建設業はマンパワーが重要となる業界です。
少子高齢化で人手不足が深刻化する中、業務効率化を図ることや職場環境の改善を図って働きやすい環境づくりが求められています。
課題を解決するために、建設業でも推進していきたいITの活用による業務改善とはどういうものなのか、プロセスや事例を解説していきます。
業務改善とは
業務改善とは、現在の業務プロセスを見直し、業務効率化を図ることです。
業務のスピードアップやより少ない人材で業務ができるようにするなど、無駄を省き、生産性を上げることにつながります。
建設業はマンパワーが重要となる業種です。
少子高齢化で人手が不足すれば、業務が回らなくなることが懸念されます。
一方で、現場作業に加えて事務作業も行うなど業務負担が大きく、離職者や応募者が増えないのがネックです。
業務改善により、人手不足の解消を図り、働きやすい職場を整え、有能な人材の定着を図ることが期待できます。
業務改善に関する記事はこちら
ITを活用した業務改善
少子高齢化による人手不足の中、進歩を続けるITを活用した業務改善が注目を集めています。
人による業務分担が難しくなる中、ITを活用することで、これまで人が行っていた業務を代替させることやスピードアップが図れるなど、より少人数でも業務が進められるようになります。
ITツールを利用した業務改善の進め方
では、ITツールを利用して業務改善を行うにはどのようにすれば良いのか、進め方を見ていきましょう。
CHECK01
業務の全体を把握する
どんなITを導入するかからスタートするのではなく、まずは現在の業務を把握しなくてはなりません。
どんな業務を、どのような流れで行っているのか、どのくらいの時間がかかっているのかなどを検証します。
どのような立場の人が何名で行っているのか、業務の現状を把握しましょう。
CHECK02
業務上の課題を明確化
残業が毎日のように発生している、人数が足りない、ヒューマンエラーが多い、専門資格や経験を活かせていないなど、現在の業務上の課題を明確化しましょう。
業務に携わっている人や人数、一つひとつのプロセスや所要時間、よくあるトラブルなどを分析し、課題を明確化します。
CHECK03
課題解決のためのツール・システムの検討
課題解決のために、どのようなITツールやシステムが役立つか検討しましょう。
資料の取り寄せやデモンストレーション、お試し版の利用、見積もりの比較やサポート体制などの検討を行い、課題の解決ができる自社に合ったITツール・システムを決定します。
CHECK04
導入・運用
ITツール・システムは便利ですが、使いこなせないと課題の解決には結びつきません。
マニュアルの作成や配布、研修などを通じて浸透を図ります。
実際に課題の解決が図られ、業務改善ができたかの検証も必要です。
ITを通じた業務改善の事例
ITを通じた業務改善の事例として、RPAの活用、AIの導入、クラウドサービスの利用、IoTの活用が挙げられます。
それぞれの事例を見ていきましょう。
RPA
RPAは、ソフトウェアロボットにより業務自動化を図るものです。
定型的なルーティン業務などの手順を設定することで自動化できます。
自動化により、その作業を行っていた人員が不要となり、別の業務を担当させることが可能です。
たとえば、建設業において、とある企業で毎日行っていた公共事業の検索業務の自動化を図った事例があります。
それまでは、官公庁を中心に入札情報を集め、自社に合った案件がないかを確認して応募をする作業を行っていました。
RPAを導入し、公募情報と公告文書ファイルの取得を自動化したところ、情報の収集にかけていた時間をカットすることにつながったのです。
スタッフの検索、調査の時間が減らせ、自社に合った案件をスムーズに取捨選択する業務に集中できるようになりました。
AI
AIは、人工知能を用い判断や判定、質疑応答などができます。
学習を通じて、どんどんできることが増えていくIT技術です。
たとえば、建設業における事例では、高層建物の外壁調査の結果をAIに自動判定させているケースがあります。
ドローンで高層建物の外壁を撮影し、その赤外線画像をAIが判定し、外壁タイルの浮きをチェックします。
多くの事例を学習したAIにより、高精度で高品質な自動判定が可能となりました。
人による判定の場合、経験やノウハウの差で判定結果に違いが出るおそれもあります。
AIの導入で判定の安定性や省人化、調査期間の短縮につながりました。
クラウドサービス
クラウドサービスはインターネットを通じて提供される、業務システムのことです。
建設業向けのクラウドサービスもさまざま登場しています。
たとえば、現場から職場に帰らなくても、スマホやタブレットで日報を作成して送れることや施工管理者が事務所にいながら、現場の様子をリアルタイムで画像や映像で確認できるといったサービスです。
移動時間の短縮や残業の軽減にも役立ちます。
IoT
IoTとは、インターネットとモノをつないで連携性を高めることです。
たとえば、建設業においては、工事現場にWebカメラを設置し、1つの拠点から複数の現場のリアルタイムの様子を把握できるようにしました。
複数の現場を監督している現場監督の移動時間の手間を減らし、巡回しなくても日々の業務の様子や進捗、問題などの把握が可能となります。
ITによる業務改善でのポイント
ITによる業務改善を推進するためのポイントは、ツールの基礎的な知識を持つこと、活用するための工夫を考えることが必要です。
それぞれのポイントについて確認していきましょう。
ツールの基礎的な知識を持つ
せっかく便利なツールを導入しても、活用できないのでは意味がありません。
ツールを用いて業務時間を短縮したり、移動の手間を減らしたり、人員削減などができるよう、担当者が使いこなせるようにすることが大切です。
わかりやすいマニュアルの作成や配布、研修をはじめ、eラーニングなどを利用して使いこなせる知識を養成しましょう。
ツールやシステムによっては、運営会社が研修セミナーを開催することやマニュアルなどを提供してくれることもあります。
活用するための工夫を考える
現場スタッフの業務軽減や業務効率化のために、すべてのスタッフにスマホを持たせて、アプリを使うように言っても、便利さや快適さがわからないと活用してもらえません。
使い慣れていないものは、かえって面倒だからと放置される可能性もあります。
業務連絡をスマホアプリで行う、日報の提出をスマホアプリで行ってもらうなど、日常業務の簡単なところから徐々に浸透させていくことも大切です。
業務改善システムに関する記事はこちら
業務改善するなら建設業向けシステム「アイピア」
まとめ
業務改善とは、現在の業務プロセスを見直し、業務のスピードアップやより少ない人材で回せるようにするなど業務効率化を図ることです。
少子高齢化による人手不足とIT技術の進歩に伴い、ITを活用した業務改善が注目を集めています。
ITツールを利用した業務改善の進め方の流れは、業務の全体を把握する→業務上の課題を明確化→課題解決のためのツール・システムの検討→導入・運用です。
ITを通じた業務改善の事例として、RPAの活用、AIの導入、クラウドサービスの利用、IoTの活用などが挙げられます。
ITによる業務改善でのポイントは、ツールの基礎的な知識を持つこと、活用するための工夫を考えることです。