見積もりにおける類推法とは?使う際のポイントを解説

見積もりにおける類推法とは?使う際のポイントを解説

皆さんは見積もりを行う時にどのような方法を採用しているでしょうか。
中には、自分が採用している方法についてよくわからないまま見積もりを作っているという方もいるかもしれません。
そういう方にとっては、今採用している方法の特徴について詳しくなると、これまで以上にクオリティの高い見積もりがしやすくなるでしょう。
今回は、類推法について、ほかの方法と比較しながら解説していきます。

類推法とは

類推法は、これまでの経験をもとに、この規模の工事ならこのくらいの値段で済むだろうと推測していく見積方法です。
トップダウン法という名前のほうが馴染がある方もいるかもしれません。

3つの基本的な技法の一つ

おそらく多くの人が見積もりの際に利用しているのは類推法ではないでしょうか。
類推法は直感的で使いやすい方法なので、まずはこれで見積もりを始めたという人も少なくないでしょう。

しかし、見積もりの際に採用する技法は類推法に限りません。
ほかの方法をいまさら覚えるのは大変という方もいるでしょうが、今やっている方法以外にも見積もりのやり方はあると学ぶだけでも有意義です。
ここからは、積み上げ法パラメトリックス法について解説していきましょう。

積み上げ法

積み上げ法は、その名の通り一つひとつの行程にかかる価格を積み上げながら全体の金額を導き出していく方法です。

積み上げ法のメリットは、工程ごとに価格を算出できるため、確実な見積もりがしやすいというところにあるでしょう。
もっとも、類推法に比べると時間がかかるというデメリットは否めません。
また、大規模な工事の見積もりにあたっては積み上げ法は有効ですが、そもそも行程が少ない小規模な工事にはあまり向きません。

パラメトリックス法

パラメトリックス法は、数式を使いながら見積金額を算出していく方法です。

類推法や積み上げ法は簡単な数式しか用いない分楽ではありますが、正確性には劣ります。
それに対して、パラメトリックス法は厳密に金額を算出していくので、見積金額と最終的な工事金額がズレる危険性がありません。
このようなメリットを有するパラメトリックス法ではありますが、こうした数式を使いこなせるようになるには時間がかかります。

類推法を行う際のポイント

類推法は、わかりやすく見積もるので、初心者にとってやりやすい方法とされています。
とはいえ、いくつかのポイントに気を付けないとクオリティの高い見積もりはできません。
以下では2つのポイントについて解説していきましょう。

過去の事例との類似性をよく確認する

類推法が頼りにするのは過去の事例です。
そのため、現在行っている見積もりが過去の事例と似たところがあるかをあらかじめ確認しなくてはいけません。
わかりやすく言うと、2階建ての建物の見積もりをしたいけど、今まで3階建ての建物しか工事したことがないというのでは、そもそも類推法は成り立ちません。
このように、今回引き受けた見積もりと過去の事例を照らし合わせながら見積もりするのが重要です。

正確かつ詳細なデータを蓄積する

類推法は、しばしば勘に頼ったところがある方法だと評されることがあります。
とはいえ、完全にあてずっぽうで見積もりをしていくわけではありません。
実際に類推法をやるうえではデータが欠かせなくなります。

たとえば、この面積の土台を作るという見積もりをしたい時は、それに近しい面積の土台を作った時のデータを持ってきて推測しなければいけません。
逆に、データがなければ完全なるあてずっぽうになってしまい、正確な見積もりは成し得ないでしょう。

類推法のメリット・デメリット

先程は積み上げ法やパラメトリックス法のメリットとデメリットを確認しました。
それでは、類推法のメリットとデメリットはどこにあるのでしょうか。

類推法のメリット

類推法のメリットは大まかに言って3つあります。

素早く簡単に見積ができる

類推法は、一つひとつの行程を計算する積み上げ法や入り組んだ数式を駆使するパラメトリックス法と違って難しい手続きは必要としません。
過去の事例と照らし合わせながら、このくらいの値段で収まるだろうと推測するだけです。

もちろん、過去の事例をまとめたデータを保存したり、それを必要な時に取り出したり、といった具合に手間はかかります。
しかしながら、慣れてしまえばこれらの作業はすぐに行えるようになるので、誰でもわかりやすくできる見積方法と言えるでしょう。

案件の詳細が定まっていない初期段階から利用できる

たとえば、積み上げ法は工事の全工程がわかっていないと計算することはできません。
パラメトリックス法も同様です。
これに対して、類推法はたとえ詳細が決まっていなくても、大まかな全体像が決まっていさえすれば、おおよその見積もりを出すことができます。
そのため、担当者からアバウトな見積もりでもいいからお願い、と言われた時に力を発揮しやすいです。

精度が比較的高い

類推法のメリットはわかりやすく簡単、というところにありますが、正確さにも秀でています。
もちろん、厳密な見積もりを行うにあたっては積み上げ法やパラメトリックス法には劣ります。
とはいえ、過去の事例を駆使しながら見積もりするのですから、大幅な誤差は生じません。

類推法のデメリット

次に類推法のデメリットについて見ていきましょう。

過去に類似事例がないと利用できない

類推法は、類似事例ありきの作業です。
では、類似事例がない時はどうすればいいのでしょうか。
これに関しては、積み上げ法やパラメトリックス法を頼るしかないです。

特殊で複雑なプロジェクトには向かない

類推法は、大まかな全体像を捉えるのは得意ですが、細かな見積もりには向きません。
そのため、複雑な工程が必要な工事の時に使うには不向きです。

担当者の経験や知識に左右される

類推法は、経験則によるところが大きい見積方法です。
そのため、長年見積もりに携わってきた担当者ほど正確な見積もりが出しやすくなります。
一方で、そういった担当者が仕事から離れ、新たな担当者が就任した時は時間をかけて仕事に慣れてもらう必要があります。

見積書も書ける『建築業向け施工管理システム アイピア』

建築業向け(リフォーム・工務店)管理システム アイピア

アイピアは建築業に特化した一元管理システムであり、顧客情報、見積情報、原価情報、発注情報など工事に関する情報を一括で管理できるため、情報集約の手間が削減されます。
さらに、アイピアはクラウドシステム。外出先からでも作成・変更・確認ができます。

まとめ

今回は類推法をはじめとしたいろいろな技法について見てきました。
類推法は、確かに素早い見積もりが可能なので、一見するとこれだけでも十分なようにも見えます。
とはいえ、時には類推法が役に立たないケースもあります。
そんな時に慌てなくてもいいように、事前にさまざまな見積方法について学習しておくのが望ましいでしょう。
それぞれのメリットやデメリットを踏まえながら、適切な方法を採用できるようになると、より正確な見積もりができるようになるはずです。

執筆者情報

関連記事

  1. 労働配分率とは?概要や企業への影響をご説明

    労働配分率とは?概要や企業への影響をご説明

  2. 土木工事とは?具体的な種類や役立つ資格について解説!

    土木工事とは?具体的な種類や役立つ資格について解説!

  3. 【2023年度】建築積算士とは?業務内容・試験概要をご紹介

    【2023年度】建築積算士とは?業務内容・試験概要をご紹介

  4. 内装施工管理とは?仕事内容や資格について解説

    内装施工管理とは?仕事内容や資格について解説

  5. 見積書の予備費とは何?予備費の役割や注意点

    見積書の予備費とは何?予備費の役割や注意点

  6. IT・DX2022.12.13 【建築業】領収書をメールで送るには?方法やポイントを解説

    【建築業】領収書をメールで送るには?方法やポイントを解説