領収書はいつも郵送しているという担当者もいるかもしれません。しかし、経費節減や業務効率化を目指したいのであれば、電子メールを使って送る方法がおすすめです。今回の記事では、領収書をメールで送付する方法やポイントについて詳しく解説します。領収書の送付でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
領収書とは
領収書とは、「商品やサービスを提供したことに対する対価として、代金を受け取ったこと」を証明する書類です。 証憑書類の一種に含まれています。 領収証には、「二重請求、過払い、内部不正」などを防ぐ役割があります。 また、領収書の民法上の正式名称は、「受取証書」と言います。
収入印紙を貼る必要があります
領収書は、金額が5万円以上となる場合「収入印紙」を貼付して消印をしなくてはなりません。収入印紙は、領収書の金額によってそれぞれ以下のように異なります。
領収書の金額 | 収入印紙 |
---|---|
5万円以上~100万円以下 | 200円分 |
100万円超~200万円以下 | 400円分 |
200万円超~300万円以下 | 600円分 |
収入印紙を貼付するのは、領収書を発行した側です。 もしも、領収書に収入印紙を貼り忘れてしまった場合や、収入印紙の金額が不足していた場合には、印紙税額の3倍に相当する過怠税が科せられることがあります。
領収証との違いは?
領収書と似たような名前で、「領収証」という書類があります。 発音もよく似ていることから、両者の違いがわからないという方もいるかもしれません。
領収書と領収証のどちらも、「商品や金銭などの受け取りが発生したという事実を記録するために作成する書類」なので、大きな違いはありません。
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領収書は電子メールでも送れる?
領収書を送る方法には、電子メール以外にも「直接手渡し」や「郵送」などがあります。 ただ、これらの方法では、紙の領収書を用意しなくてはなりません。 そのため、用紙代や封筒代、切手代、印紙代などコストがかかってしまうのがデメリットとなります。 このデメリットを回避する手段としておすすめなのが、電子メールでの送信です。
電子メールでも送付できます
電子メールでの送付には、「法的な有効性があるのだろうか?」と心配になる方もいるでしょう。 エクセルやスキャナー等によってデジタル化された領収書は、「電子インボイス」と呼ばれます。このような電子インボイスは、「電子帳簿保存法」によって認められているため、紙の領収書と同じように有効性があります。
国税庁:電子帳簿保存法の概要「適格請求書」の要件を満たすには?
電子帳簿保存法やインボイス制度によって、電子データで領収書を管理することが認められています。しかし、領収書をこれらの制度に適用するためには、「適格請求書」としての要件を満たす必要があります。 電子化した領収書は以下の項目を必ず記載しておかなくてはなりません。
- 適格請求者発行事業者の氏名または名称及び登録番号
- 取引年月日
- 取引内容
- 税率ごとに区分して合計した対価の額及び適用税率
- 税率毎に区分した消費税額等
- 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
電子領収書を作成する際には、記入漏れがないように気を付けてください。
また、電子化した領収書については、収入印紙が一切不要となります。 5万円以上の金額となった場合でも、収入印紙を貼付しなくても問題ありません。
インボイス制度で対応すべき領収書のルールとは?正しい書き方も解説電子メールで送るメリット
領収書を電子メールで送ると、以下のようなメリットを得ることができます。
- 経費削減につながる。
- 業務を効率化できる。
- 生産性が向上する。
- 手軽に取り組める。
電子メールで領収書を送付すると、用紙や封筒、また切手や収入印紙などが不要になります。また、発行担当者の負担も減らすことができるため、経費削減や生産性向上につながるのです。
実際に、多くの企業が電子メールを活用して領収書を送付していますので、決して珍しいことではありません。 領収書の添付が完了したら送信ボタンを押すだけで、すぐに領収書を相手先に届けることができます。 普段から電子メールを活用されている方ならば、手軽に取り組めることでしょう。
領収書をデジタル化する2つの方法
領収書を電子メールで送るためには、領収書のデジタル化が必要です。 デジタル化する方法はいろいろありますが、ここでは「PDF化する方法」と「スキャンする方法」の2つのやり方について解説していきます。
エクセルなどでPDF化する
エクセルなどでPDF化するための具体的な手順は以下の通りです
- ワードやエクセルなどのソフトを使用して、領収書のファイルを作成する
- ファイルを作成したあと、PDF化する
PDFは、取引先がワードやエクセルなどを持っていなくても、閲覧できるというメリットがあります。 WindowsやMacintoshなどのパソコンのOSも問いません。 どのような環境のパソコンで開いても、同じように閲覧できます。
ワードやエクセルには、ファイルをPDF化へ変換する機能が搭載されていますので、簡単に電子領収書が作成可能です。 PDFではセキュリティ面が心配だという場合では、PDF化する際にパスワードを設定しておくと良いでしょう。
スキャナーやカメラでスキャンする
紙の領収書を、「スキャナーで読み取ること」や「デジタルカメラで撮影すること」で、簡単にスキャン化できます。 この画像データとしてスキャンしたものを、メールに添付するだけなので非常に簡単です。
ただし、この方法はスキャナーやカメラなどのオフィス機器を購入しておかなくてはなりません。 また、読み取りや撮影の手間もかかってしまいます。
領収書をメールで送る際のポイント
最後に、領収書をメールで送信する際に押さえておきたいポイントを解説します。
電子領収書に押印は必要か?
紙の領収書の場合は、押印するのが一般的です。 会社の角印が押されているのを見たことがあるという方も多いのではないでしょうか。しかし法律上では、押印がない領収書でも特に問題はありません。 紙の領収書と同様に、電子領収書の場合も押印は必須ではないのです。
ただし、押印がないと、領収書を偽造されるリスクがあります。 デジタルデータはコピーや改ざんが簡単にできるため、取り扱いには十分に気を付けなくてはなりません。 電子領収書の偽造を防止したいのであれば、電子印鑑の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
送付前に取引先へ確認しよう
電子領収書を発行する前に、取引先企業に連絡を入れて事前に担当者から同意をもらうようにしましょう。
会社によっては、紙の領収書を希望するところもあるかもしれません。一方的に、電子領収書を送りつけてしまうと、受け付けてもらえない可能性があります。 そのため、必ず確認を取ってから電子メールで送信するようにしてください。
また、電子メールで領収書を添付した後は、念のために送信先へ連絡をして、きちんと届いているかどうかの確認も取っておくと良いでしょう。
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まとめ
ここまで、領収書を電子メールで送付する方法についてお伝えしてきました。 領収書を電子化して、電子メールで送信すれば、切手代や収入印紙がかかりません。 紙の領収書のように保管場所に困らないうえに、管理がしやすいといった利点もあります。
領収書を電子化する方法は、ワードやエクセルで作成したデータをPDF化するか、紙の領収書をスキャンします。 PDF化や画像化した領収書は、基本的に押印は不要です。 ただし、改ざんのリスクがありますので、電子印鑑を導入することやパスワードの設定をしておくと良いでしょう。