建築業においては、依頼を受けて見積書を作成して正式な発注を受けるケースもあれば、まずは見積もりだけ依頼されるケースも多く、毎日のように何件もの見積書を作成しなければならないことがあります。
また、担当者が複数いれば、担当者ごとに自由なフォーマットで作成していては統一性が失われる可能性があります。
こうした理由から作業効率を高め、取引上のトラブルを回避するためにも見積管理が大切です。
ここでは、近年注目されているクラウド型の見積ソフトのメリット、デメリット、選び方のポイントをご紹介します。
目次
見積管理とは
見積管理とは、見積もりの作成から承認、作成した見積もりデータの保存、検索や閲覧などの一連の作業です。
見積管理の一般的な流れは、まず、エクセルなどの表計算ソフトや見積もり専用のシステムを使用し作成した見積書を、承認を得て発行・印刷します。
その際に控えの見積書をプリントアウトしたうえで、ファイリングして保存してます。
ただし、見積書の枚数が増えるにつれて、こうした一連の作業は非常に手間になります。そこでシステムを活用して見積管理を行うことで、より効率的に見積管理を行うことができます。
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クラウド型見積システムとインストール型見積システムの違いとは
上述したように、見積システムを使うことで、効率的に見積管理を行うことができます。
見積システムは、様々な種類がありますが、大きく分けて「クラウド型」「インストール型」の二つに分類することができます。
この章では、クラウド型見積システムとインストール型見積システムの違いをご紹介します。
クラウド型見積システムの特徴
クラウド型見積ソフトとは、クラウドサービスを通じてインターネット上で使えるソフトのことです。
クラウド型見積システムは主に以下のような特徴があります。
- 導入が簡単
- 導入費用(初期費用)が少額
- パッケージが多いため、カスタマイズが難しい
- 他社と共有のサーバーを使用する
- 自動的なバージョンアップ
- バックアップの手間が不要
- ネットワーク環境が必要
※ネットワーク環境があればどこでも利用できる。
インストール型見積システムの特徴
- 導入時ソフトウェアのインストールが必要
- 保守費用が不要な場合がある
- 柔軟なカスタマイズが可能
- 内部管理体制であるためセキュリティが強固
- バージョンアップに対応していない可能性がある
- バックアップの仕組みを用意する必要があり手間
- ネットワーク環境が無くても利用可能な場合がある
クラウド型システムとインスト―ル型システムの違いに関する記事はこちら
クラウド型見積書ソフトのメリット
建築業では、現場や営業先に出かけることが多いため、外出先でもシステムを使用できるクラウド型システムがおすすめです。
さらに、クラウド型見積書ソフトは、は、以下のようなメリットがあります。
- 外出先から対応できること
- 見積書作成のスピード向上
- リアルタイムで情報共有ができること
- 過去のデータを蓄積できること
- データ管理が簡単なこと
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
外出先から対応できる
クラウド型見積ソフトは、インターネットがつながる環境があれば使用できるため、事務所のパソコンだけでなくタブレットやスマホなどで使える場合があります。
取引先と商談中に見積もりが必要になった時も、タブレットを持参していればその場で対応できます。
また、相手方が工事の必要を感じた際、すぐに見積もりを出して提案といった、即時対応をすることでビジネスのチャンスを逃しません。
このように、場所を選ばずいつでも見積もりを出力できるため、営業職や現場に出ている方が、事務所に戻ってパソコンや専用のシステムを開く手間を省くことができます。
見積書作成のスピード向上
建築業向けのクラウド型見積ソフトを選ぶことで、必要な項目や計算式などがすでに設定されているため、案件ごとに数値を入れるだけで、速やかに見積書を作成できます。
つまりエクセルなどの表計算ソフトに比べ、見積作成のスピードが大幅に向上します。
また表計算ソフトのように、人力で設定した数式が壊れて計算ミスが起こる心配もありません。
リアルタイムで情報共有ができる
クラウド型見積ソフトはネット環境があり、専用のIDとパスワードがあれば、誰でも同時にアクセスできます。
つまり外出先で見積もりを作成して提案し、その内容をリアルタイムで事務所や別現場にいる上司が確認し、承認することができます。
値引きなどの調整や内容の修正をその場で行うことができるため、契約への流れがスムーズです。
過去のデータを蓄積できる
作成したデータは契約に至らなかったものを含めた全ての見積書を保存しておくことができます。
従来は、契約が成立した見積書のみを保存し、ファイリングした見積書を参照する機会はあまり多くありませんでした。
