就職や転職で営業職として働くようになると、営業日報を書くように言われることもあるでしょう。
しかし、実際に書類に向かってみると、何を書いて良いのかわからないという人や効率的な作業が難しくて作業を終えるまでかなりの時間を要してしまったといった人も多いようです。
そこで、ここでは『営業日報の効率的な書き方』や『営業日報を作成する目的・メリット』などをまとめました。
目次
営業日報とは
営業日報とは、その日1日の営業活動の内容や進捗情報、反省点や改善点、連絡事項などを記録した報告書類の一つです。
営業日報といえば、以前は紙面で作成することやPCで作成した文章をメールに添付するという方法が一般的でしたが、最近はエクセルやGoogleスプレッドシートで作成した営業日報をLINEなどのチャットツールで共有するという企業が多くなっています。
比較的規模の大きな企業ではクラウド型の営業日報ツールを利用しているケースも見られるなど、営業日報の作成方法やフォーマットは各企業によってさまざまです。
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営業日報を作成する目的
営業日報がうまく書けない人の中には、何も考えずにただ漠然と書類を作成しているだけのケースが目立ちます。
これでは作成に時間がかかってしまいますし、内容も伝わりません。
同様に、受け手である上司の中にも目的を理解していない人が多く、せっかく営業日報を作成しても組織として有効に活用できていないケースが多く見受けられます。
作成する営業担当社も受け取る上司も、ともに営業日報を作成する目的をしっかりと理解することで、業務の効率化やレベル向上を目指すことができるでしょう。
受け手側(上司・マネージャー)の目的
受け手である上司やマネージャーの目的は、部下がその日にどのような業務をこなし、その結果としていかなる成果を上げたのかについて知ることにあります。 部下それぞれの個別の情報を知ることは仕事に対する適切な評価につながりますし、何か壁にぶつかっていて成果が出ていないと感じれば必要に応じてアドバイスやフォローを行うことができます。
また、組織全体の情報を俯瞰で見ることによって仕事の進捗状況やクライアントの傾向、組織として抱えている問題点などを正確に理解することができれば、営業部門として取るべき戦略が明らかになりますし、情報を共有することで一体感も生まれるでしょう。
書き手側(営業担当者)の目的
営業日報を作成する側の目的は、その日の営業活動を正しく記録することです。 1日に何人のクライアントにアプローチして実際にどれだけの人と会うことができたのか、目標の数字に対してどれだけの成果を上げることができたのかということを記録し、その証拠として上司に報告します。
営業担当者は、営業日報を作成するプロセスで1日の仕事内容を振り返ることができるので、仕事がうまくいけば成功体験としてインプットすることができますし、逆にうまくいかなかったのであれば反省の糧とすることができます。
反省のプロセスで今自分が抱えている課題を明らかにすることができれば、それを克服することでワンランク上の営業マンを目指すことができるでしょう。
また、営業活動の中で疑問に思ったことや不安に感じることなどを報告することで、上司や同僚から指示やアドバイスを仰ぐこともできることも、営業日報を作成する目的の一つです。
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営業日報を作成するメリット
営業日報を作成することにはメリットも多く存在します。
日報を作成することで営業活動に大切なPDCAをより意識することができますし、上司や同僚とより密なコミュニケーションを取ることにもつながります。
また、営業部門全体で活用できるノウハウやナレッジの蓄積にも有効です。
この3つのメリットについて以下でより詳しく見ていきましょう。
PDCAサイクルの意識化
PDCAとは『Plan(計画)』『Do(実行)』『Check(評価)』『Action(改善)』の頭文字から取った造語で、これらの4つの要素を一つのサイクルとして実行することが『PDCAサイクル』です。
業務に対してはまず目標を設定し、その目的を達成するためにどのような計画が必要か考えるのがまず最初のステップです。
次にその計画にもとづいて業務を実行したら、1日の業務がどの程度成果に結びついたのかを評価します。
そして問題や課題が見つかれば業務の改善を行い、新しい計画へと反映させるというのが『PDCAサイクル』の意味です。
営業日報に記載する内容はまさにこのPDCAに関することであり、日常的にPDCAサイクルを意識化することができるようになるのが営業日報を作成することのメリットの一つです。
密なコミュニケーション
近年はインサイドセールスに比重を置く企業も増えてきましたが、基本的に営業の仕事というのは新しいクライアントの開拓や既存のクライアントの訪問など社外の活動がメインです。
そのため、ほかの部署と比較すると社内で上司や同僚と顔を合わせる時間が少なく、密なコミュニケーションを取りづらい環境にあります。
このようなコミュニケーション不足を解消するツールとして活用できるのも営業日報を作成するメリットと言えるでしょう。
営業日報がなければ、上司は部下が今日1日どのような業務を行っていたかを正確に把握することができません。
中にはそれを良いことに仕事をサボって遊び呆けている社員がいるかもしれません。
しかし、日報があることで1日の稼働状況が明らかになれば、仕事の成果や進捗状況なども理解することができます。
また、成果の出ていない社員がいればアドバイスをするなど、上司と部下の間でコミュニケーションを取る機会も自然と増えていくでしょう。
