施工管理技士は、建設業においては、経営者にとってもキャリアアップを希望する人にとっても注目度の高い資格です。
そこで今回は、施工管理技士とはどのような資格で、何ができるのか解説していきます。
施工管理技士には7種類があるため、それぞれの仕事内容についてもご紹介します。
施工管理技士になるにはどうすれば良いのか、施工管理技士になることのメリットもご案内しますので参考にしてください。
目次
施工管理技士とは
施工管理技士は施工計画の作成から竣工、引き渡しまで、技術的責任者として工程管理、品質管理、安全管理など工事現場を管理する役割を果たします。
建設工事の全工程にわたって管理能力を発揮できる専門家であるため、単なる知識を持っているだけ、技術を有しているだけでは足りません。
資格を得るには豊富な現場経験が求められます。
一般建設業や特定建設業の許可を得るには、営業所ごとに専任の技術者の設置が必要です。
また、建設工事の現場には主任技術者や監理技術者を置かなくてはなりません。
施工管理技士の有資格者は、いずれの技術者としても認められるので、建設業を営む事業者にとっては欠かせない人材です。
また、経営事項審査における技術力の評価において、計上する技術者数にカウントされるのも、企業においては大きなメリットです。
施工管理技士には1級、2級と各級の一次試験のみに合格している施工管理技士補に分類されます。
それぞれの特徴を確認しておきましょう。
1級施工管理技士ができること
1級施工管理技士は、一般建設業の営業所で設置が求められる専任の技術者として認められます。
各現場に配置される主任技術者として認められます。
また、特定建設業の営業所で設置が求められる専任の技術者、各現場に配置しなくてはならない監理技術者にもなることが可能です。
なお、特定建設業とは大規模な元請け業者となるケースです。
下請業者に発注する下請工事の合計額が1工事あたり4,000万円以上となるなど、下請代金が高額になる場合に特定建設業の許可を得なくてはなりません。
2級施工管理技士ができること
2級施工管理技士は、一般建設業の営業所で設置が求められる専任の技術者になることが可能です。
また、一般建設業各現場に配置される主任技術者としても活躍できます。
2級では、下請金額が高額になる特定建設業の技術者としては認められません。
施工管理技士補とは
施工管理技士の試験は、1級、2級ともに第一次検定と第二次検定の2段階の検定試験をクリアしなくてはなりません。
第一次検定と第二次検定の2つに合格すれば、1級または2級施工管理技士になれますが、第一次検定に合格した段階で施工管理技士補の資格が与えられます。
2級の第一次検定に限り、実務経験は問わず、17歳以上であれば誰でも受験することが可能です。
そのため、2級施工管理技士補の資格は、建築学科に通う高校生や業界に入ったばかりの新人でも取得できる可能性があります。
施工管理技士の種類
施工管理技士は建設を行ううえで重要となる7つの分野に分かれています。
7つの種類と特徴をご紹介します。
- 建築施工管理技士
戸建て住宅やマンション、ビル、商業施設や公共施設など、さまざまな建物の新築工事や改修工事などを行う際に建築工事の施工管理を行う技術者です。 - 電気工事施工管理技士
変電設備や送電設備、信号や配線、照明などさまざまな電気設備を新たに設置したり、配線工事を行ったり、改修する際に電気工事の施工管理を担います。 - 土木施工管理技士
道路や橋梁、トンネルやダムなどさまざまなインフラ設備を新設することや改修する土木工事の施工管理を行います。 - 管工事施工管理技士
上下水道設備やガス配管、空調設備や冷暖房設備などさまざまな配管設備を新設する際や改修する場合に管工事の施工管理に対応する技術者です。 - 電気通信工事施工管理技士
電話やインターネットをはじめ、防犯カメラや放送設備などのさまざまな通信設備を新設する際や改修工事を行う際に、電気通信工事の施工管理を担います。 - 造園施工管理技士
公園や庭園、遊園地や道路緑化といった造園工事の施工管理を担います。 - 建設機械施工管理技士
ブルドーザーやショベルなおの建設機械を用いる工事において、施工管理を担う技術者です。
施工管理に関連する記事はこちら
施工管理技士になるには?
