近年、コロナ禍におけるお家時間の増加や、省エネ対策、高齢化などの影響で、住まいをリフォームする方が増えています。しかし残念なことに、リフォームの需要の高まりに比例して、悪質な業者によるトラブルも多く発生しているようです。こうした状況下において、適切な資格や正確な情報を持っていることは、お客様からの信頼につながります。
そこで今回は、リフォーム業のなかでもお客様への営業に役立つと思われる資格をまとめました。
リフォーム業には資格が必要?
そもそも、リフォーム業には資格が必要なのでしょうか?
国土交通省のホームページを確認してみると、以下のように明記されています。
建設工事の完成を請け負うことを営業するには、その工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず、建設業法第3条に基づき建設業の許可を受けなければなりません。ただし、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には、必ずしも建設業の許可を受けなくてもよいこととされています。
参照元:国土交通省HPより
「軽微な建設工事」のみを請け負う場合であれば、建設業の許可は必ずしも必要ないということですが、ここで気になるのは、「軽微な建設工事」とは何か?ということですよね。施工の内容や、建物の種類によって基準は異なりますが、ほとんどのリフォームは「軽微な建設工事」にあたるようです。
つまり、リフォームを請け負う、リフォームに関する営業を行うことに関して、資格は特に必要ないということになります。 ただし、請負代金が500万円を超える場合などは建設業の許可が必要となります。
詳しくは、国土交通省のサイトをご確認ください。
国土交通省のサイトはこちら「建設業の許可とは」リフォームの営業に役立つ資格5選!
既に確認したように、ほとんどの場合、リフォーム業は資格や許可なしで営業することが可能です。
しかしながら、お客様とのコミュニケーションが大切な営業において、資格や知識を持っておくことは大変有利にはたらきます。 以下では、リフォームに関する提案を行う際、またはお客様からの相談を受ける際に役立つと思われる資格を5つご紹介します。
リフォームスタイリスト
リフォームスタイリストは、住居のリフォームを考えているお客様の要望を聞き、正確な情報を提供する役割を担います。リフォーム相談のプロとしてお客様との信頼関係を築くことで、トラブルやクレームの未然防止が可能となります。
試験級と内容
- 3級:リフォームの接客方法、販売促進、部位別リフォームの概要、建築の基礎知識、マンションリフォームの概要など
- 2級:床、壁、水回りなどの中小規模リフォームに関する知識、クレーム対応の知識
- 1級:中大規模かつシックハウス、耐震、バリアフリー、省エネリフォームに関する知識、見積もりや契約書作成に関する実践的な知識
方式 | 試験方式は「マークシート方式による選択問題」です。 |
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受験料 | ・3級:6,200円 ・2級:9,600円 ・1級:13,300円 ※団体割引あり |
試験日 (2022年度) |
6月11日(土)、9月17日(土) ※東京会場のみ6月15日(水)、9月21日(水)も実施されます。 |
公式サイト | リフォームスタイリストとは |
クレーム対応に関連する記事はこちら
マンションリフォームマネジャー
マンションリフォームマネジャーは、主にマンションの専有部分のリフォームを希望するお客様へ、付加価値の高いリフォームを企画・提供する役割を担います。
戸建て住宅とは違い、マンションをリフォームする際には専有部分と共用部分の区分や建物全体の状況を考慮する必要があります。
専門知識を持って管理組合や施工者などと連携し、業務を推進する能力が求められます。
試験級と内容
試験級はありませんが、学科試験と設計製図試験の二つの試験を受験する必要があります。
二つの試験の合格者には「マンションリフォームマネジャー」の資格が与えられます。
試験内容は以下の通りです。
- 学科試験(マンションリフォームに関する専門知識): 計画・基礎知識、法規・規約・制度、マネジメント、住宅内各部のリフォーム、設備のリフォーム
- 設計製図試験(マンション専有部分にかかるリフォームの設計図書の作成): 平面図および留意事項の説明など
方式
・学科試験:4肢択一式(50問、120分)
・設計製図試験:受験申込書の配布と同時に課題が公表されます。(1問、180分)
受験申込区分は、以下の通りです。
- 学科試験と設計製図試験の両方を受験
- 学科試験のみを受験
- 設計製図試験のみを受験
二つの試験のいずれか一方のみに合格した場合、次年度以降4年間、合格した方の試験が免除されます。
※4年間の免除期間は、2022年度受験者から適用されます。
改正前の一部合格者には適用されず、免除期間は2年間となるようですのでご注意ください。
受験料 | ・学科試験と設計製図試験の両方を受験:14,300円 ・学科試験のみを受験:11,000円 ・設計製図試験のみを受験:11,000円 |
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試験日 (2022年度) |
10月2日(日) |
公式サイト | マンションリフォームマネジャー |
増改築相談員
増改築相談員は、リフォームを考えているお客様の相談に対応したり、要望に応じてリフォームの具体的な計画や見積もりなどを行います。
