建設業で知っておきたい!意外と知らない領収書の取り扱い方

建設業で知っておきたい!意外と知らない領収書の取り扱い方

建設業では1回の取引金額が大きくなる事が多く、 代金を受領した際は基本的に領収書の発行が必要です。

もっとも、近年は決済手段も多様化しており、領収書の発行の仕方で迷うケースも少なくありません。
領収書を発行するケース、記載すべき項目、収入印紙の貼付するケース、保管期限などは頭に入っているでしょうか。
建設業で知っておきたい意外と知らない領収書の取り扱い方について解説していきます。

領収書とは

領収書は代金を受け取ったことを示す証書であり、支払いの相手方に発行します。

法律上、支払者から発行の請求があった場合に発行するとされますが、建築業界では工事代金も大きいことから、多くのケースで請求がなくても、商慣習的に支払っているケースが少なくありません。

レジで会計するといったケースもほぼ想定されないことから、白紙の領収書の束と印鑑を常に持ち歩いている方も多いのではないでしょうか。

レシートとの違い

買い物や食事をした際に会社の経費として精算したい時、レジでレシートに代えて、領収書を要求する方も多いと思います。

勤務してから会社の経費にしたいなら、領収書をもらってくるようにと言われて、意味もわからず実行している方も多いことでしょう。
レシートは購入した品目や単価、数量と合計金額などが表示されており、購入したものの明細です

これに対して、領収書は基本的に合計金額のみがのり、費用の内訳は記載されません。
細かな品物名も記載されず、品代として、食事代としてと要約されます。

会社名や上様、氏名など宛名が明記されるのも違いの一つです。
もっとも、会社の経理の運用として領収書でないと経費として精算できないとされますが、レシートでも経費精算は可能です。

領収書とは?レシートとの違いや役割まで徹底解説

預かり証との違い

預かり証は、他人の金銭や財産を一時的に預かることの証明として発行される書類です。

たとえば、建築請負工事の手付金やマンション購入の前金、不動産を借りる際の敷金などを預かった場合です。
領収書は代金の支払いが完結しますが、預かり証は一時的に預かるものであり、返還するケースがある点で違いがあります。

領収書の保管期間

領収書は税法上、最長で10年間、保管することが求められます。

領収書は税務申告時に売上の計上や必要経費などの申告をするために必要となる書類です。

その年の申告が済んでも、後日、税務調査が入ったり、なんらかの事情で修正申告の必要が生じたりする場合もあるので、保管する場所を決めて、年度や月ごとにファイリングしておきましょう。

うっかり紛失してしまうなどのミスがないように注意してください。

領収書の記載事項

領収書の主な記載事項は以下の通りです。
一般的には市販の領収書台紙を使うことや領収書作成ソフトなどを用いるので、漏れはないかと思います。
もっとも、自社でひな形を作成するような場合には漏れがないように気を付けましょう。

タイトル

「領収書」と表記します。

領収日

代金を受領した正確な日付を年月日で記します。
西暦でも和暦でも良いですが、管理しやすいよう社内で統一しておくのがベストです。

通し番号

必須ではありませんが、管理をスムーズにしてくれます。
顧客が領収書を紛失したと訴えてきた時や不備などがあった時に備え、1枚ごとに固有の番号を付けて、帳簿と管理しておくと便利です。

宛名

支払者の会社名や氏名を記載します。 「上様」は商慣習上、まかり通っていますが正式な宛名ではありません。
会社によっては経費精算が拒否される場合や税務調査の際に認められないおそれがあるので注意しましょう。

件名

支払者の希望があれば、工事の件名や内容などを記載します。

発行者の名称と連絡先

代金を受領した発行者の会社名と代表者名または担当者名、会社の所在地および連絡先などを表示します。
改ざん防止のため、押印をするのが一般的です。

但し書き

代金受取の理由となる商品やサービス名を具体的に記載します。
工事代金なら、たとえば「キッチンリフォーム代金一式」などです。

合計金額

受領金額の税込金額を3桁区切りのカンマ表記で記載します。
数字が書き加えられて改ざんされないよう、数字の前には¥マーク、最後の数字の後には也などを記載されるのも商慣習の一つです。