施工管理技士になるには、資格の種類ごとに国土交通大臣が指定した機関による試験に合格しなくてはなりません。
施工管理技士を受験するには、資格の種類ごとに実務経験が求められます。
実務経験年数、実際に工事現場で工事を行った年数であることが必要です。
建設会社に入社しても、工事現場で実務経験を積まず、営業や事務などオフィスワークでは実務経験には含まれません。
現場経験であれば、1つの会社だけでなく、複数の会社で従事した実務経験年数を通算できます。
1級と2級があり、級ごとに第一次検定と第二次検定があります。
第一次検定は、施工技術の基礎となる知識および能力を有するかを判定するための試験です。
第二次検定は、施工技術のうち実務経験にもとづいた技術上の管理および指導監督に関わる知識や能力を有するかを判別する試験です。
いずれの試験も、マークシート方式と記述方式の筆記試験であり、実技試験ではありません。
ただし、建設機械施工管理技士のみ、第二次検定で実技試験が実施されます。
内容としては、所定のコース内で建設機械を操作、施工する試験です。
施工管理技士の合格率
施工管理技士の合格率は7つの種類ごと、第一次検定か第二次検定で異なりますがおおむね50%前後です。
なお、施工管理技士の合格基準は、第一次検定・第二次検定ともに正答率60%以上とされています。
受験者が点数を競い合い、得点の高い人から一定割合を合格にする仕組みではありません。
一定の正答率をクリアすれば、受験者数にかかわらず合格ができる可能性があります。
施工管理技士資格を取得するメリット
施工管理技士資格を取得するメリットはどんな点でしょうか。
代表的なメリットとして、監理技術者や主任技術者になれること、昇給が期待できること、転職に有利になることが挙げられます。
詳しく確認していきましょう。
監理技術者や主任技術者になれる
建設業法26条では、工事の安全で円滑な施工と正確性を担保するため、建設現場では監理技術者または主任技術者を配置するよう求めています。
監理技術者とは、建設工事の発注者から直接請け負った工事を実施するために4,000万円以上の下請工事、建築一式の場合は6,000万円以上の下請契約を締結する場合、特定建設業の許可とともに、実際の建設現場に配置が求められる技術者です。
主任技術者とは元請けや下請けの別、請負金額を問わず、建設業の許可を受けて建設工事を行う場合に建設現場に配置が求められます。
1級の施工管理技士の資格を取得すると、監理技術者・主任技術者になれます。
2級施工管理技士は監理技術者には慣れませんが、主任技術者になることが可能です。
昇給が期待できる
企業によっては資格手当が交付されることや監理技術者・主任技術者などの現場管理者の仕事に就くことで昇給が期待できます。
請負金額が3,500万円以上、建築一式の場合は7,000万円以上の建設工事においては、現場に配置する技術者は専任でなければなりません。
規模が大きい工事を同時期に複数請け負いたければ、複数の施工管理技士がいないとなりません。
そのため、建設会社においても、施工管理技士が増えることは好都合であるため、昇給によって資格取得へのモチベーションを高めているケースもあります。
転職に有利になる
施工管理技士の有資格者がいることで特定建設業や一般建設業の許可を得られることや多くの大規模案件を同時受注可能になるなど、経営者によってはメリットが多いです。
さらに、公共工事を受注するための経営事項審査の得点にも加算されます。
公共工事は安定した高額収入の源泉となり、信頼も獲得できるので、獲得したい仕事の一つです。
公共工事を受注するためには、経営事項審査を通過しなければなりません。
経営事項審査の技術力評価において、施工管理技士1人あたり5点が加算されます。
そのため、施工管理技士の資格を有している方が転職してくるのは企業にとってメリットが多いため、転職したい方にとっても採用や待遇の面で有利になります。
資格に関連する記事はこちら
クラウド型見積ソフトなら『建築業向け管理システム アイピア』
まとめ
施工管理技士は一般建設業や特定建設業の許可を得る場合や現場の施工管理者として必要となる資格です。
7種類があり、1級と2級に分かれています。
それぞれ第一次試験、第二次試験に合格することで取得が可能です。
第一次試験のみに合格した段階でも、施工管理技士補の資格が付与されます。
施工管理技士を取得すると、監理技術者や主任技術者になれる、昇給が期待できる、転職に有利になるメリットがあります。