参照したとしても、再び表計算ソフトに同じ数値を入力し直す必要があります。
クラウド型見積ソフトなら、データが保管でき、検索や閲覧、再利用などが簡単です。
お手本となる見積もり、類似事例の見積もりのデータを残しておくことで、見積作成のスピードが上がり、契約につながりやすい見積もりを作成することができます。
データ管理が簡単
プリントアウトした見積書は、月ごと、年度ごと、取引相手ごとなどにファイリングして書庫などに保管する必要があります。
また、エクセルで作成した見積データは、管理方法を工夫しなければ、検索や閲覧が面倒です。
さらに、バックアップを取っておかなければ、データが丸ごと消失するリスクもあります。
クラウド型見積ソフトなら、データを作成して保存しておけば、検索や閲覧などがスムーズです。
また、クラウド上にデータが保管されているため、パソコンが壊れてもデータが消失する心配がありません。
見積アプリに関する記事はこちら
クラウド型見積ソフトのデメリット
便利に思えるクラウド型見積書ソフトですが、デメリットはあるのでしょうか。
クラウド型見積書ソフトのデメリットを事前に理解し、適切なソフトを導入しましょう。
インターネット環境が必要
クラウド型見積ソフトは、必ずインターネットにつながる環境が必要です。
つまり、ソフトを使用する場合には、快適なインターネット環境を整備する必要があり、速度が遅い環境ではかえって効率が落ちる場合やストレスに感じる場合があります。
また、外出先でも使えるメリットを活かすには、営業職や現場担当者などにタブレットやスマートフォンに加え、Wi-Fiルーターなどを準備する必要があります。
そのため、クラウド型見積ソフトを導入する前に、ネット環境の見直しや、事務所外でソフトを使用する際の環境を構築しておくと良いでしょう。
セキュリティ対策が重要
インターネット上で利用するため、ウイルスやハッキングなどにより、データが流出するリスクがあります。
「見積書なんて正式な契約になるとは限らないし」と安易に考えてはいけません。
見積もりを作成するうえで、企業データや個人情報などが入力されることがあります。
特に個人向けの注文住宅やリフォームなどの場合、個人名や住所、家族構成などが入力されることもあります。
こうしたデータや企業間の機密データが流出しては大変です。
企業の信用問題に発展し、受注率減少のおそれもあるので、セキュリティ対策を講じることが大切です。
クラウド型に限らず、どのソフトを導入する場合でも、セキュリティソフトの導入をはじめ、従業員に対するセキュリティ意識の強化や研修なども行っておきましょう。
クラウド型見積書ソフトの選び方
見積書ソフトの選び方のポイントとして、以下の点を確認しましょう。
必要な機能が備わっているか
クラウド型見積ソフトといっても、どれもまったく同じ機能が備わっているわけではありません。
類似機能が搭載されていても、入力できる項目が異なるなど、細かな部分で、出来ること・出来ないことに差が出ます。
また、どのような機能が必要かは、企業によって異なります。
機能や項目の詳細を精査し、比較検討のうえで、自社にとって必要な機能が備っている使いやすいソフトを選びましょう。
既存のシステムと連携できるか
契約管理や請求書発行のためのシステムがすでにあり、そのシステムは今後も使い続ける場合は、連携が可能か確認する必要があります。
便利なソフトと使い慣れたシステムがあっても、連携できず別々に稼働していれば、むしろ手間がかかってしまいます。
例えば、見積もりのデータを既存のシステムに手入力で転記しないと契約書類や請求書が発行できない場合、転記ミスが発生するおそれがあり、トラブルが発生する可能性があります。
そのため、確認作業に時間や人手が必要となり、かえって手間やコストがかかってしまいます。
作業を効率化するためのクラウド型見積ソフトが、かえって時間を要するソフトにならないよう、事前に連携できるかを確認しておきましょう。
積算ソフトの選び方はこちら
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まとめ
クラウド型見積ソフトとは見積もりの作成から承認、データの保存、検索や閲覧などの一連の作業を管理できるものです。
クラウド型見積書ソフトのメリットは外出先から対応できること、見積書作成のスピード向上、リアルタイムで情報共有ができること、過去のデータを蓄積できること、データ管理が簡単なことが挙げられます。
クラウド型見積書ソフトのデメリットはインターネット環境が必要なこと、セキュリティ対策が重要なことです。
見積書ソフトの選び方としては、必要な機能が備わっているか、既存のシステムと連携できるかの2点が重要です。
費用対効果を得られるソフトを導入し、見積作業の効率化を目指しましょう。
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