建設業では、人手不足や時間外労働の上限規制(2024年問題)への対応、建設DXの推進などを背景に、工程管理の重要性がますます高まっています。工程管理は工期を守るだけでなく、品質の確保や利益の向上にも欠かせない業務です。
この記事では、工程管理の目的や手順、代表的な管理方法に加え、2026年の建設業界で求められる最新の工程管理についてもわかりやすく解説します。自社の工程管理を見直す際の参考にしてください。
工程管理とは
施工管理における4大管理(工程管理・原価管理・品質管理・安全管理)のうち、工程管理は工事全体のスケジュールや作業の進捗を管理する業務です。
近年は工程表を作成するだけでなく、現場の状況に応じて工程を柔軟に調整し、関係者へ迅速に共有することも重要な役割となっています。
工程管理の必要性
工程管理とは、建物の建築が工期に間に合うように、資材や労働力などを管理し、計画・運営する業務を指します。
建築工事には、多くの工程があることに加えて、多くの人員が工事に関わります。
現場の安全確保や、予定通りに効率よく作業を行うためにも、作業の手順や日程を調整した、適切な工程管理が求められています。
【2026年版】工程管理が重要視される理由
近年の建設業界では、慢性的な人手不足や時間外労働の上限規制(2024年問題)への対応に加え、建設DXの推進が進んでいます。
限られた人員で品質と工期を維持するためには、工程管理の重要性がこれまで以上に高まっています。
また、資材価格の高騰や物流の影響による納期の変動、天候による工程変更など、不確定要素への柔軟な対応も求められています。
現在では工程管理は単なるスケジュール管理ではなく、利益を確保しながら安全・品質・工期を最適化するための重要な経営管理として位置付けられています。
工程管理ツールに関する詳しい記事はこちら
「工程管理」と「生産管理」の違い
工程管理と混同しやすい言葉に、「生産管理」があります。
工程管理と生産管理の違いは、簡潔に言うと管理の範囲です。
工期内の達成に重点を置くのが工程管理であるのに対し、数年先の業務まで視野に入れて長期的に管理するのが生産管理です。
つまり、生産管理の業務において、各工程が滞りなく進行しているか管理する業務が工程管理であると言う事ができます。
▼国土交通省による土木工事施工管理基準 土木工事施工管理基準及び規格値(案)工程管理の目的
工程管理には、工期通りの工事の完了や品質の確保、生産性向上といった目的があります。
以下ではその他の目的も含めて具体的にご説明いたします。
工期の遵守
建築工事において、工期に遅れを生じさせないことはとても重要です。
お客様との信頼関係に影響を与えかねないのはもちろんのこと、工期が長引くことによってさらにコストがかかる場合も考えられます。
そこで、工程管理が重要な役割を担います。
工程管理を適切に行うことにより、何の作業をいつまでに完了させれば良いのか、正確に把握し管理することができます。
このように、把握と管理がされていることにより、納期に間に合うように工事を完了させるための、確実なスケジュールを立てることが可能です。
品質の確保
品質の確保も工程管理業務における大きな目的のひとつです。
しっかりと工程管理を行うことができれば、工事に必要な材料や人員も把握することができるため、資材や人員不足を防ぐことができ、高い品質の確保に繋がります。
工程管理をきちんと行い、お客様に提供する品質を維持することは、顧客満足度を高めることができます。
高い品質の商品を提供できるということは、従業員に負荷の少ない作業が行われていることを意味します。
より良い労働環境を作るためにも、工程管理は必要な作業であると言えます。
生産性の向上
建築工事では、必要な資材や人員を適切に配置し、工程ごとの進捗を把握することで、生産性を高めることができます。
クラウド型の施工管理システムを活用すれば、進捗状況をリアルタイムで共有できるため、待機時間や手戻り作業の削減にもつながります。
また、商品の発注から納品までにかかる時間のことをリードタイムと呼びますが、工程管理を行うことにより無駄な時間を削減することが可能なので、このリードタイムを短縮することができます。
このように、無駄な作業を省くことができれば、そこに割かれていた資源や人材を別の作業へ回すことができるため、生産性の向上に繋がります。
生産性向上に関する詳しい記事はこちら
コスト削減
コストの削減もまた、工程管理を行う目的のひとつです。
工事に使用する材料や機械を正確に把握することができれば、無駄な経費を削減することができます。
また、先述したように、リードタイムを短縮し、工事における生産性を高めることによって、労務費の削減も可能です。
きちんと工程管理を行い、品質の確保とコストの削減の両方を達成することにより、コストパフォーマンスの高い商品をお客様に提供することができます。
建設DXの推進
工程管理は、建設DXを推進するうえでも重要な役割を担っています。
クラウド型の施工管理システムを活用すれば、工程表や進捗状況を現場と事務所でリアルタイムに共有でき、急な工程変更にも迅速に対応できます。
さらに、工事写真や原価管理、電子帳票などと連携することで、情報の二重入力を減らし、現場全体の業務効率化につながります。
工程管理の手順
工程管理を効率的に行うためには、PDCAサイクルを回していくことが重要です。
PDCAサイクルは、計画(Plan)、実施(Do)、検討(Check)、処理(Action)の4段階で構成されています。
