 価格等(物価統制令(昭和21年勅令第118号)第2条に規定する価格等 をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
- 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関す る定め
- 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与す るときは、その内容及び方法に関する定め
- 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法 並びに引渡しの時期
- 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
- 工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけ るその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保 険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
- 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金 その他の損害金
- 契約に関する紛争の解決方法
下請契約の締結に際しては、下請負人が交付した見積書において、建設業法第 20条第1項の規定により、工事の種別ごとの材料費、労務費その他の経費の内 訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数が明らかである場合に は、その見積内容を考慮すること。
追加工事の場合も
追加変更工事が発生した際には、追加の工事請負契約書を発行しなくてなりません。
契約書がなければトラブルになる場合もあるため、変更する内容等を明確にし発行する必要があります。
追加変更工事とは
一般的に工事には3つの種類があります。
- 本工事:当初の請負契約書において同意された工事
- 追加工事:当初の請負契約書・設計図にない工事項目を追加して行う工事
- 別途工事:ある工事に対して、別の施工業者が施主と契約して行う工事
追加工事は、本工事に含まれていない工事を新たに追加して行うことを指します。
追加工事の3つの要因
追加工事の要因は大きくの設計の変更・工期の変更・代金の変更の3つあります。
現場では工程通りに工事が進まない場合も多くありません。
天候などの問題で工期が伸びてしまったり、建築物の構造上変更しなくてはならない設計が発生したり、と様々な工事変更の可能性があります。
その場合追加工事が発生し、請求金額等も変更になります。
具体的な現行項目はこのようなものがあります。
- 工事名
- 工事内容
- 現場住所
- 工期(着工から完工までの期間)
- 工事を施工しない日、施工しない時間帯
- 請負代金額
- 請負代金の支払い時期と方法
- 調停人(定めない場合は削除)
- その他の項目、備考など
追加工事はトラブルになりがち?
当初の予定通りに工事が完成した際には、契約書で決められた請負代金が支払われます。
しかし、追加変更工事の場合、請負代金は当初の契約書では定められていないため、金銭的なトラブルになりやすい傾向があります。
無断での工事変更、完成イメージとの相違、合意のない追加の請求など様々な要因が予想されます。
トラブルを防ぐためにも、打ち合わせの議事録や見積書など、やり取りの履歴をきちんと残しておくことが大切です。
追加工事請負契約書
追加工事の際も、請負契約書の作成が義務になっています。
台風や災害によって工程が遅れるのはよくあることです。
国土交通省の定めた約款でも以下のように記されています。
不可抗力によるとき又は正当な理由があるときは、受注者は、速やかにその事由を 示して、発注者に工期の延長を求めることができる。この場合において、工期の延長日数は、 受注者及び発注者が協議して定める
引用元:民間建設工事標準請負契約約款(乙)
契約書を作成することで、言った言わないのトラブルをなくし、施主と施工業者の間にある認識の違いをなくします。
合意を得る
工事に変更が発生した際、施主への説明が必要になります。
必ず追加工事が始まる前に契約をするようにしましょう。
変更や追加の内容を書面に記載し、署名・記名押印の上相互に交付します。
契約書を作成することで、施主と施工業者との間で認識の違いをなくし、合意を書類として形に残します。
施工業者と施主との間で知識の差が大きくなってしまい、認識の齟齬が生まれるケースも少なくないため内容をしっかり把握することが大切です。
記録の保存
打ち合わせのやり取りを記録しておくことも、万が一 問題が訴訟等に発展した際に重要になります。
言った言わないはトラブルの元になるため、しっかりと誰にでもわかる形で保存することが大切です。
追加見積書の作成
忘れずに追加の見積書も作成しましょう。
見積書があることで、どの工事にどれだけの追加料金が発生するかが一目で分かるようになります。
施工側が簡単に説明しても、施主側とは専門的な知識に差があります。
こんな請求知らない!などのトラブルを防ぐためにも、口頭での説明ではなく見積書を提示しましょう。
おすすめの工事請負契約書テンプレート
工事に関する情報を詳しく記載できる便利な工事請負契約書表紙のテンプレートをご紹介します。
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まとめ
今回の記事では、追加変更工事の際の請負契約書についてご紹介しました。
工事請負契約書は、請負契約をする上で必ず発行する書類です。
追加変更工事の際はトラブルも多いため、より細心の注意を払って作成しましょう。
また、建築業では工事請負契約書だけでなく様々な書類を作成する必要があります。
取引を進める上で、毎回データを入力するのは非常に手間がかかります。
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