情報の蓄積が可能
数ヶ月、数年と営業日報に書き込まれてきた内容は、立派なデータベースとして活用することができます。
業務上で困難に出くわした時に、過去に同じような困難を克服した成功事例があるならば参考にすることができるでしょう。
このように、情報を蓄積することによって営業活動を効率化できるのも大きなメリットです。
また、営業部門に新しい人材が入ってきた時や退職や異動などに伴う引き継ぎが必要な時なども、営業日報によるノウハウやナレッジの蓄積があればスムーズに業務を進めることができます。
営業日報の記載項目
営業日報のフォーマットは企業によって少しずつ違いますが、基本的には次の6つのポイントを押さえておくと良いでしょう。
営業目標
個人的な目標や部署全体のビジョンなどから逆算して、今日1日の目標や達成したい成果などを書きます。
この時に大切なのは、『10人からアポイントを取る』『3件契約を取る』というように、具体的な数値を用いることです。
営業日報は書いた本人だけでなく上司なども見るので、誰が見てもわかるように定量的な表現を使うようにします。
業務内容
今日1日、実際にどのような営業活動を行ったのかを詳しく記載します。
記載漏れがないように、一つの業務が終わったらその都度記録すると良いでしょう。
文章はできる限り短くシンプルに書くことを心がけると読む方も読みやすくなります。
タイムスケジュール
誰とどのくらいの時間面接をしたのかがわかるように、それぞれの業務についてタイムスケジュールを記載しておくことも大切です。
所要時間と成果を見比べることや移動などに使う時間を見返すことで業務の効率化を図ることができます。
成果
当日の業務の進捗状況や成果も忘れずに記載します。
この時も『売上 ○○万円』といったように数値などを使って第三者にもわかりやすく書くのがポイントです。
反省点
営業の仕事はいつもうまくいくとは限りません。
日によっては目標が達成できずに反省ばかりということもあるでしょう。
その日の営業活動がうまくいかなかったのであれば、なぜダメだったのかを振り返って反省し、どのような改善点があるのか、ステップアップのためには何が必要なのかといった自分なりの考えを盛り込むようにすると良いでしょう。
上司からアドバイスをもらえるかもしれません。
明日の目標
最後に今日1日の営業活動を通じて得られたものや反省などを明日の業務どう活かすのか、明日の目標も書きます。
今日の成果を続けるためにも、失敗を無駄にしないためにも、明日の目標を明確にすることはとても大切なことです。
営業日報作成時のポイント
営業日報は単なる営業活動の記録ではなく、データベースとして活用することで業務の改善にもつながる重要な書類です。
しっかりとポイントを押さえたうえで作成しないと形骸化して有益な活用ができなくなってしまいます。
営業日報を単なる記録書類としないためにも次のようなポイントを意識して作成しましょう。
簡潔に、読みやすく
営業日報は読みやすさが重要です。
同じ内容を書くにしても長文でぐだぐだと書くのではなく、できる限り短い文章で簡潔に、要点だけを伝えるように心がけましょう。
そうすることで読む側の負担も減りますし、内容を理解しやすくなるので、より業務の効率化や改善に活かしやすくなります。
客観的に記載
営業日報には反省点のように自分なりの考えを盛り込んでも問題ない箇所もありますが、基本的には客観的な観点から事実にもとづいた記載をしなければなりません。
客観的な視点が欠如してしまうと業務に対する正当な評価が難しくなってしまいますし、組織として日報の内容を採用しにくくなってしまいます。
PDCAサイクルを意識
先程も触れましたが、営業日報は基本的にPDCAを文章化することです。 目標達成に向けて計画を練って実行に移し、問題点があれば改善してより良い営業活動につなげることが目的となるため、PDCAサイクルを意識して作成することがとても重要になります。
営業日報の作成ツール
営業日報を作成する目的は業務の効率化です。
そのためには、営業日報の記入時間はできるだけ短時間で済ませるべきですし、過去の日報をデータ化して手軽に参照できることが求められます。
こういった理由から、営業日報の作成には作成ツールを利用するのがおすすめです。
エクセル
営業日報をエクセルで作成している会社も多いでしょう。
自社で作成したテンプレートを使うことや業者の作成したテンプレートをダウンロードして使用することで、営業日報を効率的に作成することが可能です。
ただし、エクセルだとデータ連携などに不便を感じることも多く、せっかくのデータを最大限に活用するのは難しくなってしまいます。
営業日報アプリ・システム
最近はSFA(営業支援システム)ツールの一つの機能として、営業日報の作成アプリがシステムに内包されています。
こういったツールはスマホさえあれば出先から簡単に入力することができますし、データ連携もシームレスで非常に便利です。
日報アプリに関する記事はこちら
営業日報も書ける『建築業向け管理システム アイピア』
まとめ
営業日報を作成する目的は、上司が部下の営業活動を正しく把握すること、そして営業担当者が業務を顧みることでスキルやノウハウといった情報を社内で共有することです。
また、PDCAサイクルを意識することで業務の効率化につながることや社内でのコミュニケーション不足を解消するといったメリットもあります。
しかし、その一方で日報の作成は煩雑な作業であり、多くの時間や手間が取られてしまうというデメリットもあります。 こういったデメリットを解消したいならSFAツールの日報アプリを検討するのも一つの方法です。 作業を大幅に効率化できます。