出精値引きとは?値引きとの違いや見積書への書き方、注意点を解説

出精値引きとは?値引きとの違いや見積書への書き方、注意点を解説

出精値引きについて、きちんと理解していますか。
出精値引きという言葉を知らなくても、取引先や顧客と見積もりや商談をする際に行っているケースが多いはずです。
この記事では、出精値引きとはどういうものなのか、一般的な値引きとの違いや見積書への書き方、注意点を解説していきます。

出精値引きとは

出精値引きとは、顧客との関係維持や受注を得るために、企業努力でサービス的に値引きをすることを指します。 工事代金が実際には123万円かかるところ、120万円にしておきます、お客様の予算に見合わないところ、予算内にどうにか納めました、といった値引きのスタイルです。

取引相手としては、サービス的に値引きをしてもらえると、お得感を感じたり、気持ちも良くなり、その建築会社に頼もうと考えたり、すぐに契約してくれる可能性があります。
そのため、個別具体的な事案ごとに、顧客との関係維持や受注獲得を目指して、行われるケースが多いです。

値引きとの違い

これに対して、出精値引きとは異なる値引きもあります。
一般的な値引きは、請負側が一方的に譲る出精値引きとは異なります。

たとえば、設置する設備が古いモデルなので値引きをするなど、割り引くことで在庫を処分できるメリットが請負側にもあるために、値引きを行うケースが多いです。
また、お互いの話し合いのもと、提示した条件を飲んでくれれば値引きをするパターンもあります。
着工時期を請負側で決めて良いなら値引きする、工期が長引いても良いなら値引きする、使う建材を請負側で指定できれば割引するなどです。

一般的な値引きは、請負側にもメリットがあり、取引相手も条件を飲めばお得になるので、お互いにWin-Winの関係です。
これに対して出精値引きは、請負側が一方的に譲り、割り引いた分、費用を負担するケースも少なくありません。

見積書への出精値引きの書き方

見積書への出精値引きの書き方は、一般的な値引きと同様です。
見積書で、「」または「」を使って表記するのが基本となります。

出精値引きを見積書に記載する際の注意点

出精値引きを見積書に記載する際の注意点として、値引きであることを示すだけでなく、一般的な値引きと区別できるようにすることが必要です。
以下の注意点を守って、見積書に記載するようにしましょう。

「▲」または「―」の記号を使用する

値引きであることが一目でわかるよう、「▲」または「―」の記号を使用して値引き額を記載しましょう。

値引き前の金額も記載する

値引き額だけでは、本来いくらだったのかがわかりません。
本来はいくらのところ、特別に出精値引きをしたので、こうなりましたとわかるように記載することも必要です。

出精値引きの理由を明記する

出精値引きの理由を明記することも大切です。
なぜ値引きできたのか、値引きの理由を簡潔かつ具体的に書きましょう。

理由がないと、後で説明する、下請業法や独占禁止法違反などの法令違反に問われるおそれもあります。
元請業者が下請業者に「まけろ!」、「もっと安くしろ!」と強要して値引きしたと思われないよう、値引きに適する適切な理由をしっかりと明記することでトラブルが防げます。

出精値引きの依頼は法律違反?

出精値引きの依頼をすると、お互いの関係性や度合い、状況によっては法律違反となるおそれがあります。 問題となる法律は、下請法や独占禁止法などです。

下請法は、元請け業者に比べて弱い立場にある下請業者を守る法律です。
本来かかる費用より安く請け負わされた場合や利益の額を縮小されてしまうと、下請業者の経営が困難になることや働く人に安い賃金しか払えなくなります。
工事の品質や安全にも影響を与えるので、必要を超えた値引きの強要は許されません。
また、お互いに値引きを恒常化させることで、工事の請負を独占し合い、適正な競争を阻害することも認められません。

法律違反にならないためのチェック項目

出精値引きのつもりが、法律違反として措置命令を講じられることや業務停止などの措置を受けないよう、見積書を作成する際やそれに至る商談の過程では、以下の点に気を付けましょう。

CHECK!

自社の都合だけで下請業者に値引きを要求していませんか

何の理由もなく、自社の予算の範囲内で収めたいからと、下請業者の利益を考えずに採算が合わない値引きを要求しないようにしましょう。
元請業者なら、どのくらいの費用がかかるのか、利益をどれだけ得ないとやっていけないかはわかるはずです。
それを超えて値引きを要求しても、言い訳ができません。

CHECK!

材料高騰やエネルギー費用の高騰時などに無理な値引きを強要していませんか

原材料価格の高騰や燃料代などエネルギー費用の高騰により、従来より工事価格が高くなるケースも増えています。
工事の内容は同等でも、原材料価格や燃料費などを考えると値上げをしないと採算が取れないケースも多いです。
にもかかわらず、元請業者としての立場を利用するなどして、値引きを要求してはいけません。

CHECK!

理由のない値引きを要求していませんか

健全な取引関係を維持したいなら、出精値引きを要求するのではなく、一般的な値引き交渉を行うべきです。
工期の面で譲るので少し安くしてほしい、古いモデルの設備で良いので定価より安くしてほしいなどの交渉は可能です。

一方、なんら条件で譲ることなく、一方的に理由もなく出精値引きを要求すると、法律違反に問われるおそれがあります。

見積書も書ける『建設業向け管理システム アイピア』

建築業向け(リフォーム・工務店)管理システム アイピア

アイピアは建築業に特化した一元管理システムであり、顧客情報、見積情報、原価情報、発注情報など工事に関する情報を一括で管理できるため、情報集約の手間が削減されます。
さらに、アイピアはクラウドシステム。外出先からでも作成・変更・確認ができます。

まとめ

出精値引きとは顧客との関係維持や受注を得るために、企業努力でサービス的に値引きをすることです。
値引きは設置する設備が古いモデルなので、在庫を抱えるリスクを避けるために値引きをすることやお互いにメリットがあるので値引きされることが多いです。
出精値引きは、値引きする側が一方的に譲る点で、一般的な値引きとは異なります。

見積書への出精値引きの書き方は、一般的な値引きと同様に、「▲」または「―」を使って表記するのが基本です。
出精値引きを見積書に記載する際の注意点として、「▲」または「―」の記号を使用すること、値引き前の金額も記載すること、出精値引きの理由を明記するようにしましょう。

出精値引きの依頼は、下請法や独占禁止法などとの関係で法律違反に問われるおそれがあります。
法律違反にならないためのチェック項目として、元請業者から下請業者への一方的かつ有無を言わせないような要求は避けましょう。

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