会社や企業の財務状態を図る指標は沢山あります。
感覚では無く、データや指標に基づいた会社の分析は非常に重要となるからです。
今回は、需要な指標の1つである自己資本比率についてご説明していきます。
自己資本比率とは
自己資本比率とは、企業の財務安定性を評価するための指標の一つです。
企業の自己資産の割合を可視化し、債務に対する自己資本の重要性を示します。
計算方法や用語について以下でご紹介していきます。
計算方法
自己資本比率は企業の自己資本を総資本で割ることで求められます。
自己資本比率 = 自己資本 / 総資本
自己資本・総資本とは?
自己資本、総資本とはそれぞれ何を指すのでしょうか?
貸借対照表の図をもとにご説明していきます。
自己資本
自己資本とは、企業所有者自信が提供する資金を指します。
つまり、返済する必要のない資金になります。
また、自己資本は貸借対照表における純資産の部を指し、具体的には資本金と資本剰余金、利益剰余金が含まれます。
総資本
総資本とは、自己資本と負債(借入金)からなる資金の合計を指します。
負債は、他人資本と表される場合もあります。
自己資本比率の目安
自己資本比率は、業種によって適切な水準が異なります。
そこで、ここでは自己資本比率に関して一般的な目安と、業種ごとの目安に分けてご説明していきます。
一般的な目安
自己資本比率の一般的な目安は以下の通りです。
超優良企業 | 70% |
---|---|
優良企業 | 40%~69% |
比較的安定している企業 | 20%~39% |
倒産のリスクが高い企業 | 0~19% |
債務超過に陥っている企業 | 0%未満 |
一般的に、自己資本比率が高い場合、財務状態が安定していると言えます。
しかし、自己資本で全てを賄っていると事業の拡大は停滞してしまうため、高すぎることが必ずしも良い訳ではありません。
一方で、自己資本比率が著しく低い場合は、負債が多い状態になっているため、倒産のリスクも高まり非常に不安定です。
業種ごとの目安
続いて、各業種ごとの自己資本比率の目安を低い順にまとめてみました。
自身の企業の平均がどのくらいなのか確認してみて下さい。
業種 | 自己資本比率の平均(%) |
---|---|
クレジットカード業、割賦金融業 | 12.2 |
物品賃貸業 | 14.6 |
電気業 | 20.7 |
電気・ガス業 | 25.1 |
個人教授所 | 26.2 |
非鉄金属卸売業 | 27.1 |
石油製品・石炭製品製造業 | 27.9 |
鉄鋼製品卸売業 | 31.1 |
自動車・自転車小売業 | 31.5 |
石油・鉱物卸売業 | 31.8 |
食料・飲料卸売業 | 35.6 |
紙、紙製品卸売業 | 35.7 |
生活関連サービス業、娯楽業 | 36.5 |
飲食サービス業 | 36.7 |
非鉄金属製造業 | 38.1 |
化学製品卸売業 | 39.2 |
再生資源卸売業 | 39.2 |
鉄鋼業 | 40 |
卸売業 | 40.2 |
建築材料卸売業 | 40.4 |
学術研究、専門・技術サービス業 | 40.4 |
パルプ・紙・紙加工品製造業 | 41.4 |
飲料・たばこ・飼料製造業 | 41.8 |
その他の卸売業 | 42.6 |
自動車卸売業 | 42.7 |
医薬品・化粧品小売業 | 42.8 |
小売業 | 43.2 |
織物・衣服・身の回り品小売業 | 43.2 |
農畜産物・水産物卸売業 | 43.7 |
情報処理・提供サービス業 | 44.6 |
その他の機械器具卸売業 | 44.7 |
燃料小売業 | 45 |
その他の小売業 | 45.2 |
インターネット附随サービス業 | 45.5 |
電気機械器具製造業 | 45.6 |
飲食料品小売業 | 45.7 |
医薬品・化粧品等卸売業 | 45.9 |
木材・木製品製造業(家具を除く) | 46.3 |
情報通信機械器具製造業 | 46.4 |
電子部品・デバイス・電子回路製造業 | 46.7 |
産業機械器具卸売業 | 47 |
電気機械器具卸売業 | 48.5 |
家具・建具・じゅう器等卸売業 | 48.8 |
繊維品卸売業 | 49 |
食料品製造業 | 50.3 |
製造業 | 50.5 |
情報通信業 | 50.5 |
輸送用機械器具製造業 | 50.6 |
ソフトウェア業 | 51.2 |
プラスチック製品製造業 | 51.5 |
繊維工業 | 52.5 |
印刷・同関連業 | 52.6 |
機械器具小売業 | 53 |
業務用機械器具製造業 | 53.5 |
家具・建具・じゅう器小売業 | 53.9 |
新聞業 | 54.6 |
ガス業 | 54.8 |
はん用機械器具製造業 | 55 |
衣服・身の回り品卸売業 | 55.2 |
窯業・土石製品製造業 | 55.4 |
鉱業、採石業、砂利採取業 | 55.8 |
ゴム製品製造業 | 56.5 |
無店舗小売業 | 56.5 |
化学工業 | 58.2 |
金属製品製造業 | 58.8 |
生産用機械器具製造業 | 59.6 |
その他の製造業 | 62.8 |
家具・装備品製造業 | 63 |
なめし革・同製品・毛皮製造業 | 63.1 |
映画・ビデオ制作業 | 63.3 |
出版業 | 76.7 |
合計 | 41.5 |
自己資本比率の管理法
自己資本比率を適切に管理することができれば、企業の安定をある程度コントロールできるようになります。
そこで、ここでは自己資本率を管理するための三つの方法をご紹介します。
CHECK1!
目標水準の設定
一つ目は目標水準の設定です。
自己資本比率は業種によって異なります。
それぞれの企業の特性を理解した上で目標を設定することで、それに向けた資金調達が可能になります。
また、景気や経済状況の変動に柔軟に対応できるよう適宜、目標水準を定めることが必要です。
CHECK2!
資金調達手段の検討
二つ目は資金調達手段の検討です。
資金調達には、株式の発行や内部留保を利用するなどの手段があります。
企業の目標に合わせて、自己資本を増やすことも検討してみましょう。
CHECK3!
負債を減らす
三つ目は負債を減らすことです。
債務の返済計画を考え、負債を減らしていくことも重要です。
そのため、債務の返済期間や返済スケジュールを定め、債務返済能力の確保が必要になります。
建設業向けシステム「アイピア」
まとめ
いかがでしたか?
自己資本比率は企業の財務状態の安定性を知る一つの指標です。
適切な管理を行い、一定以上の自己資本比率を保つことで、倒産のリスクを抑えられます。
各々の企業に合わせた目標水準を設定し、意識してみてはいかがでしょうか?