社内のサークル活動、親睦会、飲み会などでのお金の出入りを管理する際には、収支報告書を作成しておくと便利です。
収支報告書を作る際には、対象期間、内訳、繰越金、予算金額などを記載しておかなくてはなりません。
本記事では、収支報告書の概要、書き方のポイント、記載項目、作成例などを解説していきます。
収支報告書とは
収支報告書とは、一定期間におけるの収支についてまとめた書類のことです。
飲み会や懇親会などのイベント活動費、自治会やサークルなどの会費費などのお金の流れを記載しておきます。
『貸借対照表』や『損益計算書』などの書類のように、法律で作成が義務付けられているわけではありませんが、記録を残しておくことで、特定の活動の収支状況を把握するのに役立ちます。
収支報告書の目的
収支報告書の目的は、お金の活用状況、収支のバランスなどを把握することです。
また、外部に対してイベントやサークルなどの活動の状況を報告する目的もあります。
収支報告書を作成しておけば、会員から徴収した会費が適切に使われているかどうかを明確化できるので、社員やメンバーからのら信頼を得やすくなることでしょう。
また、収支報告書は、確定申告時や次年度予算案を作成する時の重要資料としても活用できます。
決算報告書との違い
収支報告書と似たような書類としては、決算報告書があります。
決算報告書とは、『貸借対照表』、 『損益計算書』、『キャッシュフロー計算書』などの種類の書類を指します。
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開示対象者が異なる
これらの決算報告書と収支報告書との主な相違点は、開示対象者です。
決算報告書では、社内サークルや自治会などの会員といったように、限られた内部のメンバーに対して開示します。
一方、貸借対照表や損益計算書などの決算報告書は、社内に対してだけでなく、株主、銀行などの金融機関、税務署などの外部に向けても開示する必要があります。
記載範囲が異なる
収支報告書は、基本的に特定の活動の現金の流れを記載しておけば問題ありません。
現金主義、単式簿記で記載するのが特徴です。
一方、決算報告書では、収支のほかに、保有資産、負債、資本などの状況も詳しく記載しておかなくてはなりません。
発生主義、複式簿記で行う必要があります。
作成や提出義務の有無
収支報告書と決算報告書は、作成義務が異なります。
収支報告書は法律によって作成や提出の義務付けられていないため、不要であれば作成しなくても問題はありません。
一方、決算報告書は、会社法や税法などの法律によって、必ず作成することが義務付けられています。
収支報告書を作る機会
収支報告書を作成する機会は、特定のメンバーからお金を集めたり、予算が割り振られたりした時です。
具体例を挙げると、懇親会、飲み会、サークル活動、特定のイベントなどの場面で、収支報告書を作ってお金の流れを明確にしておきます。
決算報告書に記事はこちら
収支報告書の書き方
収支報告書には所定の様式はありませんが、誰が見てもわかるように作成しておく必要があります。
ここでは、収支報告書の記載項目、作成時に押えておくべきポイントをご紹介します。
収支報告書の記載項目
収支報告書に記載項目は、次の通りです。
期間
活動やイベントなどの対象期間を記載しておきます。
収入総額
対象期間における収入の総額を記入しておきます。
収入の内訳
繰越金、会費、雑収入などの対象期間の収入の内訳を記載しておきます。
支出総額
対象期間における支出の総額を記入しておきます。
支出の内訳
消耗品費、交際費、飲食費、会場費などの対象期間の支出の内訳を記載しておきます。
概要
収入や支出の目的、概要、備考などを記載しておきます。
収入合計
当期収入の総額、および、前年度繰越金の合計額を記載しておきます。
そのほかにも、『前年度繰越金』、『次年度繰越金』、『予算額』、『決算額』、『比較増減』などの項目も漏れのないように記載しておきましょう。
収支報告書作成のポイント
収支報告書を作成する際には、以下のポイントを押えておくと良いでしょう。
対象期間と場面を明確に
収支報告書には、対象となる期間、場面、活動の名称などの情報を明確に記載しておきましょう。
『自○年○月○日 至○月○○日』といったように、いつからいつまでの分なのかがはっきりとわかるように記載するのがポイントです。
備考欄・欄外を活用する
収支の内容をより明確に記録するために、備考欄や欄外を活用すると良いでしょう。
たとえば、繰り越すつもりの残高を備考欄に詳しく記載しておけば、次回時にスムーズに予算が立てやすくなることでしょう。
作成はエクセルや会計ソフトを活用しよう
収支報告書は手書きで作成しても問題ありませんが、手間がかかってしまいます。
効率よく作成したいのであれば、オフィスソフトのエクセルを活用すると良いでしょう。
エクセルのテンプレートを活用すれば、一から作成する手間が省けます。
会計ソフトの扱いに慣れている人材がそろっている場合は、専用ソフトを活用するのも手です。
収支報告書の作成例
ここでは、町内会・自治会と飲み会・懇親会における収支報告書の作成例をご紹介します。
町内会・自治会 の作成例
町内会・自治会
○年度〇〇町内会(自治会) 会計報告
自 ○年○月○日 至 ○年○月〇〇日
- 収入の部
前年度繰越金 100,000円
会費 300,000円 備考(会員30名分)
雑収入 10,000円
合計 410,000円
管理費 50,000円
活動費300,000円
合計 350,000円
残高60,000円は、翌年度の○年に繰り越します。
飲み会・懇親会の記入例
飲み会・懇親会
〇〇年社内親睦会 収支報告書
自 〇〇年○月○日 至 〇〇年○月〇〇日
- 収入の部
親睦会費300,000円(1人あたり10,000円×参加者30名)
前年度からの繰越金10,000円
合計310,000円
会場費 100,000円(〇〇ホテルの利用料)
飲食費 200,000円(ケータリングサービス30名分)
合計 300,000万円
残高10,000円は、翌年度の○年に繰り越します。
収支報告書作成の注意点
最後に、収支報告書を作成する際に注意すべき点を3つご紹介します。
監査の対象となる可能性もある
親睦会や歓迎会などの社内イベントで、会社のお金が割り振られた場合は、監査の対象となる可能性があります。
会社の決算書の中にも組み込まれて、<会計監査の対象/span>となることもありますので、その点を意識して収支報告書を作成しておかなくてはなりません。
残高を照合する
イベントなどで黒字となった場合には残高が発生しますので、収支報告書には、残高額を正確に記載しておかなくてはなりません。
収支報告書の額と、手元にある現金の額が一致するかをよく確認しておきましょう。
保存期間を確認する
決算報告書は法律によって数年間保管義務がありますが、収支報告書には保存期間が設けられていません。
ただし、会社のお金が割り当てられたイベントを記載する場合には、収支報告書やレシートなどを一定期間保存しておいたほうが良いでしょう。
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まとめ
収支報告書は、親睦会、町内会、サークル活動などの収支の流れを記録するための書類です。
所定の様式がないので、エクセルや会計ソフトなどを使用して作成しても問題はありません。
その際には、対象期間、収入や支出の総額、残高、繰越額などの項目を記載しておき、残高の照合もしておきましょう。
監査の対象となる可能性もあるため、記載方法や保存期間にも注意が必要です。