業務をする上で、担当者がいないことで困ったり、作業が滞ったりしたことはありませんか?
そういった特定の人物に業務内容や責任が偏っている状況を、業務の「属人化」と言います。
業務の属人化は、どこの会社でも起こる可能性があり、メリットとデメリット両方を兼ね備えています。
今回は、業務の属人化とは何か、それによって生まれる利益とリスクはどのようなものが想定されるかを詳しく紹介していきます。
属人化とは
業務の属人化とは、言葉の通り「業務が人に属している」状態を指します。
つまり、ある特定の人物のみが業務を担当している状態のことを言います。
また、企業内で業務のマニュアルが共有されていない場合にも使います。
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属人化のメリット・デメリット
業務の属人化と聞くと、最初に挙げたようなトラブルを連想してしまいます。
しかし、実は属人化は悪いことばかりではありません。
ここでは、属人化にはどのようなメリット・デメリットがあるのかをご紹介していきます。
属人化のメリット
業務の属人化によるメリットは大きく分けて次の3つが挙げられます。
自分のペースで仕事ができる
業務が属人化している状態では、仕事に関して個人の裁量が大きいです。
そのため、仕事のペースを掴みやすく身体的にも心理的にも安定しやすい状態と言えます。
エキスパートになれる
一人で業務をする中で理解度が高まり、業務の工夫・改善が行われていきます。
業務の属人化で起こるこの専門性の高さも業務の改善や効率を良くする上で役立ちます。
顧客の安心・信頼を得られる
毎回特定の人物が対応することで、顧客に「この人なら大丈夫だ」といったような安心感や信頼感をもってもらいやすくなります。
顧客の信頼は取引を円滑に進めるだけでなく、個人のモチベーションアップにもつながります。
属人化のデメリット
業務の属人化によるデメリットは次の3つが挙げられます。
他の社員が対応できない
担当者以外が対応できないことは、業務の属人化の最大のデメリットとも言えます。
担当者不在時の業務が滞るだけでなく、トラブルの対応が全くできなくなる場合もあります。
取引先の信頼を失い、取引中断となってしまう可能性もあります。
担当者の負担が大きい
業務の裁量が大きい一方で、担当者に過度なプレッシャーを与えてしまうのも属人化の特徴です。
過度なプレッシャーは担当者を疲弊させ、仕事にミスを生じさせる原因となります。
また、専門性の高い仕事では、ミスに他の人が気付かず、大きなトラブルに繋がる危険性もあります。
サービスの品質が安定しない
業務が属人化していると、異動・退職などで担当者が変わるたびに業務の仕方が変わり、サービスの品質が安定しなくなります。
一定したサービスを提供できないのは企業にとって大きな欠陥と言えます。
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属人化が起きる原因
なぜ業務の属人化が起きるのでしょうか。
ここでは、職場環境・業務内容・人的要因の3つの要因から原因を明らかにしていきます。
職場環境による要因
職場環境による原因は、マニュアルが無いことや成果主義、社風などが考えられます。
誰でも同じ業務ができ、対応できるようなマニュアルが無いと、個人の裁量に任されるため、属人化につながります。
また、成果主義を導入している会社では、個人の実力が重視されるため、業務が共有されにくくなり属人化が起こりやすくなります。
他にもコミュニケーションがとりにくい雰囲気のある会社では、他の人に頼りにくい状況が生まれ、個人で業務を進めるようになってしまいます。
成果主義に関して詳しく知りたい方はこちらから業務内容による要因
業務内容による原因は、業務の専門性の高さからくるものが考えられます。
マニュアルがあってもスキルが無いとできない仕事であったり、高度な判断が求められたりする業務は代わりが効かないことが多いです。
そういった「その人しかできない仕事」は必然的に属人化してしまいます。
人的要因
人的要因による原因は、人手不足と自発的に業務を独占する社員が考えられます。
人手が不足している状態では、業務を分担することができないため属人化してしまいます。
また、自発的に業務を属人化したい人は、少なからず存在します。
自分の仕事に対する誇りや頼られていることの優越感が強いあまり、その状態や地位をキープしたいと思うからです。
属人化の対策・解消方法
ここまで紹介してきたように、属人化にはメリットがある一方で企業や会社を危険に晒す可能性があります。
そこで、ここからは属人化を予防し、属人化の状態を解消する方法についてご紹介していきます。
業務の標準化・マニュアル化
属人化を予防、解消する上で最も有効な手段に業務の標準化・マニュアル化があります。
この標準化・マニュアル化という言葉は属人化の対義語にあたる言葉で、文字通り属人化と反対のことを意味します。
業務を標準化するとは、標準となる指標を定めておき、それを全体で共有し達成することです。
これに対し、業務をマニュアル化するとは、業務のマニュアルを作成し、誰がやっても同じように業務をこなせるようにすることです。
マニュアルを作成する際には、できるだけシンプルでわかりやすいものを作成できるよう心がけましょう。
属人化予防と解消には、この両方を実践することが効果的です。
つまり、標準化によって会社として達成するクオリティを決め、マニュアル化によってその目標を誰でも達成できるようにするのです。
個人にかかる責任の分散
個人にかかる責任の分散も属人化を防ぐために重要です。
「誰が」「どこまでの業務に責任をもつのか」が曖昧なままでは属人化を脱することは難しいです。
また、責任が分散されていない状態ではマニュアルの作成も進みません。
そのため、業務の責任の範囲を見直し、分散できているか確認することが必要です。
コミュニケーションの活発化
コミュニケーションの活発化も属人化を脱する上で重要なことです。
業務内容を共有したり、業務形態やサービス改善のための意見交換を活発に行ったりすることで、社内の透明性が上がり、業務の属人化の解消に繋がります。
それだけでなく、誰がどの仕事に取り組んでいるのかを把握できるので、業務の見通しを立てる上でも役立ちます。
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まとめ
ここまで業務の属人化の危険性からその原因、対処法までご紹介してきました。
個人の負担を減らすためにも、企業や会社にトラブルを招かないためにも、属人化の対策は必要です。
属人化が起こっていないか、属人化のまま放置してしまっていないか、一度業務体制を見直してみてはいかがでしょうか。