工事が完了した際に提出を求められるのが工事完了報告書です。
工事完了を示すための重要な書類ですが、作成の際に注意すべき点がいくつかあります。
この記事では、工事完了報告書について、その書き方や注意点についてご説明していきます。
不備のない工事完了報告書を作成するために、ぜひ参考にしてみてください。
工事完了報告書とは
工事完了報告書とは、工事が完了した際に、工事を請け負った下請業者が元請業者にその旨を報告するために提出する書類です。
工事完了報告書を作成することによって、契約通りに工事が行われたことを報告することができます。
さらに、工事完了報告書は固定資産の資産計上をする際に、その時期の根拠となる役割があります。
万が一、資材の不正使用やその他の不正が発覚し、裁判に発展した場合には、証拠物として認められる場合もあります。
このように、工事完了報告書は、単に工事の完了を報告する以外にも重要な役割を担っています。
そのため、必要事項をしっかりと記入し、間違いなく作成する必要があります。
以下で工事完了報告書の書き方について、詳しくご説明していきます。
工事完了報告書の書き方
工事完了報告書には、元請業者からの指定がある場合を除いて、決まったフォーマットはありません。
ですが、必須の記入項目はどのフォーマットにおいても同じですので、漏れなく記入する必要があります。
POINT01
工期
工事が行われた期間を記載します。
複数日にわたって行われた場合には、着工日と完了日をそれぞれ記載し、どの期間に工事が行われたのか分かるようにします。
POINT02
請負金額
契約の際に定めた請負金額を記載します。
元請業者と認識の齟齬が生じていた場合、トラブルに発展しかねないため、請負契約書をきちんと結んでおくようにしましょう。
書類に材料費の内訳の記載欄が無い場合には、購入時の領収書や納品書などのコピーを貼付しておきます。
金額の記載に関しては、トラブルの要因になる場合が多いため、後ほどさらに詳しく解説します。
工事請負契約書に関する詳しい記事はこちら
POINT03
工事現場名・工事場所
工事の依頼書などに記載されている、工事現場の邸名やビル名、店舗名の正式名称を記入します。
加えて、その現場の住所も記載するようにしましょう。
新築物件のために番地が定まっていない場合は、「~地内」としておきます。
修繕工事やリフォーム工事など、具体的に工事した部分が特定できる場合には、どこを工事したのか詳しく分かるように書きます。
POINT04
工事業者の印鑑・担当者名
工事業者名、工事を行った担当者名を記載し、担当者印を押印します。
現場の管理者が複数人いる場合には、現場責任者の名前を記入します。
印鑑は、法人であれば横判と角印、個人事業主であれば会社名と認印が必要です。
POINT05
工事完了写真
元請業者によっては、工事完了写真も同時に提出を求められることがあります。
工事完了写真は、工事完了報告書と共に、工事がしっかりと行われたことの証明ができます。
また、修繕工事や改修工事の場合には、工事前と後の様子が分かるように、工事前・工事後の写真をそれぞれ用意しておく必要があります。
提出が求められる写真は元請業者によって異なるため、事前に確認をとっておくようにしましょう。
工事完了報告書作成ツール
工事完了報告書の作成方法には、元請業者による専用書式を用いる方法と、市販の報告書に手書きで記入する方法、ワードやエクセルの利用、管理システムでの作成などさまざまな作成方法があります。
ここではエクセルと管理システムに着目し、その作成方法についてご紹介していきます。
エクセル
エクセルを使用した工事完了報告書の作成では、計算式を用いることにより、手書きやワードよりも早く、正確な書類の作成が可能です。
多くのサイトで無料のテンプレートが配布されているため、コストをかけずに綺麗で分かりやすい工事完了報告書ができます。
しかし、データの入力は基本的に手作業のため、入力ミスが起こりやすい点は考慮しておきましょう。
また、リアルタイムでの共有が難しい点もデメリットとして挙げられます。
工事完了報告書エクセルテンプレートはこちら
管理システム
管理システムを利用することで、簡単に工事完了報告書を作成、印刷することができます。
エクセルと違い、あらかじめ登録された案件情報をもとに自動で作成できるため、入力ミスの心配もなく簡単に報告書が作成できます。
他のツールで作成した場合よりも大幅に作業時間を短縮できるのもメリットです。
また、クラウド型の管理システムであれば、リアルタイムでの情報の共有が可能なため、更新された情報を素早く他の従業員にも知らせることができます。
作成時に注意すべきこと
工事完了報告書の作成にあたって、いくつか注意すべき点があります。
ここでは、記載の際の注意点と、その他の注意点に分けてご説明します。
記入の際に注意する項目
工事完了報告書の必須項目は先述の通りですが、とりわけ費用、材料費、工事現場写真には記載の際に注意が必要です。
以下で詳しくご説明していきます。
CHECK!