住宅の新築工事やリフォーム工事に関する実務に10年以上携わっていることが、研修を受講するための要件とされています。 住宅建築の実務経験になるのは、以下の通りです。
- 新築住宅(共同住宅も可)の設計、施工、施工管理
- 住宅(共同住宅も可)のリフォームの設計、施工、施工管理
- 住宅設備機器に関する設計、施工、施工管理
試験級と内容
試験級はありません。研修会を受講し考査に合格すると、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターに「増改築相談員」として登録されます。
登録後も、5年ごとに更新研修会を受講します。
研修会は、財団の承認を得た地域の大工・工務店団体などが実施します。 研修会の科目や考査は、以下のような研修内容に基づいて出題されます。
- 相談・工事の進め方や設備のリフォームなどに関する基礎知識
- 関連法規・制度、関連融資・住宅の税金、トラブル事例とその対応
- 介護保険の支給対象となる住宅改修・実務解説
方式 | ・新規研修会:7時間30分以上のカリキュラム ・更新研修会:3時間30分以上のカリキュラム ※研修会終了後に考査を受けます。 |
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受験料 | 受講料は実施団体によって異なります。 新規研修会は「2~3万円」で受講可能のようです。 |
試験日 (2022年度) |
新規研修会の日程は「5月以降」に掲載されるようです。 |
公式サイト | 増改築相談員になるには |
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福祉住環境コーディネーター
福祉住環境コーディネーターは、住環境において居住者の感じるさまざまな障害を取り払い、住みやすい環境を整えるためのリフォームを提案するアドバイザーです。
医療・福祉・建築について体系的な知識を備え、各専門職と連携しながらリフォームプランを提示します。
福祉用具や諸施策情報などのアドバイスも担うため、総合的な知識が必要とされます。
試験級と内容
- 3級:福祉と住環境の関連分野の基礎知識(3級公式テキストに該当する知識と、その応用力)
- 2級:福祉と住環境などの知識を実務に活かす能力(2級公式テキストに該当する知識と、その応用力)
- 1級:新築や住宅改修の具体的なプランニングができ、安全かつ快適なまちづくりなどに積極的な助言ができるような知識と能力(1級公式テキストに該当する知識と、その応用力)
方式
- 3級、2級:多肢選択式(90分)
- 1級:前半-多肢選択式(90分)、後半-記述式(90分)
3級や2級を受験する方法として、IBT方式とCBT方式の二つが用意されています。
IBT方式は、受験者自身がパソコン・インターネット環境を利用し、自宅や会社などで受験する方法です。
CBT方式は、各地のテストセンターにて、備え付けのパソコンで受験する方法です。
申し込みの際に、どちらかの方式を選択します。1級は、CBT方式でのみ実施されます。
受験料 | ・3級:5,500円(IBT方式)、7,700円(CBT方式) ・2級:7,700円(IBT方式)、9,900円(CBT方式) ・1級:12,100円(CBT方式) ※CBT方式の料金は「CBT利用料2,200円込みの表示」となっています。 |
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試験日 (2022年度) |
・3級または2級:7月22日(金)~8月8日(月)、11月11日(金)~11月28日(月) ・1級:12月4日(日) |
公式サイト | 福祉住環境コーディネーター検定試験 |
住宅ローン診断士
住宅ローン診断士は、金融機関の行う審査基準などの知識をもとに、住宅ローンに関するプランをお客様に提案する役割を担います。
また、お客様の資産・負債の査定を調査し、住宅ローン審査に必要な書類を収集したうえで、ローンコンサルティング企業へ報告する調査DD業務も請け負います。
試験級と内容
講習を受講し、レポートの提出をすることで資格が付与されます。
レポートの内容が不十分であると判断された場合は、再提出を求められることがあります。
方式
- 会場受講
全国のLEC校で約5時間の講義を視聴、その日のうちにレポートを提出。 - 通信受講
自宅などで約5時間のDVD講義を視聴、郵送にてレポートを提出。
レポートの送付は原則として、教材到着から3か月以内とされています。
受講料 | ・会場受講:30,350円 ・通信受講:31,370円 ※資格登録の際、一般社団法人日本住宅ローン診断士協会への登録料1万円と年会費1万円が別途必要です。 |
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試験日 (2022年度) |
随時受付 |
公式サイト | 住宅ローン診断士とは |
リフォームローンに関連する記事はこちら
建築業・リフォーム業向け管理システム アイピア
まとめ
リフォーム業で活躍するには、資格は必須ではありません。
しかし、お客様の立場に立ってみると、資格というのは信頼できる業者を選ぶ一つの手がかりにもなり得ます。
自分自身の知識の裾野を広げるためにも、お客様のリフォームプランをより良いものにするためにも、リフォームに関する資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。