近年、さまざまな業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが進んでいます。
日本では経済産業省が推奨しており、DXへの注目が高まっています。
それは建設業においても同じです。
ですが、
「言葉は知っているが、いまいち分からない」「何から取り組んだらいいのか分からない」
「どうすれば実現できるのかが分からない」
という方も多いのではないでしょうか?
今回は、DXの基礎知識と、建設業での施工管理におけるDXについて説明していきます。
目次
DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは?
DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、グローバル化したこれからの時代に対応していく経営体力をつけるために、最新技術を用いて経営変革や業務改革を行う取組です。
データやIT技術などを駆使し、組織的に体制を作ってデジタル化が推進されます。
単にシステムやパソコン、ネットワークが完備されればいいのではなく、それを使いこなして業務効率化や経営に役立てることができる体制や環境を整えることが大切です。
企業が達成すべき経営戦略やビジョンの実現と紐づけ、経営陣が主導しながら組織改革を進めていくことが求められます。
データやデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを構築するために、挑戦し続ける体制と環境を整えなくてはなりません。
そのための人材の育成や教育、確保も必要です。
ITとの違いは?
ITはDXを行うための手段です。
DXを実現するには、単にIT機器やIT技術があるだけでは足りません。
ITにはパソコンなどのOA機器やハードウェアやソフトウェア、アプリケーション、インターネットなどの通信技術などさまざまな技術があります。
次々に新たな技術や機器も生み出されています。
DXを実現するには、単にこれらのITを導入すれば良いわけではありません。
企業が達成したい目的や経営戦略を実現するために、活用できる体制や環境づくりが必要です。
ITを使いこなせる人材を育て、目的達成のために推進していける力を養成していくことが求められます。
DXによって達成する目的には、たとえば、業務効率化やスピードアップ、働く環境の改善、顧客満足度のアップなどさまざま考えられます。
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主なデジタル技術
DXを推進していくためには、さまざまなIT技術を組み合わせ、組織全体で使いこなしていく環境づくりが必要です。
主なデジタル技術であるICT技術、BIM/CIM、IoTやAI、クラウドサービスについて理解を深めていきましょう。
ICT技術
ICTはInformation and Communication Technologyの頭文字から来ており、情報技術であるITにコミュニケーションがプラスされています。
情報伝達の側面が重視される技術です。
単にパソコンやタブレット、システムなどを設置するのではなく、それを活用して人との情報共有や伝達、スムーズなコミュニケーションを実現する技術と言えます。
たとえば、建設現場でスマホを使って連絡や報告を行う、顧客にタブレットを使って間取りのシミュレーションをすることやプレゼンをするといったことです。
BIM/CIM
BIM/CIMとは計画、調査、設計段階で3次元モデルを導入し、施工や維持管理の段階においても3次元モデルを連携・発展させる取組です。
最新のICTを活用して、携わる人たちの情報共有をスムーズにし、一連の建設生産や管理システムの効率化や高度化を図ることを目指すものです。
建設現場における単純作業の軽減、ミスや手戻りの減少、工程の短縮、安全性向上などを目指すことができます。
IoTやAI
IoTはInternet of Thingsの頭文字を取った言葉で、身の回りのあらゆるモノをインターネットとつないで活用する技術です。
たとえば、エアコンやテレビなどをインターネットとつなぐことで、遠隔から操作することやコントロールを行うといったものです。
AIは人工知能と呼ばれ、学習機能を持ち、人間に代わって単純な判断をすることができます。
よくあるQ&Aなどを学習させることで、顧客からの問い合わせにチャットなどを通じて回答することなども可能です。
学習機能があるので、回答する度に学び、応用力もつけていきます。
クラウドサービス
クラウドサービスはネットワークを通じて、アプリケーションなどのサービスが提供される仕組みです。
従来はアプリケーションやソフトウェアを利用するには、パソコンなどを導入し、そこに一つずつインストールして使うことが必要でした。
クラウドサービスでは、アプリケーションやソフトウェアに組み込まれていた機能がインターネット上に用意されます。