内訳(税抜金額・消費税額)

内訳欄を設けて、税抜金額・消費税額を記載すると丁寧です。

収入印紙とは

収入印紙は、国に対する税金や手数料などを支払うために、法律上対象となる課税文書に貼付するものです。
収入印紙を書類に貼付して消印を押すことで、税金を納付したことになります。

収入印紙が必要な書類

収入印紙が必要な書類は、法律に定められている一定の条件を満たす課税文書です。
課税文書は20種類ありますが、建築業で関連する書類としては以下があります。

領収書、請負に関する契約書、継続的取引の基本となる契約書、不動産売買契約書や土地賃貸契約書などです。

なお、代金受領時などに発行する領収書については、受取金額が5万円以上の際に金額に応じて定められた印紙額を納める必要があります。
5万円未満であれば非課税です。

消印の役割

消印は収入印紙が使用済みであることを示すために押印するものです。
剥がされて、再び使い回されることがないよう、収入印紙と領収書にまたがるように押さなくてはなりません。

領収書に押印した大きな印鑑など同じ印鑑でなくても問題ありません。
使用済みであることを明確にし、使いまわされるのを防止することが目的なので、シャチハタでもかまいませんし、姓名の入った印ではなく日付印でも大丈夫です。

ボールペンでサインを上から書いても問題ありません。
ただし、消されるおそれがある鉛筆やシャープペンによるサインや線を付けただけ、○のマークの中に印と書く丸印記号も無効となるので注意しましょう。

収入印紙代を安くする方法

収入印紙代も金額が大きくなった場合や頻繁に代金受取が生じれば、それなりに大きな金額になります。
そこで、収入印紙代を安くする方法として、以下のことが考えられます。

1つ目は代金によりますが、書き方の工夫です。
領収書の収入印紙は5万円未満なら非課税です。

そこで、たとえば、税込で50,600円のところを、商品代金46,000円、消費税4,600円、合計50,600円と分けて記載します。

収入印紙は商品代金本体にかかるので、50,600円だけを記載すると収入印紙が200円必要ですが、後者は46,000円なので非課税となり、200円コストカットが可能です。

収入印紙 方法

大きな金額の場合も、一式で合計額を書くのではなく、非課税や少額の収入印紙額になるように分割して領収書を発行する方法もあります。

もっとも、工事代金は5万円を大きく超えることが多く、何枚にも分割して領収書を発行するのは、顧客側から見て不自然で現実的ではありません。

この点、銀行振り込みやクレジットカード決済をした場合、顧客の求めに応じて領収書を発行しても、収入印紙の貼付は不要です。
金額的には課税文書の範囲になっているため、但し書きや余白欄に銀行振込、クレジットカード利用と記載が必要です。

建築業の代金は高額になるケースが多いので、現金受取ではなく銀行振込やクレジットカード決済を促進することで収入印紙代を安く抑えられます。

領収書の不備が見つかったら?

発行した領収書の内容に不備が見つかった場合には、二重線と訂正印による修正はできません。
取引の相手方に交付した領収書を返却してもらったうえで、新しく領収書を作成し直して発行することが必要です。

市販の複写タイプの領収書を使っている場合、不備のあった領収書の原本に×印を記載したうえで、返却された領収書をホチキスで留めるなどして一緒に管理しておくと、不備を出して再発行した履歴がわかりやすいです。

簡単に領収書発行ができる建築業向け管理システム『アイピア』

建築業向け(リフォーム・工務店)管理システム アイピア

アイピアは建築業に特化した一元管理システムであり、顧客情報、見積情報、原価情報、発注情報など工事に関する情報を一括で管理できるため、情報集約の手間が削減されます。
さらに、アイピアはクラウドシステム。外出先からでも作成・変更・確認ができます。

まとめ

領収書の扱い方について解説していきました。

確定申告など様々な場面で領収書は必要となります。
また、インボイス制度において領収書は適格請求書の役割を果たす重要な書類です。

領収書の役割や扱い方をきちんと理解しておきましょう。

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