見積書に印鑑の押印は必要?印鑑の種類と使用場面について

見積書に印鑑の押印は必要?印鑑の種類と使用場面について

見積書は、依頼を受けた会社が契約前に作成し、金額や数量などの内容についてお互いに確認するための文書です。

この見積書に印鑑が押印されているケースと押されていないケースが見られますが、本来はどちらが正しいのでしょうか。
見積書の印鑑の必要性について解説いたします。

見積書に印鑑は必要か

見積書に印鑑は、必ずしも必要というわけではありません。

つまり、見積書に印鑑が押印されていても、されていないものでも決して間違いではないのです。

見積書に印鑑を押印する必要があるかどうかについては、特に法律で定められていないため、印鑑がない見積書であっても効力がないといったことはありません。

つまり、取引先からの依頼内容に合わせて見積書を作成するだけで問題ないです。
ただし、先方から要望が合った場合にはしっかりと対応しましょう。

見積書に押印する目的

見積書に押印する目的は、書類に『目を通した』という意味や『承認』を示す証拠を残すことや証明するためのものです。

つまり、印鑑が押されている書類は、信頼度の高い書類と認識されており、重要な書類とされます。

実際に見積書というものは、発注側が見積書を受け取って発注内容を明確化し、さらに会社の稟議にかけて決定するケースが多いです。

この稟議に回す際、仕入先からの見積書に印鑑が押印されていると、しっかりと社内で見積書の内容を承認したうえで発行がされているというイメージを与えることができるため、会社の信頼にもつながることになります。

印鑑の種類と使用場面

このように、印鑑は絶対に必要ではないものの、押印することで会社の信用にもつながるものです。

では、印鑑はどのようなものがあるのでしょうか。
種類や使用場面についてご紹介しましょう

実印

会社を設立する際には、法人登記を行う必要があります。
この法人登記の際、代表取締役の印鑑も登録しなければなりません。

この際に、法務局で登録した印鑑が法人の実印=代表者印です。
また、丸い印鑑であることが多いことから丸印と呼ばれることもあります。

印鑑登録した印鑑は法人の実印として法的な効力を持ちます。
実印を押印することを求められる場合、書類に明記されている内容をリスクも含めて承諾した事実を証明するケースです。

そのため、指定されるケースを除外して一般的に見積書で実印を使用することはありません。

銀行印

銀行印は、銀行などの金融機関で登録した印鑑を指します。
口座開設を解説する場合や預金取引などといったような金融機関で手続きをする際に必要な印鑑です。

一般的に銀行印は、実印と区別をするために実印より一回り小さいサイズで作ると見分けがつきやすいので良いと推奨されています。

認印

認印は、いわゆる実印のように実印として印鑑登録されていない印鑑を指します。

実印や銀行印に比べると認印は日常的に利用する頻度が非常に高い印鑑です。
法人で使われている認印は、角印という四角い形をした印鑑を指しています。

認印は、主に社内の回覧資料やあらゆる申請手続きを行う際に利用されています。

角印

角印は、先ほども説明したように法人の事務において使用されている四角い形をした印鑑です。

見積書や領収書などといった対外的な取引で、会社として発行した事実を証明する用途で使用されています。
重要な書類の作成にあたっては、代表印と合わせて角印が押印されます。

また、一般的に見積書で使用する印鑑は、会社の角印のみ使用するか、会社の角印と担当者の印鑑をあわせて使用することが多いです。

角印が押されていることで会社から承認が得られていることを証明でき、担当者の印鑑によって誰が作成した書類かを明確にできます。

ただし、官公庁などの一部の取引先においては、実印を求められる場合があります。
初めて取引を行う取引先に対しては、どの種類の印鑑が有効かについて事前に確認しておくとスムーズな取引が可能です。

ゴム印

ゴム印は、明治時代から使われているスタンプの一つで、スタンプ台を使って押印します。
印材がゴムでできていることからゴム印という名前となったと言われています。

ゴム印は、本店所在地や会社名、代表者名、電話番号などの印鑑ですが、一般的な印鑑として活用するものではなく、手書きを効率化するために利用されるものです。
しかし、ゴム印とはいえ会社が発行したものと扱われるケースもありますので、ある程度の管理は必要になります。