費用
工事完了報告書では、費用は工事にかかった人件費は含まないことを留意しておきましょう。
ここでの費用欄は、遠方での工事の際にその交通費を請求するために用いられます。
なので、ガソリン代金の領収書、有料道路を使用した際の領収書や明細を提出できるようにしておきます。
領収書がなかった場合は交通費の申請ができないこともあるため、領収書の管理は忘れずにしっかりと行う必要があります。
ただし、申請できるのは別途交通費が支給されるという契約内容であった場合のみです。
この点も契約時に確認しておくと良いでしょう。
CHECK!
材料費明細
材料費とは、工事に必要な材料を仕入れた際に発生する費用を指しますが、これは基本的に工事業者自らが仕入れます。
前もって指定された材料や商品は、既に用意されていることもありますが、それ以外の材料や機械、道具などは購入する必要があります。
そうした場合にも、領収書や納品書を必ず発行してもらい、工事完了報告書提出の際に一緒に提出できるように、きちんと保管しておきましょう。
CHECK!
工事現場写真
一口に工事現場写真と言っても、工事完了後の写真のみの提出なのか、工事前の写真も含めるのか、元請業者によって求められる現場写真は異なります。
そのため、工事完了報告書と一緒に工事現場写真の提出も求められた場合には、工事前の写真も必要か、工事中の写真も必要か、確認をとり明確にしておきましょう。
特に修繕工事や改修工事の際には、修繕・改修した具体的な部分が分かるように工事の前後の両方の写真をとっておくと良いでしょう。
工事写真に関する詳しい記事はこちら
その他の注意点
上記で上げた項目の他にも、注意する点はいくつかあります。
ここでは、提出期限と保存期間に関してご説明します。
CHECK!
提出期限
提出期限が守られないと業者への信用問題に関わるため、提出期限は元請業者に確認を取り、厳守するようにしましょう。
工事の規模が大きくなるにつれて、工事完了報告書に記載する情報も増えるため、情報はあらかじめ整理しておくと良いです。
また、領収書や納品書など追加で提出する資料や、工事写真の用意などの準備もあらかじめしておくと、提出期限間際に資料の不備を発見することもなくなります。
CHECK!
保存期間
建設業者は、工事に関わる帳簿やその添付書類を5年間保管しなければならないことが原則定められています。
また、元請業者は営業に関わる図書を10年保管しなければならないことが同じく定められています。
どの業者がどのような書類を保存するかによって、建設業法で定められた保存期間も異なってくるため、しっかりと確認するようにしましょう。
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まとめ
工事完了報告書は比較的簡単に作成することのできる書類ですが、工事が完了したことを伝え、後にトラブルが発生した際に証拠となる、重要な書類でもあります。
添付書類も必要な場合が多いため、領収書や資料はその都度きちんと保管するようにしましょう。
また、管理システムを用いることによってワンクリックで簡単に報告書の作成をすることができます。
業務を効率化させるためにも、このような管理システムの導入を検討してみるのも良いのではないでしょうか。
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