それぞれのポイントを詳しくみていきましょう。
Plan(計画)
工程管理は、まず工事の計画を立てることから始まります。
そのために作成するものが工程表です。
工程表の作成では、全体の日程を把握するための「全体工程表」に加えて、より具体的な作業を記載した「部分工程表」、業者を把握するための「横線式工程表」なども作成します。
一般的な工程表の作成手順は以下の通りです。
- 施工手順の決定
- 施工期間の決定
- 作業完了までに必要な期間の決定
- 各工事の配分の調整
- 工程表の作成
この段階で無理な計画を立ててしまうと、スムーズに工事が進まず、納期やコストに影響がでる可能性があるため、行程の全体を把握しながら慎重に工程表を作成するようにしましょう。
Do(実施)
次の段階では、作成した工程表をもとに工事の指示、監督をします。
計画の段階でどれだけ緻密な計画を立てたとしても、実際に着工しないとわからないことも多くあるでしょう。
工事の課題にいち早く気付くためにも、現場の様子をしっかりと把握しておく必要があります。
また、万が一トラブルが発生したり課題を発見した場合は、きちんと対処した上で、次の「検討」の段階で活用できるよう、記録して問題点を整理しておくと良いです。
加えて、必要な資材や重機の手配も工程管理では行います。
Check(検討)
次に、工事の進捗を確認します。
計画通りに進んでいるか、現状と比較しながらその差異を正確に確認することがここでは重要です。
何か問題が生じた場合には、実施の段階で記録した問題点をもとに、現状の課題を把握し、原因を追究して解決策を練るようにしましょう。
また、天候や資材不足など、工事が遅れる可能性を考慮しながら計画を検討することによって、不測の事態に備えることもここでは必要です。
Action(処理)
最後に行うのが、工程表や工事の問題の改善です。
工程表と実際の工事の進捗にズレが発生した場合、遅れた部分を改善したり、工程表を作成し直したりする必要があります。
改善策を練る際には、先述したように天候の悪化や資材不足などを考慮したり、工事を実施してきたなかで発見した課題を踏まえながら、状況に応じて臨機応変に対応できるようにしましょう。
PDCAサイクルは繰り返し行うことによって、継続的に工程を見直し、改善していくことが重要です。
これらの手順を一度だけでなく、何度も行うことによって、より効率の良い生産的な工事が行えます。
工程管理の方法
工程管理をするためには、いくつか方法があります。
ここではExcelを用いた管理と、工程管理システムを用いた管理について詳しく解説していきます。
Excel
手軽に工程管理ができるのがExcelを利用した工程表の作成です。
関数やマクロを使用することにより、作業の一部自動化が可能です。
また、無料のテンプレートも多くのサイトで配布されているため、コストをかけずに工程管理ができます。
しかし、手作業による入力ミスや、計算ミス、さらには情報漏洩の危険性もあるため、デメリットを考慮しながら使用する必要があります。
工程表の書き方に関する詳しい記事はこちら
工程管理システム
工程管理システムを用いた工程管理の方法も近年主流になりつつあります。
工程管理システムを利用することによって、これまで手作業で行っていた業務を自動化することができます。
またクラウド型のシステムであれば、情報の共有もスムーズに進むため、進捗状況をリアルタイムで把握することも可能です。
様々な業務を一元管理することができるシステムであれば、工程管理や労務費管理などを一元で管理できるため、スムーズな業務が期待できます。
工程管理システム導入による改善事例
工程管理システムを導入することによって、実際に業務は改善されるのでしょうか。
以下では、弊社の提供する「施工管理システム アイピア」の導入による業務改善の事例をご紹介します。
CASE01
事例1
案件の状況が一覧で表示されるうえに、工程ごとにブロック分けしてくれます。これならわざわざ口頭で報告したりしなくても「見れば分かる」状態になるので、手間が省けて助かります。
どんな進捗を記録するかは自由に設定できるので、細かな進捗管理も思いのままで使いやすいですね。
引用元:『アイピア』設計 導入事例インタビュー
クラウド型の施行管理システムである『アイピア』では、工程表をリアルタイムで共有することが可能であるため、スムーズな進捗管理ができます。
CASE02
事例2
案件の進捗が今どの段階にいるのか、次に何をすべきなのか分かりやすい。
ベロシティ管理機能も便利です。
引用元:『アイピア』IT 導入事例インタビュー
︙
これを通じて「2時間の会議にどれくらいコストがかかっているのか?」など普段何気なくやっていることにもコスト意識を持つことができるようになりました。まさに業務改善!って感じですよね。
『アイピア』では、工程管理の他にも顧客管理や原価管理など社内の情報を一元管理することができます。
一元管理が可能なシステムであれば、このように日々の業務の課題も見直すことが可能です。
CASE03
事例3
これまで担当者1人に任せていると失注していたような案件でも、リアルタイムで営業マンや現場のフォローが出来るようになったことで受注に繋がるようになりました。
様々な情報がしっかり残せるので、あとから振り返る時にも具体的な対策を立てられるようになります。これを通じて、契約率だけでなくも高められつつあります!