印鑑の法的効力

印鑑は、法律上書面に印鑑が押してあった場合、押印した人の意思で作成されたものと推定され、民事訴訟法第228条第4項にてその法的な効力は規定されています。

『私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印がある時は、真正に成立したものとする』とされ、私文書に印鑑を押印したことで法的な効力を持つことが記されています。

また、電子印鑑とは、PDFファイルなどの電子文書へパソコンやスマートフォンなどから押印できる印鑑データのことを指していますが、電子データの文書や電子印鑑にも法的な効力を持つということも法律に定められています。

これは、2001年に施行された電子署名法第3条において、『本人による電子署名が行われている時は、電磁的記録が真正に成立したものとする』と明記されているためです。

こちらの電子署名とは、国の認定を受けた第三者機関である認証事業者が発行している電子証明書によって本人かどうかが証明されているものを指しています。

電子印鑑のメリット

電子印鑑は、業務の効率化が図れるといった面で大きなメリットとなるでしょう。

文書を紙に印刷する手間がかからず、パソコンで電子データの文書に目を通してそのまま押印することができますし、さらに第三者にメールを送信して文書をスムーズに回覧することが可能になります。

さらには、出張などで社外にいる状況でも電子印鑑を使えば承認を行えることから、稟議や各手続きなどが滞るなどといった心配もありません。

近年ではコロナ禍によりリモートワークも大手企業を中心に増えている中で、押印業務の撤廃にもつなげることができます。

さらに、紙文書として印刷する必要がなくなるため、プリントに使うコピー用紙代やインク代などのコストカットが図れるでしょう。

また、紙文書は書類によって異なる保管期限が定められているものが多く管理が大変ですし、保管場所に困ることもあります。
電子印鑑の活用により、紙文書の印刷が減ることで紙文書の保管場所に困ることがなくなり、保管期限などの文書管理もより楽になります。

電子印鑑の注意点

ただし、電子印鑑を活用するには、どのような文書に対して使用すべきかを社内でよく判断されると良いでしょう。

単に印影を画像化した電子印鑑は重要書類には向いていませんので、利用する場合は社内文書への利用が推奨されています。

もし印影に使用者などの情報を保有する電子印鑑を使えば、なりすましするのは非常に困難になりますので、社内文書だけでなく社外の文書としても利用しやすくなるでしょう。

改ざんリスク

電子印鑑を使用すると、書類を改ざんされたり複製されたりするリスクが高まります。

たとえば、電子印鑑を誰でも簡単に無料でダウンロードできるフリーソフトを使って作成した場合や印影の画像のスキャンなどで作成した場合、印影を誰でも簡単に複製できてしまうことから、不正利用をされる可能性が高いです。

さらに、誰がいつ作成して、押印されたものか判断できないこともあり、本人が押印したことや書類が改ざんされていないことの証明の根拠に乏しくなるため、ビジネスのやり取りとしては多少信頼性を欠くこともあります。

これでは、取引先にも迷惑がかかることになりますので、システムとして電子印鑑を導入するなら、セキュリティ対策が必要です。

コピー防止機能の付いた電子印鑑を使用するなど検討されると良いでしょう。

取引先が電子印鑑を使用しているか

契約前には取引先へ電子印鑑の使用に問題ないかどうか確認して同意を得なければなりません。

取引先が電子印鑑を採用していない企業というケースもありますので、従来の紙書類でのやり取りが求められる可能性があるためです。

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まとめ

いかがでしたか。

見積書には法的には印鑑を押印する必要はありませんが、押印されていることで正式な見積書だという印象を与えることができ、信用が高まる文書になります。

中には企業によって印鑑のない見積書を受け取っていただくことができないこともありますので、取引先から信用を得るためにも見積書への押印をおすすめします。

紙文書の場合は、角印と担当者の印鑑を押印し、電子文書の場合は改ざんされないようにコピー防止機能のある電子印鑑を利用することでリスクを防ぐことができます。

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