建築物は建てるまでもそれなりの労力を必要としますが、それ以上に建ててからのメンテナンスも大切です。
そのため、最近では建設後のメンテナンスを取り扱う専門の職業も生まれています。
今回は、アフターメンテナンスがどういったことをやるのか、どのような資格が必要なのかを解説していきましょう。
アフターメンテナンスとは
まずはアフターメンテナンスの概略について見ていきましょう。
同じような言葉としてアフターサービスもありますが、それとの違いについても詳しく解説していきます。
アフターサービスとの違い
どちらかというと、一般的にはアフターサービスのほうがよく耳にするのではないでしょうか。
そのため、アフターメンテナンスと聞くとアフターサービスと何が違うのかと疑問に思う人も多くいるはずです。
簡単にいうとアフターサービスは建設後に行われるサービス全般を指しています。
それに対して、アフターメンテナンスはメンテナンス限定です。
たとえば、ここの部分の使い方がわからないという疑問を解消するために相談するのはアフターサービスの範囲内です。
一方で、建てたばかりの建物に不具合が起きた時に修理をするのはアフターメンテナンスと言えるでしょう。
アフターメンテナンスの必要性
かつては、アフターメンテナンスの保証を用意しないまま、家などを引き渡したら後はそれっきりという業者は少なくありませんでした。
とはいえ、一度建てた建築物は劣化していくばかりなため、こまめなメンテナンスが欠かせません。
そんな中で、アフターメンテナンスの保証を用意しておけば、顧客はより建設会社を信頼したうえで建築を依頼できるようになるでしょう。
その意味でもアフターメンテナンスは欠かせません。
もちろん、建設後のメンテナンスは別の業者でも行うことができます。
とはいえ、一番その建物を知っているのは建てた業者でしょう。
この建築物は、どういう風に成り立っているのかを知っている業者がアフターメンテナンスをしてこそ効果的なメンテナンスができます。
アフターメンテナンスに資格は必要?
アフターメンテナンスを専門とする場合、資格は特に必要ではありません。
とはいえ、顧客に信頼してもらうためにもある程度の資格は持っておいたほうが良いでしょう。
具体的に言うと、建築士や施工管理技士の資格を持っておけば、よりクオリティの高い仕事ができるようになるはずです。
また、最近では住宅メンテナンス診断士というメンテナンス専門の資格もできました。
こちらも余裕があったら取得してみると良いでしょう。
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アフターメンテナンスの業務内容
アフターメンテナンスの概略を押さえたところで、次はどのような仕事をするのか見ていきましょう。
定期点検
建物は、大きくなればなるほど不具合が起きやすくなります。
細かな不具合をすぐに見つけるためにも、定期点検は欠かせません。
もちろん、建物の持ち主にもこういった点検はできるでしょう。 しかしながら、素人の目ではなかなか見つけづらい不具合もあります。
そのほか、屋根や排水溝などといった危険な場所の点検を専門家がやるのはリスキーです。
こういった詳細な定期点検は、アフターメンテナンスがやるべき仕事と言えるでしょう。
クレーム対応
はじめは納得のうえで建築物を引き渡されても、実際に住んでみると不満が出てくることは珍しくありません。
実際、建設業者には一度引き渡した後の建築物についてのクレームが頻繁に寄せられます。
本来ならばこういったクレームを処理するのはアフターサービスを担当する人の役目です。
とはいえ、顧客からは修理してもらった箇所について不満があるといったクレームも寄せられてきます。
こういった苦情に対応するのもアフターメンテナンスの役割です。
アフターメンテナンスのポイント
ここまで、アフターメンテナンスとは何をやるのかといったことを説明してきました。
これなら自分にもできるかもしれない、と感じた方もいるかもしれません。
とはいえ、実際にアフターメンテナンスをやるうえではいくらか注意すべきポイントがあるのも事実です。
ここからは、これを押さえておくとアフターメンテナンスの仕事がしやすくなるという点について解説していきます。
メンテナンスの内容を事前に提示
顧客との信頼関係を築くうえでは、自分が今日どういった仕事を行うのかをしっかり伝える作業が欠かせません。
特に通知をしないまま、ただただメンテナンスをしますと言われても、顧客が信頼するのは難しいでしょう。
そのため、顧客の元を訪れる際は具体的にどの箇所をどのようにメンテナンスを行うのかといったことを通知するようにしましょう。
たとえば、屋根のメンテナンスをするなら、屋根に穴が開いていないかなどを点検しますと伝えると、顧客も不信感を抱くことはないです。
定期点検を外部に委託しない
最近では、点検を下請けの業者に任せるところも増えてきています。
確かに、忙しい時はそうせざるを得ない時もあるでしょうが、できればこうした委託はやめるようにしましょう。
下請けの業者は担当する建築物について詳しく知らないまま現場に行かざるを得ません。
となると、質の高いメンテナンスはやりづらくなります。
手厚い保証を用意
建築物は思わぬトラブルに見舞われることが少なくありません。
水回りが故障したり、屋根が壊れたりなど、できればトラブルがあったらすぐメンテナンスしてほしいという顧客は多いでしょう。
そういった顧客を安心させるためにも、保証はできる限り手厚くするに越したことはありません。
万全の体制を整えているとアピールしてこそ顧客の信頼を獲得できます。
顧客とのコミュニケーションを重視する
たとえば、メンテナンスに来た業者が、顧客とのコミュニケーションをあまりせず、一方的にメンテナンスをしたらどう思われるでしょうか。
いかに仕事ができても、いまいち腑に落ちないと感じる顧客のほうが多いでしょう。
こういった事態を防ぐために、顧客とは綿密にやり取りをするようにしましょう。
ここをこうしてほしいといった要望やここはこうできるかなどといった質問などにも逐一応えていくと、顧客は安心して仕事を任せやすくなります。
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建設業向け管理システム アイピア
まとめ
ここまで解説してきた通り、アフターメンテナンスはメンテナンスのみを担当する職業です。
アフターサービスに比べると業務内容が少ないので、簡単にできると考えるかもしれません。
とはいえ、実際にやってみると大変な職業ですから、事前に業務内容を確認したうえで職業に就くかどうかを決めるようにしましょう。