専用のIDとパスワードでログインするだけで利用できるようになります。
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建設DXを成功させるために
建設DXを成功させるために、何が必要でしょうか。
DXは単にIT機器を導入することやインターネット環境を整えることではありません。
企業が掲げた目的を達成するため、経営トップから従業員各人に至るまで、同じ方向を向いて取り組んでいく必要があります。
一部の人だけが新しく導入したシステムをどうにか使いこなす、現場の職人は無関係や無関心ではNGです。
DXで達成したいことを明確化し、組織全体で共有し合い、一丸となって取り組んでいくことが大切です。
そのためには、現場の意見を取り入れること、基幹システムの刷新を図ることが必要になります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
現場の意見を取り入れる
建設DXの目的として掲げられる代表的な例として、業務効率化や働く環境の改善、工期短縮や生産性アップ、安全性強化、品質向上などが挙げられます。
こうした目的をさまざまな情報技術を駆使して達成していくには、経営陣やマネジメント層が取り決めて押し付けるのではなく、現場の意見を取り入れることが必要です。
現場を知らない人が、工程表などを見て、ここはカットできるのでは、ここはもっと工期が短縮できるはずといっても、現場とは認識が異なる場合が多いです。
一方的な押し付けで業務効率を上げようとすれば、安全性や品質に問題が生じます。
現場に即して、現場が実践できる方法を採るためにも、現場の意見を聞くことが欠かせません。
現場に携わる人同士でディスカッションをしてもらうなどし、現場から改善への取組アイデアを挙げてもらうことがポイントです。
その意見を吸い上げ、どのようにDXに落とし込んでいけるかが大切になります。
基幹システムの刷新
現在はパソコンに表計算ソフトを入れて工程管理を行うことや見積書などを作成しているかもしれません。
専用の帳票システムを導入して請求書の発行などを行っているケースもあるでしょう。
建設DX推進のためには、こうした既存の基幹システムを思い切って刷新していくことも大切です。
システムの内容や機能も古くなっています。
新しいシステムや技術と連携が図れる場合もありますが、一貫性のあるシステムを構築したほうがスムーズです。
従来のシステムには更新や保守管理のためのランニングコストが高く、サーバーの運用や保守費用などもかかります。
データをバックアップする必要やいざというときのために別のサーバーを置く手間やコストもかかります。
見積書や契約書、請求書などの重要書類はプリントアウトしたうで、ファイリングする手間がかかり、書庫が書類の山となっているかもしれません。
最新の技術に入れ替えていくことで、手間やコストを抑えながら、業務効率化が目指せます。
たとえば、これまでのアプリケーションやシステムに代えて、クラウドサービスを利用するとどうなるでしょうか。
自社でサーバーの維持や管理をする手間が省けます。
データのバックアップも、クラウドサービス側で行ってくれます。
ファイリングの必要もなく、データ検索や再利用もスムーズです。
コストをかけてシステムの更新などをしなくても、最新の機能へとバージョンアップができます。
クラウドサービスの利用には、システムやサーバーの導入は必要なく、手持ちのパソコンとインターネット環境を整えれば、すぐにでも利用が可能です。
システム開発に比べると、大幅に低コストな初期費用と月々の利用料金のみで使えます。
現場の従業員にタブレットやスマホを配布すれば、インターネットにつながれば現場でも使えます。
職場と現場で常にリアルタイムでコミュニケーションを取ることもでき、情報共有や業務効率化が実現可能です。
既存システムを刷新して新たな仕組みを導入することは不安もあると思いますが、それに対応していく組織力を育んでいくことも含めて建設DXです。
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まとめ
DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは経営変革や業務改革に向け、データやIT技術などを駆使して、組織的に体制を作って推進していく取組です。
ITはDXを行うための手段であり、DXを実現するには、単にIT機器や技術があるだけでは足りません。
それを使いこなして業務効率化や経営に役立てることができる体制や人材の育成、確保も必要です。
主なデジタル技術としてICT技術、BIM/CIM、IoTやAI、クラウドサービスがあります。
建設DXを成功させるためには、現場の意見を取り入れること、基幹システムの刷新を図ることも求められます。