引用元:『アイピア』新築 導入事例インタビュー
工程管理システムでは、過去のデータとの比較も容易にできるため、情報を蓄積させるほど、より生産性の高い業務を行うことができます。
【2026年版】工程管理で活用される最新技術
建設業ではDXの推進により、工程管理の方法も大きく変化しています。
従来は紙やExcelによる管理が一般的でしたが、現在ではクラウドやAIを活用した施工管理システムを導入する企業が増えています。
これにより、現場と事務所がリアルタイムで情報を共有できるようになり、工程遅延の早期発見や迅速な意思決定が可能になっています。
- クラウドによる工程表の共有
- スマートフォンから進捗報告
- 工事写真との連携
- 原価管理との一元管理
- AIを活用した工程予測・分析
- BIM/CIMとの連携
このように工程管理は、単なるスケジュール管理ではなく、現場全体を見える化し、生産性を向上させる仕組みへと進化しています。
工程管理でよくある課題
工程管理は工期の遵守や品質の確保、生産性向上に欠かせない業務ですが、実際の建設現場ではさまざまな課題が発生します。
天候や資材の納期変更など外部要因による工程変更だけでなく、情報共有の遅れや管理の属人化などが原因で、工事全体に影響を及ぼすケースも少なくありません。
ここでは、工程管理でよくある課題と、その原因についてご紹介します。
工程変更が頻繁に発生する
天候や追加工事、資材の納期変更などにより、建設現場では工程変更が発生することは珍しくありません。
変更内容を関係者へ迅速に共有できないと、工期全体へ影響を及ぼす可能性があります。
情報共有に時間がかかる
紙やExcelのみで管理している場合、最新版の工程表が現場へ共有されず、認識の違いが生じることがあります。
属人化しやすい
担当者だけが工程を把握している状態では、休暇や異動、退職時の引き継ぎが難しくなります。
複数現場の管理が難しい
複数の現場を同時に管理する場合、人員配置や工程調整が複雑になり、管理者の負担が増加します。
工程管理に関するよくある質問
ここからは工程管理に関するよくある質問をご紹介します。
工程管理とは簡単にいうと?
工程管理とは、工事を予定どおりに進めるために、作業順序や人員配置、資材、日程などを管理する業務です。
工程管理と施工管理の違いは?
施工管理は品質・原価・工程・安全の4つを管理する業務全体を指します。工程管理はその中で、工期や作業スケジュールを管理する業務です。
Excelでも工程管理はできますか?
小規模な現場であればExcelでも管理できますが、複数現場や担当者が増えると情報共有や更新管理が煩雑になるため、クラウド型施工管理システムの活用も有効です。
工程管理システムを導入するメリットは?
工程表や進捗状況をリアルタイムで共有できるほか、工事写真や原価管理なども一元管理でき、業務効率化や情報共有の迅速化につながります。
工程管理なら『建築業向け管理システム アイピア』
まとめ
工程管理は、工期を守るだけでなく、品質の維持やコスト削減、生産性向上を実現するために欠かせない業務です。
近年は、人手不足や働き方改革への対応、建設DXの推進により、クラウド型施工管理システムを活用したリアルタイムな工程管理が広がっています。
工程管理の方法を見直し、自社に合ったツールや運用方法を取り入れることで、現場全体の業務効率化と利益向上につなげましょう。









